2022年3月2日水曜日

プーチンのウクライナ侵略でチャイコフスキーコンクールはどうなるのか?

プーチンのウクライナ侵略以来、音楽関係のニュースもとても暗くて重い。本当にとんでもないことを始めてくれたものだ。21世紀の現代では考えられない蛮行だ。

今すぐにでも停戦し、軍の撤退を始めて欲しいと願う…。

この流れでいくと来年 2023年のチャイコフスキーコンクールはどうなるのだろう…?




上の絵は『月刊音楽祭』というサイトの新着ニュース一覧画面。16本のうち 12本がこの侵略戦争の影響によるニュース(↓)だ。ゲルギエフに関する記事が多い。

  1. 3/2: ロッテルダム発 〓 ロッテルダム・フィルもゲルギエフとの「関係を終了」と発表
  2. 3/2: ミュンヘン発 〓 バイエルン州立オペラがゲルギエフに加え、ネトレプコの今後の出演をキャンセル
  3. 3/1: ミュンヘン発 〓 ミュンヘン市長がゲルギエフを解職
  4. 3/1: ヴェルビエ発 〓 ゲルギエフがヴェルビエ音楽祭オーケストラの音楽監督を辞任(事実上の解任)
  5. 3/1: ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場のゲルブ総裁がプーチン大統領を支援する芸術家、大統領の支援を受ける芸術家や組織との関係を断ち切ると発言
  6. 2/28: ルツェルン発 〓 ルツェルン音楽祭がゲルギエフ&マリインスキー劇場管弦楽団のコンサートをキャンセル
  7. 2/28: リガ発 〓 リガ・ユールマラ音楽祭が中止を発表。ロシアのウクライナ武力侵攻、ゲルギエフ絡みで
  8. 2/28: チューリッヒ発 〓 世界的な「ロシア・ボイコット」の広がりで、ロシア・ナショナル響のスイス・ツアーは中止に
  9. 2/26: ロンドン発 〓 ロイヤル・オペラ・ハウスが夏のボリショイ劇場バレエ団ロンドン公演をキャンセル
  10. 2/26: ニューヨーク発 〓 カーネギーホールがゲルギエフに“追加制裁”、5月のマリインスキー管との公演もキャンセル
  11. 2/26: ロッテルダム発 〓 音楽界でウクライナへの連帯表明広がる、ロッテルダム・フィル、バーデン=バーデン音楽祭もゲルギエフにプーチン大統領との決別を要求
  12. 2/26: ベルリン発 〓 ペトレンコとベルリン・フィルもウクライナへの連帯を表明

ゲルギエフはプーチンの側近のようなものだし、いくつかのオーケストラなどからの説得にも応じていないようなので仕方ないとしても…。

他のロシア出身の音楽家たち(私のお気に入りのピアニストたちも…)への影響が出ないことを願いたい。その多くはこの戦争に反対しているはずだ。例えば、トリフォノフはインスタグラムに反戦のメッセージを出している。


同じような意味で、パーヴォ・ヤルヴィさんが、モスクワで Russian Youth Orchestra の指揮をした(キャンセルしなかった)ことは素晴らしいことだと思う。

✏️Paavo Järvi: Why I Am In Moscow(Slipped Disc)

パーヴォ・ヤルヴィさんの言葉を一部引用しておきたい。

"After thinking about this deeply I have come to the conclusion that this would be defeatist, dishonest and disloyal to the wonderful young musicians of the Russian Youth Orchestra, who feel confused, torn and shocked, and who are against this war as much as I am."

"These young people should not and cannot be punished for the barbaric actions of their government. "

"As a human being and as an Estonian, I hate what is going on in Ukraine. I resolutely condemn the actions of Russian government and Putin!"

Russian Youth Orchestra の若い音楽たち(混乱しショックを受けている…)には責任はない。非難されるべきはロシア政府とプーチンである…と明言している。


それにしても、心配なのは来年開催予定のチャイコフスキー国際コンクールのこと。

これまでにいくつもの国際ピアノコンクールをネット経由で見てきて、やはりこのコンクールは一番レベルが高いと思う。新しいお気に入りピアニストを見つける可能性も高いので、楽しみにしているのだが…。

ウクライナ侵略戦争の影響がいつまで続くのか分からないが、出場を狙うピアニストたちはそろそろ準備をしている頃だと想像する。…とすると、影響は避けられない…😢?


そういえば、その前に今年 6月の第1回ラフマニノフ国際コンクールがあった!

2023年のラフマニノフ生誕150周年を前に、プーチンの肝煎りで(たぶん)、ゲルギエフとマツーエフが中心になって立ち上げたコンクール。

この分では、開催は危ないかも…。EU諸国や米国などはボイコットする可能性もあるし、そもそも 6月の状況が…?「国内」コンクールなら開催できる…?


ちなみに、公式サイトのニュースをチェックしたら、3月1日(昨日)の応募締め切りが 4月1日に延期になっていた。準備不足で人数が集まらなかったのか、それとも…?


心配ではあるが、コンクールのことは実は大したことではない。

プーチンが破壊しているのは、ウクライナという国だけではない。世界秩序や世界の平和であるし、世界の文化・芸術であるし、人々の命や生活や心なのだ…。他人事ではない。

一刻も早く戦争が終わることを願いたい。

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