2020年11月5日木曜日

BTHVN op.87: オーボエ三重奏曲の七変化?+ハルモニームジーク

「ベートーヴェンの全作品を聴く」プロジェクト《All BTHVN 🎧》、今日は Op.87 のトリオ ハ長調(1794-95: 24-25歳)。

詳しく書くと「2本のオーボエとイングリッシュホルンのための三重奏曲」となる。


Op.87

🎼 List of works by Ludwig van Beethoven


この《All BTHVN 🎧》プロジェクトをやっていて、ベートーヴェンは割と管楽器が好きだったのかも?と思ってきた。とくに若い頃(22歳〜29歳)。

これまでに聴いてきた管楽器の室内楽を並べてみると、こんな感じ(↓)。






ところが、このオーボエ三重奏曲を調べている中で「ハルモニームジーク(Harmoniemusik)」というのを知った。広義には「管楽器の合奏」、歴史的には「1780年代からドイツ語圏を中心とした貴族階級に流行した管楽合奏」とのこと。

とくに "full harmonie"、"octet harmonie"と呼ばれるものは、オーボエ2、クラリネット2、ホルン2、ファゴット2 による八重奏を指すそうで、Op.103 の「管楽八重奏曲」がまさにそれ!

ベートーヴェンも 20代の頃は貴族の流行に合わせるという面も持っていたらしい…(^^;)♪

以上、出典は Wikipedia


ハルモニームジークの流行の中で活躍した作曲家・編曲家・オーボエ奏者にボヘミア出身のヨゼフ・トリーベンゼー(Joseph Triebensee、1772-1846)という人がいる。

ウィーンのアウフ・デア・ヴィーデン劇場の第2オーボエ奏者も務めていて、モーツァルトが指揮した『魔笛』の初演にも加わるなどしていたようだ。また、モーツァルトのオペラの多くを管楽合奏曲に編曲している。

ベートーヴェンのオーボエ三重奏曲は、トリーベンゼーの影響だとも言われている。


YouTube の検索で最初に出てきた演奏を聴いてみた。オーボエの一人が私でも名前を知っているハインツ・ホリガー(Heinz Holliger)だったので…。もう一人のオーボエは Hans Elhorst という人、イングリッシュホルンは Maurice Bourgue という人だ。



聴いた感じは、構成がしっかりした正統派?のいい作品という印象。ただ、管楽器合奏というのは、聴き慣れないせいか、個人的にはあまり好みではない…(^^;)。


ところが…である。解説記事の中の一つ(↓)に「翌年に弦楽器用 (2 Vn. & Viola) としても編曲されました。更にこの曲は、1825年にはロンドンの出版社から編曲され 『フルート三重奏曲 ニ長調 作品87』 として生まれ変わりました」とあった。

✏️TRIO NACH OP.87 D-DUR(Muramatsu Flute)


ベートーヴェン本人の編曲かどうかは分からないが、弦楽三重奏とフルート三重奏は古くから存在していたようだ。

…で、YouTube を探してみたら、なんと楽器編成の異なる演奏がゾロゾロ出てくる。まさに「七変化」…(^^)!


興味本位で、オリジナルを含む楽器編成を並べてみると…。

オーボエ*2+イングリッシュホルン
ヴァイオリン*2+ヴィオラ
フルート*3
ヴィオラ+チェロ*2
オーボエ、クラリネット、ファゴット
フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ
チェロ*3
フルート、オーボエ、クラリネット
サキソフォン*3(ソプラノ・アルト・テノール)


この曲は編曲しやすいのだろうか? それとも、色んな楽器合奏を楽しむことのできる雰囲気があるのか? たしかに親しみやすさのようなものはあるかも知れない。

アマチュアの演奏も多いところを見ると、比較的演奏が容易なのかも…。そうだとすると、当時の貴族たちが趣味で演奏することも想定していたのかも…(^^)?



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