《鍵盤音楽史:現代》 17人目の作曲家は、クルターグ・ジェルジュ(Kurtág György, ハンガリー, 1926-)。ピアニストとしても有名。
バルトーク、ウェーベルン、リゲティらの影響を受けており、表現主義においてウェーベルンの後継者と言われている。
フランツ・リスト音楽院での教え子には、シフ・アンドラーシュ、コチシュ・ゾルターンなども含まれている。
4年ほど前に一度調べて、聴いている。そのときに書いた記事(↓)が意外とよくまとまっている…(^^;)…ので、興味のある方はどうぞ ♪
一応、簡単なプロフィールを PTNAピアノ曲事典から引用しておく。
クルターグ・ジェルジュは、ルーマニア生まれのハンガリーの作曲家。ルーマニア西部のティミショアラでピアノ、作曲を学ぶ。1946年、ハンガリーのリスト音楽院に入学。ヴェレシュ、ファルカシュに作曲を、カドーシャにピアノを、ヴァイネルに室内楽を師事。
1957年にはパリ音楽院でミヨー、メシアンの作曲の授業に出席。1967年よりリスト音楽院教授(ピアノ科、のちに室内楽科)。バルトークのピアノ作品、ヴェーベルン、シュトックハウゼン、リゲティらに影響を受け、一方でバッハなどの対位法の影響もみられる。
寡作な作曲家のようで、ピアノ作品も少ない。ただ、クルターグが 1973年から書き続けているピアノのための小品集『Játékok』(ヤーテーコック、英語では "Games"、ドイツ語では "Spiele"、日本語では「遊び」)は、すでに 10巻目(2021年)が出版されている。
- Suite for Piano 4 Hands:1950
- op. 3:Eight Pieces for piano:1960
- Játékok ("Games"):1973- , 10 Volumes as of 2021
- op. 6d:Szálkák ("Splinters"):1978
- op. 21:Concerto for Piano and Orchestra:1980- unfinished
- Transcriptions from Machaut to J.S. Bach(4-hand and 6-hand piano and 2 pianos):1985
- op. 27/1:...quasi una fantasia...(piano and chamber ensemble):1987–1988
- 3 In Memoriam for 1-hand, 2-hand and 3-hand piano:1988–1990
- op. 27/2:Double concerto(piano, violoncello, and two chamber ensembles):1989–1990
- Varga Balint Ligaturaja For Piano Trio:2007
YouTube には "Játékok" の演奏がいくつかあるが、抜粋なので、"Játékok" の全貌(全曲リスト)はよく分からない。図形楽譜なども使われている(→《クルターグ・ジェルジュ:ピアノ音楽の玉手箱♪》)。
ピアノ:Maria Grazia Bellocchio
Book1〜4 については全曲演奏の CD が 1993年にリリースされている(↓)。弾いているのは Valeria Szervánszky、Ronald Cavaye というピアニスト。
比較的新しいものとしては 2008年にリリースされた CD の音源がある。Book 9 の曲も含まれている。ピアニストとしては、Gábor Csalog、András Kemenes、György Kurtág、Márta Kurtág、Alíz Asztalos の名前が挙がってる。
♪ Kurtág: Játékok, Selection 2(プレイリスト)
ちなみに、Book 10 には、前半にこれまで未出版だった過去の作品(1943年の組曲から 1980年代の作品)が、後半に 2002年から 2011年の作品が収められている(計33曲)。
"Játékok" 以外に YouTube で聴いた主な作品は下記。
「8つの小品」op.3。Katharina Groß というピアニスト。
ハイク・メリクヤン(Hayk Melikyan)の弾く "Splinters" op.6d。
同じくメリクヤンの弾く "... feuilles mortes ..."(枯葉)という曲。もしかすると "Játékok" の中の 1曲かも知れない。(…と思うほど短いシンプルな曲)
今回初めて室内楽(ピアノトリオ)を聴いた。雰囲気があって面白いのだが、正直にいうとまだ消化不足…(^^;)。
ピアノ協奏曲的な作品としては、Op.27-1 の "…quasi una fantasia…"(幻想曲風に)と Op.27-2 の "Double Concerto"(ピアノとチェロのための)とがある。
この作品は、クルターグの「空間音楽」という構想を実現したもの。1988年10月のベルリン音楽祭のために書かれ、ゾルターン・コチシュ(ピアノ)らによって初演された。
ステージには、ソロピアノとティンパニ、打楽器群、ツィンバロム、チェレスタ、ハープがあり、ステージ外(ホール内のあちこち)に 5つの楽器群(打楽器、木管、金管、弦楽器など)が配置される。
それによって、立体的な音響空間のようなものができる…と想像される。なので、これは YouTube の音源をイヤホンで聴いていては、その半分も味わえないものと思われる。
一度、ナマで聴いてみたい作品だ。
"Double Concerto"(ピアノとチェロのための)も「空間音楽」のコンチェルトである。下記の動画の中で、ステージの上の方に配置された楽器群がたまに映されている。
ピアノは Gábor Csalog というハンガリーのピアニスト(上の "Kurtág: Játékok Selection 2" という CD にも登場している)、チェロは Nicolas Altstaedt という人。ピアノとチェロと打楽器の掛け合いが面白い ♪
主な参考記事は下記。
✏️List of compositions by György Kurtág(Wikipedia/英語)
✏️…quasi una fantasia…(LA Phil)
✏️GYÖRGY KURTÁG: JATEKOK - GAMES - SPIELE 10(MusicRoom):楽譜
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