《鍵盤音楽史:現代》 22人目の作曲家は、ソフィア・グバイドゥーリナ(Sofia Gubaidulina, 露, 1931-)。
名前は知っているが、そのピアノ作品はほとんど記憶にない…という作曲家。何となくのイメージは「前衛的」な感じ…だったのだが、音楽的な現代ピアノ曲「シャコンヌ」と出会って少し好きになっているかも…(^^)♪
「百科事典マイペディア」(コトバンク)の解説から少し抜き出すと…。
ソフィア・グバイドゥーリナはタタール共和国出身の作曲家。父はモンゴル系タタール人,母はポーランドとユダヤの血を引くロシア人。カザンの音楽院とモスクワ音楽院に学ぶ。ソ連崩壊後はハンブルクに移住した。
ロシアや中央アジアの民族楽器を用いた即興演奏を展開する一方,クレーメルに献呈されたバイオリン協奏曲《オッフェルトリウム》(1980),チェロ,バヤンと弦楽合奏のためのパルティータ《最後の7つの言葉》(1982)など,独自の美学に貫かれた作品を発表。
シュニトケ,ペルトらとともに,旧ソ連圏の新しい波の一人として世界的な評価を得た。声楽をともなう作品が多く,時に民族楽器も用いて音色の綾をつくりだすその音楽は,劇的かつ精妙。深い宗教心を背景に,人間的感情が陰影豊かに歌い込まれている。
ピアノ関連の作品リストは下記の通り。
- シャコンヌ:1963
- ピアノソナタ:1965
- 音楽おもちゃ箱:1969
- ピアノのためのトッカータ:1969
- トッカータ・トロンカータ:1971
- インヴェンション:1974
- イントロイタス:1978(ピアノと室内オーケストラのための協奏曲)
- S-H-E-Aの主題による幻想曲:2008
- おやゆび姫
今回、YouTube にある音源をいくつか聴いた。思っていたより「前衛的」な色合いは薄く、ピアノ曲として面白いものがいくつかあった。
一番気に入ったのは最初に聴いた「シャコンヌ」。現代音楽的なのだけれど、そしてやや乱暴に聴こえる部分もあるのだが、曲としての構成がしっかりしていて、メロディアス、リズミカルなところ、さらに和音的な独特な音の響きもあって、魅力的な作品になっている…と思う。
聴いたのは Béatrice Rauchs(ルクセンブルク、1962-)という人の演奏。
ピアノソナタの印象は「前衛的」で、私には今ひとつ分からない…(^^;)。
「音楽おもちゃ箱」は子供のための作品という作りなのだが、けっこう難しそうに聴こえる。音楽としても技術的にも…。いくつかの曲は面白いと思う。
上の二つはオーストラリアの Diana Baker というピアニストの演奏で、グバイドゥーリナのピアノ作品全集を出しているようだ。下記の二つも Diana Baker の演奏。
ピアノ協奏曲に相当するのは 1曲しかなく、「ピアノと室内オーケストラのための『イントロイタス』」という作品。まだ十分に理解できてないが、ちょっと面白い感じはする。
演奏しているイタリアのピアニスト Alice Di Piazza(アリス・ディ・ピアッツァ) という人は、グバイドゥーリナから高い評価を得ているピアニストのようで、本人の公式サイトには作曲家本人からの手紙が掲載されている。
✏️Gubaidulina letter(Alice Di Piazza 公式サイト)
その中に、アリスの弾く「シャコンヌ」を聴いて "revelation"(啓示)だったと、グバイドゥーリナがその演奏を激賞しているところがあった(↓)。
"To me that was a revelation! The incredible power of her technical mastery fully revealed her ability to develop tragic expressiveness. "
…ということで、YouTube で探し出して聴いてみた。たしかにすごい!♪
ちなみにこの曲は有名なピアノ曲で、現代曲では定番の一つになっているようだ。YouTube には Yulianna Avdeeva、Alexander Kobrin、Anna Vinnitskaya などの音源があった。ホロヴィッツも弾いているようだが音源は見つからなかった。
主な参考記事は下記。
✏️ソフィア・グバイドゥーリナ(Wikipedia)
✏️グバイドゥーリナの楽曲一覧(Wikipedia)
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