2015年4月20日月曜日

ベートーヴェン:ソナタ第27番について知る&お手本を探す

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第27番の第2楽章を練習し始めてから、すでに3週間が経つ。どんな曲なのか少し調べるのと、自分の練習のお手本になりそうな音源を探すことにした。

ピアノ・ソナタ 第27番 ホ短調
Sonate für Klavier Nr.27 e-Moll Op.90
1814年作曲、1815年出版
献呈:Graf Moritz von Lichnowsky


まず、曲について。といっても、あまり情報がないので、ここはピティナの解説ページに頼ることにする。以下、緑文字部分引用。

第1楽章
 Satz Mit Lebhaftigkeit und durchaus mit Empfindung und Ausdruck
 (速く、そして終始感情と表情をともなって)
第2楽章
 Satz Nicht zu geschwind und sehr singbar vorgetragen
 (速すぎないように、そして十分に歌うように奏すること)

この時期のベートーヴェンはかつての湧き出るほどの創造力を失い、深刻なスランプ状態にあった。聴力の喪失に加え、実年齢から来る体力の衰え。年金の減額による経済的打撃。生涯をかけたといってもよい結婚の失敗。発表する作品の数も少なくなり、その全てが傑作ぞろいともいかなくなっていた。しかし、周囲の評価は相反して非常に高く、ナポレオンが没落し、ヴィーン会議の機運高まるオーストリアで彼は名士として成功していた(その評判もヴィーン会議が終わると同時に収束してしまうのだが)。

 ピアノソナタとしては4年ぶりの作品となる。2楽章構成で、それぞれソナタ形式、ロンド形式が採用されており、構成上大きな特徴はないが、ここに込められている深い情感はそれまでの同ジャンルのそれとは凡そ質の異なるものになっている。楽想がドイツ語で記されている点なども含め、久しぶりに着手したピアノソナタには明らかに展望としては大作志向の孤高期へ向かう道程が感じられる。また、シューベルトやシューマンらロマン派様式のピアノ作品の先駆ともいえそうな展開を見せている点も指摘できる。第二楽章の主題―――カンタービレでうたわれるゆったりとした旋律が構造の基盤になっている―――といった部分はシューベルトのピアノ作品でも耳にすることが出来る。


Wikipedia から一部補足する。

この曲は献呈されたリヒノフスキーの恋愛譚(細君を亡くした後、リヒノフスキーは歌手シュトゥンマーに恋するが、兄の身分差別により結婚は許されなかった。兄の死後ようやく二人は結ばれた)を音化したものだと伝えられている。シンドラーによれば、ベートーヴェンは第一楽章に「頭と心臓との闘い」、第二楽章に「恋人との対話」と書くべきものだと語ったという。

それぞれの部分はきわめて旋律的であり、特に中心主題はフランツ・シューベルトのピアノソナタホ短調D.566の第2楽章に酷似しており、おそらくシューベルトはこの曲から影響を受けたものと思われる。一貫して幸福な気分のまま、曲は閉じられる。


この曲を練習することで、あまり馴染みのないシューベルトに近づくことができるかもしれない。少しロマン派的に歌って、「幸福な気分のまま」終われるといい、わけだが…。


さて、もともとこの曲を選んだ時に聴いたのは、バレンボイムである。第2楽章の長さは約8分。音楽鑑賞という意味ではこれが一番だと思っているが、もう少しゆっくり弾いたものがないか探してみた。


すると、ケンプが弾いたものが見つかった(8分42秒)。ところが、聴いてみるとなんとなく頼りない。75歳のときの演奏のようなので…。

♪ Wilhelm Kempff plays Beethoven. Sonata No. 27, Op. 90 Mvt II
※追記@2022/12/06:この動画は削除されたようだ。

次に見つけたのが、8分27秒のもの。ピアニストは Barry Douglas という人。ケンプよりはやや速いのだが、ゆったり感はいい感じだ。


選曲したときにもう一つ見つけたのが、次のもの。わりと好きな演奏なのだが、残念ながら第2楽章は7分42秒とバレンボイムよりも早い。



…ということで、 Barry Douglas という人の演奏を参考にしようと思う。ただ、表情づけはやはりバレンボイムを真似したい…(^^;)。



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