《鍵盤音楽史:現代》 15人目の作曲家は、ピエール・ブーレーズ(Pierre Boulez, 仏, 1925-2016)。言わずと知れた、20世紀〜21世紀の現代音楽の巨匠。
あまりに偉大過ぎて、私ごときにはなかなか理解できない…というか、十分にその音楽を味わえているか?…まったく自信がない…(^^;)。
ピエール=ローラン・エマールとピアノソナタ第3番を語るブーレーズ |
作曲家としても指揮者としても超有名人なので、プロフィールは Wikipedia などにお任せすることにしたい。…と思ったのだが、コンパクトにまとまった紹介文があったのでコピペさせて戴くことにした…(^^;)。
✏️アーティスト詳細/ ピエール・ブーレーズ(Tower Records)
1925年、仏モンブリゾン生まれの作曲家/指揮者。パリ音楽院でメシアンに学び、46年ジャン・ルイ・バロー劇団の座付き作曲家・指揮者となる。戦後を飾る数々の傑作を作曲する一方、指揮者としても台頭著しく、59年に南西ドイツ放送響の常任指揮者となり、66年からバイロイト音楽祭に進出。71年から6年間ニューヨーク・フィルの音楽監督。透徹したスコア読みにより、斬新な音楽を聴かせる。代表作は『ル・マルトー・サン・メートル』ほか。70年代、パリにIRCAM(音響・音楽の探究と調整の研究所)を創設、科学の最先端技術を作曲や演奏の世界と結び、現代音楽の潮流を作った。2016年1月5日、居住する独バーデンバーデンで死去。90歳没。 2012/08/30 (2018/03/01更新) (CDジャーナル)
ブーレーズについては、これまでにも曲を聴いたり調べたり、著書(『現代音楽を考える』)を読もうとして挫折したり…(^^;)…何度か近づく努力をしている。
…が、なかなか近づけていないというのが正直な実感である。
《【現代ピアノ曲】外国人作曲家》→「12のノタシオン」「ピアノソナタ第1番」を取り上げている
ピアノ関連作品を作曲年代順に並べてみた。作品の数は意外と少ない。
- 12のノタシオン (Douze notations):1945 注1
- ピアノソナタ第1番:1946
- ソナティヌ:1946(fl,pf)
- ピアノソナタ第2番:1948
- ストリュクチュール第1巻:1951-52(2pf)
- ピアノソナタ第3番:1955-57/63- 注2
- ストリュクチュール第2巻:1961(2pf)
- アンシーズ (Incises):1994/2001改訂
- 天体暦の1ページ (Une page d’éphéméride):2005
注1:1980年オーケストラ版に編曲
注2:未完、全5楽章のうち2楽章のみ公開
上記以外に「後に撤回」された 3つの作品(↓)と「紛失」した「協奏交響曲(pf,Orch):1947」とがある。「協奏交響曲」は聴きたかった…。
- 3つの朗唱:1945
- 変奏曲:1945(左手のための)
- 2台のピアノのためのソナタ:1948(2pf)
YouTube で、3つのピアノソナタと「12のノタシオン」「アンシーズ」を中心に聴いた。以下に挙げるのは、聴いた中で比較的気に入ったもの。…と言っても、十分に鑑賞できているとは思わないが…(^^;)。
「12のノタシオン」、Benjamin Kobler というピアニストの演奏。
ピアノソナタ第1番。演奏は イディル・ビレット(İdil Biret、トルコ、1941-)という人。
ピアノソナタ第2番、ディミトリ・ヴァシラキス(Dimitri Vassilakis、1967-)というギリシャのピアニストの演奏。
ピアノソナタ第3番は「未完」のようだ。5楽章(正確には「フォルマン」と呼ぶらしい)構成のうち、「トロープ」と「コンステラシオン」だけ公開されている。
この作品は「管理された偶然性」を取り入れたもので、5つの「フォルマン」の演奏順序はある程度演奏者に任されている。「フォルマン」内でも演奏者によって演奏順が変わる。
参考✏️ブーレーズ :ピアノ・ソナタ第3番(PTNAピアノ曲事典)
公開されている 2つの「フォルマン」の演奏。ピアニストは James Iman という人。
エマールさん(ピエール=ローラン・エマール)がブーレーズにピアノソナタ第3番のレクチャーを受けている貴重な映像(↓)を見つけた。フランス語なので内容はまったく分からないが、とても真剣に語り合っている様子が窺える。冒頭の写真はその一場面。
「アンシーズ (Incises)」という曲は今回初めて聴いた。1994年に Umberto Micheli Piano Competition というコンクールのために書かれたもので、2001年に改訂されている。
"Incises" というのは英語では "Interpolations" で、音楽的には「挿入音符群」(リズムの動機を構成する音)のような意味らしい…(^^;)?
下記の音源は、サラ・ダネシュパー(Sara Daneshpour、米国、1987-)が、2017年のルービンシュタイン・コンクールで弾いたもののようだ。ちょっといいかも ♪
音楽に対して「分かる」「理解する」という言い方は不適切かも知れないが、ブーレーズの音楽(ピアノ曲)を聴いて感じたり思ったりするのは、やはり「よく分からない(理解できない)」という言い方になってしまう…。
いいなぁ ♪…と思う瞬間がない訳ではない。でも、一つの作品を最初から最後まで聴いて、その全体的な印象や感覚として、私自身の感性が心から「いいなぁ ♪」と思うことはあまりない。
「新しさ」や初めて聴く音響の印象に対して「面白い ♪」と思うことはある。聴いた中では「12のノタシオン」と「アンシーズ」は面白いと思う。
でも、音楽に浸りきれない…という感覚がどうしても残る。耳や感性が「現代音楽」に十分には慣れてない…ということかも知れないのだが…?
…で、少しでも「分かり」たいと思い、有識者?(分かっている人たち)のご意見を参考にしてみようと思い、ネットで見つけた記事をいくつか読んでみた。
…のだが、結局「作る側」からの解説(どんなことを考えていたかとか、セリエルなどの作曲技法とか…)が多く、結果としての「作品」の演奏から受ける印象などの「聴く側」からの話がほとんどないのだ。
せめて「演奏者(表現者)」からの意見なども探してみたが見つからず…。
藤倉大さんの思い出話や、そこから想像できるブーレーズの人間像は魅力的で面白かったのだけれど…。
ブーレーズが創り出した音楽そのものの話や、ブーレーズが「音楽」をどう変革し、何を追加したのか?それが結果として、聴く側にどういう「新しい価値」「新しい音楽の楽しみ」を提供することになったのか?…そういう話を聞きたいと思う。
以下、比較的面白かった記事。
✏️ブーレーズ氏は「音楽の聴き方変えた」 藤倉大氏が悼む(朝日新聞)
✏️藤倉大、ブーレーズを語る(otocoto)
✏️ピエール・ブーレーズ《12のノタシオン》から見えてくる作曲技法(阿部俊祐)
✏️特集 = ブーレーズ: その音楽観を知るための 15 のキーワード ( 1 )(音楽的、音楽論的)
✏️ピエール・ブーレーズ(安芸光男)
主な参考記事は下記。
✏️ブーレーズの楽曲一覧(Wikipedia)
✏️ピエール・ブーレーズ(京都賞 2009年受賞)
0 件のコメント:
コメントを投稿