《鍵盤音楽史:バッハ以前》の作曲家 18人目は、ニコラウス・ブルーンス(Nicolaus Bruhns, 1665-1697)。J.S.バッハのちょうど20歳年上。
北ドイツ・オルガン楽派の巨匠ブクステフーデに師事、師匠から最も優れた弟子と評価されながらも、31歳(32歳?)の若さで夭折。しかし、残された 5曲のオルガン曲は北ドイツ・オルガン楽派を代表する作品とされている。
ニコラウス・ブルーンスは、リュート奏者で宮廷楽団楽長であった祖父、オルガニストの父という音楽一家に生まれた。16歳の時にリューベックに住む叔父のペーター・ブルーンスのもとでヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶことになり、同時にディートリヒ・ブクステフーデからオルガンを学んだ。
コペンハーゲンの宮廷に作曲家、ヴァイオリン奏者として雇われたあと、1689年には現在のシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州の北フリースラントの都市、フーズムの教会のオルガニスト、合唱指揮者となり、31歳でなくなるまで活動した。
ブルーンスの作品は、5曲のオルガン曲(下記 1.〜5.)と12曲のカンタータが残っている。室内楽も作曲したと思われるが、残念ながら残されていない。
- 大前奏曲 ホ短調:Praeludium in E minor (Grosse)
- 小前奏曲 ホ短調:Praeludium in E minor (Kleine)
- 前奏曲 ト長調:Praeludium in G
- 前奏曲 ト短調:Praeludium in G minor
- コラール・ファンタジア『いざ来ませ、異邦人の救い主よ』:Chorale Fantasia: "Nun komm, der Heiden Heiland"
- アダージョ ニ長調:Adagio in D(前奏曲の断片)
ブルーンスのオルガン曲全集には 6. のアダージョも含まれることが多い。なお、「前奏曲」はフーガを含むので「前奏曲とフーガ」と呼ばれることもある。
ブルーンスのオルガン曲は、ホモフォニックな部分とフーガ風の多声的な部分の対比、技巧的なペダルの走句など、典型的な「北ドイツ・オルガン楽派」の特徴を有している。
とくに、「大前奏曲 ホ短調」は、北ドイツのオルガン音楽の最高傑作と言われている。また、2曲の前奏曲がヨハン・クリストフ・バッハの「メラー手稿」に含まれている。
C.P.E.バッハによると、父である J.S.バッハはブルーンスを尊敬しており作品を研究したということだが、直接の影響は認められないというのが学者の意見のようだ。
個人的には、「大前奏曲 ホ短調」などを聴いているときに、ふとバッハの雰囲気(バッハが少し参考にしている箇所?)を感じたりするのだが…?
YouTube でオルガン曲を一通り聴いてみた。どれも「本格的」な音楽という印象があり、バッハに近づいてきたかな?…と思った ♪
結果的には「大前奏曲」以外は Andrej Harinek の演奏(💿Nicolaus Bruhns: Complete Organ Works)を聴いてしまった。このオルガニスト好みなのかも…(^^)?
Org:Maurizio Mancino
あえて選ぶとすると「大前奏曲」とト短調の前奏曲が好きかも…。
声楽曲(カンタータ)も 2曲ほど聴いてみたが、なかなか良かった。シンプルな伴奏(ヴァイオリンと通奏低音など)もメロディーもとても美しい ♪
これを聴くと、室内楽も聴きたくなる。どこかで楽譜が見つかったりしないかな?
あとで見つけたのだが、鈴木雅明さんとイェール大学宗教音楽研究所というところのメンバーが演奏した CD『ニコラウス・ブルーンス : カンタータ集とオルガン作品集 Vol.1』というのが、今年の 1月にリリースされたようだ。
鈴木雅明さんのオルガン演奏も二つ(「大前奏曲 ホ短調」と「コラール・ファンタジア『いざ来ませ、異邦人の救い主よ』」)入っている。
✏️鈴木雅明がイェール大学宗教音楽研究所とブルーンスのカンタータとオルガン作品を録音!(SACDハイブリッド)(Tower Records)
YouTube にも CD のプレイリストがあったので、カンタータを中心に(今)聴いているが、どれもなかなかいい感じだ…(^^)♪
♪ Masaaki Suzuki Nikolaus Bruhns Vol.1(プレイリスト)
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