■ これまでに試したこと
これまでに考えたことの一つは、「自動化」=「本を読みながらでも弾ける」を目指して「ゆっくりと意識的に反復練習をする」ことである。
次のようなことにも気づいて、何とか止まる原因を減らそうとしていた。
- 間違える箇所は決まっている(フレーズのつなぎは弱点)
- 途中で「息が上がる」(息が苦しくなる)ことがある
また、止まらずに最後まで弾き通すための練習として「録音」を取り入れたこともある。その結果を「停止3回、ニアミス9回」などと記録してみた。
これらはある程度は効果があったものの、「止まるクセ」は直らなかった。
■ 改めて原因を考える
まず基本として「十分に弾き込む」ことが必要なのは当然である。そのための効率的な練習方法については、大きな課題でもあるので別途考えることにしたい。ここでは、ある程度の練習をしたあとでも、なかなか止まらずに弾けないということの原因(と対策)を考えてみたい。
途中で止まる主な原因には4つほどありそうだ。
①そもそも弾けていない
②耐久力がない、息が上がる
③止まるクセがついている
④間違えたときのリカバリー方法を知らない
①は、たぶん私自身の止まる原因の最大のものだが、これは具体的にどこがどう弾けていないのか、をはっきりさせる必要があると思われる。
②もかなり大きな問題かもしれない。ピアノの演奏は陸上競技にたとえると長距離走に近い。そこで必要になるのは、完走するためにエネルギーの使い方をコントロールすることと、息継ぎ・呼吸法である。ピアノ演奏では、音楽的なフレージングとともに身体的な呼吸法も重要だと思われる。
③は、人前で演奏するような機会がほとんどなく、「ピアノを弾く」=「練習」=「部分練習中心」という人(私)の場合、いつの間にか細切れに弾くことが習慣化しているのではないだろうか。この「クセ」は結構やっかいである。
④は、プロがミスタッチのあとでも、何事もなかったかのように弾き続けるのは、何か方法があるに違いない、という勝手な思い込みである。しかし、何かミスしてもその影響を最小限に抑えるコツのようなものがありそうである。
■ 対策・練習方法を考えてみる
「①そもそも弾けていない」に対しては、自動化を目指した「ゆっくりと意識的に反復練習」が基本になるだろう。演奏の時点で、練習の成果(実力)を「発揮する」能力のようなものも必要だろう。
もう一つは、「ここだけは間違えずに決めるぞ」といったポイントとなる箇所を決めて、そこは優先的に完璧にするという練習方法もありそうだ。聴かせどころとか、重要なフレーズの終わりとか、この和音だけはきちんと響かせるとか…。これにより曲全体のメリハリがつき、曲の構成も明確になりそうだ。
「②耐久力がない、息が上がる」については、長く弾く練習を多く取り入れることだと思う。曲は当然だが、スケールのような基本練習でも、たとえば5分間継続をノルマにするようなやり方もあるのではないだろうか。
もう一つは「呼吸法」である。いわゆる「息継ぎ」もそうだが、弾きながら「息をする」「息を整える」練習をやってみる価値があると思う。また、フレーズ間の「ブレス」や「間」を、意識的に長めにとる練習も効果がありそうだ。
「③止まるクセ」はやっかいである。一つは気持ちの問題かもしれない。「間違えてもいいのだ(音楽が止まらなければ)」という感覚をもつべきだと思う。間違えても止まらずに弾き続けることを、新しい「クセ」にするしかない。
もう一つは、「間違えそう」と予想してしまうことで止まることもよくあるので、その対策も必要だと思う。ただ、そういう不安は練習不足や苦手意識が残っていることが原因なので、対策は練習しかないかも知れない。
「④間違えたときのリカバリー方法」は現時点ではよく分からない。練習・経験あるのみ、かも知れない。プロの演奏を分析した本に書いてあったのは、「プロは自分のミスを予測して自動的にタッチを弱くするなどの防衛反応が身についてる」という話であった。
とりあえずは、「間違えても止まらないこと」を肝に銘じること、間違えたときに「平常心」を保つことを意識する、くらいだろう。「平常心」=「顔(表情)に出さない」+「手をこわばらせない」+「ドタバタしない」という感じか…。あとは、お手本のCDとかと合わせて弾く練習も効果があるかもしれない。
…と、いろいろ考えてみたが、まずは実践である。いま練習しているドビュッシーの「アラベスク」と「プレリュード」で、これらの対策や練習方法の効果を試してみようと思っている。「自己訓練」である。
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