まずは「協奏曲 ヘ長調」BWV971、通称「イタリア協奏曲」。
バッハの「クラヴィーア練習曲集」は第1部〜第4部が出版されていて、それぞれの内容は下記のようになっている。
- 第1部 1731年:6つのパルティータ BWV825~830
- 第2部 1735年:イタリア協奏曲 BWV971、フランス風序曲 BWV831
- 第3部 1739年:主にオルガン向けの作品集(10曲のコラール編曲等)
- 第4部 1741年:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
「イタリア協奏曲」の原題は「イタリア趣味によるコンチェルト(独語:Concerto nach Italienischem Gusto)」である。
ただ『バッハの鍵盤音楽』の著者は、曲の内容としては「イタリア様式に倣った『ドイツの協奏曲』」であり、「イタリア協奏曲」という呼び方はふさわしくない…としている。
チェンバロ向けの「協奏曲」は、「独奏楽器(群)+合奏」というバロック時代の協奏曲における独奏と合奏の対比を、 2段鍵盤により模倣するもの…とされている。
…が、「イタリア協奏曲」においては必ずしもそうなっていない…というのが『バッハの鍵盤音楽』の著者、シューレンバーグ氏の主張(↓)。
「鍵盤交替の指示は、多くの場合、協奏曲のトゥッティとソロの対照に対応している。しかし、アンサンブル作品でもそうであるが、フォルテの指示は必ずしも『トゥッティ』(すなわちリトルネッロ)に対応しないし、ピアノも必ずしも『ソロ』あるいは『エピソード(間奏部)』に対応しない」(イタリア協奏曲の楽譜には「フォルテ」「ピアノ」の指示がある)
「いずれにせよ、この作品が管弦楽協奏曲というジャンルをそのまま写し取ったものであるとか、鍵盤交替がアンサンブル作品のテクスチャを直接的に真似たものであるとかと、考えるのは誤りであろう」
この曲は「急緩急」の 3楽章構成。第1楽章にテンポの指定はないが、多くの版で「アレグロ」とされている。ブレンデルの音源では、画面に第1楽章 Moderato、第3楽章 Allegro Vivace と表示されている。
- アレグロ ヘ長調
- アンダンテ ニ短調
- プレスト ヘ長調
バッハの時代から人気の曲でもあり、現在でもピアノ曲として有名なので多くのピアニストが弾いている。弾き方もゆったりした優雅なものから疾走感満載のものまで様々…。
個人的には躍動感があって少し速いテンポの方が好みであるが、品格みたいなものも備えていて欲しいとも思う。
10人以上の演奏を聴いたが、3楽章を通して気に入る演奏というのは意外に少なかった。テンポ感で一番しっくり来たのがグレン・グールド。一番耳に馴染んでいる…(^^;)?
あとは、やや穏やかなアンドラーシュ・シフ、そして端正でゆったりした印象のアルフレート・ブレンデル。その他でちょっといいかも?…と思ったのは、ファジル・サイ、ブレハッチ、リヒテルくらいかな…?
アンドラーシュ・シフ(András Schiff、ハンガリー、1953 - )
アルフレート・ブレンデル(Alfred Brendel、オーストリア、1931 - ):第2楽章で一番しっくりくるのはブレンデルの演奏 ♪
- BWV971 協奏曲 ヘ長調(イタリア協奏曲)
- BWV831 序曲 ロ短調(フランス風序曲)
- BWV964 ソナタ ニ短調
- BWV968 アダージョ ト長調
- BWV995 組曲 ト短調
- BWV1000 フーガ ト短調
- BWV1006a 組曲 ホ長調
- BWV997 組曲 ハ短調
- BWV998 前奏曲、フーガとアレグロ 変ホ長調
出典:
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️イタリア協奏曲(Wikipedia)
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