"The World of Piano Competitions" の最新号(下記からダウンロード可)の表紙に Yang Yang Cai というピアニストが載っている。中の記事を読みながら何となく聴いていたのだが、何だか不思議なラヴェルが聴こえてきて、ちょっと気になった ♪
聴いたのは今年の 8月にライブ配信された映像。ラヴェルの「クープランの墓」とショパンのピアノソナタ第3番を弾いている。
冒頭の自己紹介を聞くと名前は「ヤン・ヤン・チャイ」と読むようだ。1998(年生まれ?)と書いてあるので、まだ 22歳の若手。2019年にアムステルダムの音楽院を卒業、同年の Young Pianist Foundation のコンクールで優勝している。
本人サイトのプロフィールは下記。
で、個人的な感想であるが、とても素直に楽譜の音符だけをピアノのきれいな音にしている弾き方…(^^;)? 技術的には上手いのだろうと思う。音色も多彩ではないが悪くない。
でも、私の第一印象は「これはラヴェルじゃない!」…。少なくとも私の知っている「クープランの墓」とはかなり違っている。でも、聴いていてちっとも嫌な感じはしない。
聴き終わったあとに、思わずペルルミュテール(ラヴェルに直接指導を受けた)の音源を探して聴いてみた。「そう!ラヴェルはこうでなくっちゃ…(^^)♪」
一言で言うと、ヤン・ヤン・チャイの演奏はラヴェルらしくないのだと思う。
それでも、何となく好感が持てるのは、変に持って回ったところがなく、奇を衒ったところもなく、ある意味、とても素直に弾いているからなんだろう…とも思う。
悪く言えば、作品の理解や解釈が浅い…みたいなことは言えるかも知れない。演奏に深さや凄さのようなものはあまり感じない。でも、ピアノの音は美しく並んでいる…(^^;)?
まぁ、私としてはこれまでに聴いたことのないような演奏だとは言える。
…で、ショパンはどうなんだろう?と恐る恐る…(^^;)?…聴いてみたのだが、これが、なかなかいいんじゃないか ♪ と個人的には思った。
実は、昔は大好きだったショパンなのだが、今はちょっと敬遠気味である。「ショパンらしさ」というのが苦手で、「耳タコ」状態が長らく続いている。
たまに、おっ!と思うような演奏がない訳ではないが(例えば昨年、リサイタルで聴いたマリー=アンジュ・グッチ ↓)、かなりの確率で「耳タコ」を感じてしまうのだ…(^^;)。
ところが、このヤン・ヤン・チャイの演奏は、なぜかすんなり耳に入ってくる。「ショパンらしさ」という(私にとっては)「嫌味」のようなものがまったく感じられない。
素晴らしく「いいなぁ ♪」というところまでは(残念ながら)行かないのだが、これはこれでいいんじゃないの ♪ と思いながら、最後まで気持ちよく聴かせて戴いた。
まぁ、まだ若いので、これから先もっと深みや凄みや渋み?なども出てくるかも知れない。そうなったとしても、この「素直に美しいピアノの音」みたいなものはなくさないで欲しい…などと勝手に思っている…(^^;)。
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