最初に取り上げるのは「組曲 ト短調」BWV995 であるが、これは「無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調」BWV1011 をリュート用に編曲したものと言われている。
バッハは数曲のリュート作品を残しているが、本人はリュートを弾けなかった。代わりに、バッハは自分のリュート作品をチェンバロで弾いていたようだ。
また、残されている自筆譜はリュート用のタブラチュア譜ではなく、チェンバロ用の通常の 2段譜になっている。つまり、普通にチェンバロで弾くことができる。一部の低音をオクターブ上げるなどのちょっとした工夫は必要なこともあるらしいが…。
それから、バッハの遺品の中に 2台の「リュート・チェンバロ」(Lautenclaviere)が含まれており、リュート作品の演奏にこれを用いることもあったと想像される。
リュート・チェンバロ(あるいは「ラウテンヴェルク」Lauten Werk)とは、簡単に言うと大きなリュートを横にして、そのガット弦を鍵盤で弾ける(はじける)ようにしたもの。ダンパー機構はなかったようだ。
下の写真は復元されたリュート・チェンバロ。このブログ(↓)からお借りした。
✏️リュート・ハープシコードってご存じですか?(MacTechnology Lab.)
…ということで、実はピアノによる演奏は極めて少ない。比較的多いのはリュートあるいはギターによる演奏、またはチェンバロによる演奏である。
「J.S.バッハの全鍵盤作品を聴く」プロジェクトなので、少なくともチェンバロによる演奏からお気に入りを探したいと思っている。
ところが、幸いにもリュート・チェンバロによる比較的新しい録音を見つけた。今回聴く予定の 5曲のうち 4曲が含まれている ♪
それがこの CD(↓)。ベルリン在住のチェンバロ/フォルテピアノ奏者、荒木 紅さんによる 2022年リリースのアルバムである。
- BWV1006a
- BWV996
- BWV872:平均律 2巻 3番
- BWV964
- BWV995
- BWV866:平均律 1巻 21番
- BWV999
- BWV997
- BWV998
YouTube にアルバム音源がある。とくに低音の響きに特徴がある。
♪ Bachissimo /Beni Araki :アルバム
(BWV995:トラックNo. 19〜24)
ちなみに、この CD で使われている楽器は荒木さんのために作られたもののようだ。
本人サイトの "Instruments" ページにある写真(↓)がそれだと思われる。
BWV995 の構成は下記。
- プレリュード
- アルマンド
- コレンテ
- サラバンド
- ガヴォットI
- ガヴォットIIとロンドー
- ジーグ
リュートによる演奏では Klaudyna Żołnierek という人の演奏が良かった ♪
原曲の「無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調」BWV1011 を鈴木秀美さん(1957 - )の演奏(オランダ・バッハ協会)で聴いた。チェロが一番好きかも…(^^;)。
♪ Bach - Cello Suite no. 5 in C minor BWV 1011 - Suzuki | Netherlands Bach Society
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♪ Bach - Cello Suite no. 5 in C minor BWV 1011 - Suzuki | Netherlands Bach Society
『バッハの鍵盤音楽』 第16章「《クラヴィーア練習曲集 第2部》およびその他の作品」に含まれる作品。
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出典:
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
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- BWV968 アダージョ ト長調
- BWV995 組曲 ト短調
- BWV1000 フーガ ト短調
- BWV1006a 組曲 ホ長調
- BWV997 組曲 ハ短調
- BWV998 前奏曲、フーガとアレグロ 変ホ長調
出典:
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
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