レーラ・アウエルバッハ(Lera Auerbach)という作曲家/ピアニストは「音楽の友」3月号の 記事で初めて知った。その紹介文(↓)と短いインタビューを読んだだけでも、なんか凄そうな人だと分かる。
「レーラ・アウエルバッハ、知る人ぞ知る現代作曲家、ピアニストにして、詩人、作家、美術家という肩書きを持つ」
(※ノーベル文学賞にノミネートされたこともあるらしい…)
「世界でも指折りに評価が高く、最も忙しい作曲家の一人で…」
何度か来日していて、3月27日に東京文化会館で自作の「24の前奏曲」とムソルグスキーの「展覧会の絵」を演奏する(↑)ようだ。
音友のインタビューで、少しだけ現代音楽について自らの立ち位置を述べている。当たり前のことだが、「なるほど」と思った。それは、「24の前奏曲」について「21世紀は調性に回帰するということ?」という質問に対する答え(↓)。
「私を含めて現代の作曲家は、…ブーレーズ等が切り拓いた地平線の上に立っています。ですから、調性音楽に”戻った”というようなことはありません。20世紀は実験的な音楽も多々あり、そこから得られたものは大きいのです。」
調性音楽と無調音楽を両方含めて、その上に新しい音楽を創り出すというような意味だろうか。(なんだか、昔聞いた「弁証法」=「正・反・合」?の図式を思い出した…)
「調性回帰」という言い方をしている作曲家もいるなかで、ちょっと面白いと思った。本当は「そこから得られたもの」を聞きたいのだが、短いインタビューでは語りきれないのかもしれない。
プロフィールは、たぶん「Lera Auerbach 公式サイト」の Biography が一番確かなのだろうが、日本語はなさそう。
日本語だと、東京・春・音楽祭のページか Wikipedia あたり。
何はともあれ、ピアノ曲をいくつか聴いてみた。
(第2番 Presto)
(第24番)
(ピアノとチェロのための前奏曲)
YouTubeにはあまり上がっていない。若い頃の演奏(シューマンのシンフォニック・エチュード)もあったので、聴いてみたがあまり好みの演奏ではなかった。
27日のリサイタルのページにNaxosでの試聴へのリンクがあったので、24曲の冒頭各30秒を聴いてみた。
音源は、本人が演奏している『アウエルバッハ:24の前奏曲/10の夢』というCD(↓)。
もちろん、これだけ聴いただけでは分からないが、少なくとも、いわゆる「現代音楽」の難解さ以上のものは感じ取れた。といって、本人が言っているように、調性音楽でもない。可能性は感じる。
聴いた範囲では「チェロとピアノのための前奏曲」がわりと好みである。もう少し時間をかけて、ちゃんとした演奏を聴いてみないとなんとも言えない。
ネットの音源は便利だが、ネットで(タダで…)聴くことのできる範囲はこの程度だとも思った(とくに新しい作品は…)。
好みかどうかの判断は難しいが、とりあえずお気に入り候補にしておこう。(→ [作曲家探索 2016] )
参考までに、彼女のピアノ・ソロ作品の一覧表を公式サイトからコピペしておく(↓)。
レーラ・アウエルバッハ ピアノ作品一覧
(公式サイトより@2016.3.23)
※2行目の数字は曲の時間(h:mm:ss)
Images from Childhood(12 character Pieces) for Piano
0:11:00
Suite(9 preludes from Op. 41) for Piano, Op.41a
0:15:00
Sonata No. 1 for Piano "La Fenice"
0:20:00
Sonata No. 2 for Piano "Il Segno"
0:15:00
Memento Mori for Piano
0:12:00
Fantasia for Piano
0:06:00
Chorale, Fugue, and Postlude for Piano, Op. 31
0:10:00
24 Preludes for Piano, Op. 41
0:39:00
Ten Dreams for Piano, Op. 45
0:16:00
Ludwig's Nightmare for Piano
0:07:00
Milking Darkness for Piano
0:10:00
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