リズムに関する注意点など16項目。前回からの第2章の続き。
(1) 間違えやすいリズム。音符1が音符2や音符3にならないよう注意(とくに速いテンポのとき)。
音符1 |
音符2 |
音符3 |
(2) 間違えやすいリズムその2。音符4が音符5になりがちなので注意。
音符4 |
音符5 |
(3) クレッシェンドでテンポが速くなる、ディミヌエンドでテンポが遅くなる、というのはよくある初歩的なミス。
(4) リタルダンドやアッチェレランドのようなテンポの漸次的変化は、指示されたフレーズの頭から開始されることはほとんどない。やや後の、通常は弱拍から始めるのが望ましい。(クレッシェンドなどのディナミークでも同じ)
(5) フェルマータの延ばし方は前後関係によりケースバイケース。例えば、リテヌートの後ではその減速を継続させることを意識する。同じように大切なのが、楽章間などの休止の長さ。早すぎると2つの楽章がぶつかる。遅すぎると緊張が途絶える。休止・静寂も音楽!
(6) 多様な演奏方法を作品やその意義・内容と完全に調和させること。歪曲は個性ではない。
※作品(意義・内容)に相応しいテンポ、時間的流れの構成を選択すること?
(7) 弾き始める前に、しっかりと曲のテンポを決めてから始めること。
(8) ポリリズムの練習方法。3:2などの単純なものは〈算術的方法〉でカウントすることで可能。しかし、それ以外(5:9など)は無理。→片手ずつ「拍」と「等分」を意識して練習した後に合わせる。
(9) リズム上の難しさではなく、奏法上のアクロバティックな難しさのためにリズムが歪む場合がある。この不正確さを除去するのは「耳」である。よく聴き、リズムを〈認識〉すること。
(10) ゆっくりしたフレーズの中では、短い音符が速くなりがち。例えば、4分音符の中にときおり現れる8分/16分音符など。改善方法は、意識して poco rit.的に弾く、優れた歌手の細かい音符の歌い方をよく聴く、など。
(11) 正しいリズム(作品の時間的構成)のためには、作曲家の精神・スタイルや時代のスタイルを十分に理解することが必要。
(12) 大規模な(多楽章などの)作品では、全体を捉えることが重要。各楽章のテンポは、全体の捉え方・構成によって決まる。
(13) 立派なピアニストでも、小品は完璧に弾くが、大作になると「ある程度に魅惑的ないくつかの断片」に分けてしまう場合がある。これは全体の把握、時間の構成が不十分なためである。
(14) 一つの曲をいろんなリズムで弾くという練習方法は一般的になっているが、それは純粋な練習曲に限るべき。芸術的な音楽作品をそのような方法で練習すべきではない。
(15) 音(の強さ・アーティキュレーション)とリズムの関係について。例えば、シンコペーションは、他の音より強調して弾かれねばならない。
(16) 音とリズムは相互に作用し、助け合いながら表情を作り出す。よい例がルバートである。正しいニュアンスづけを見出さなくては、そのリズム上の自由度を決定することはできない。
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●考察
いずれもごもっともである。(8)のポリリズムは、こういう正攻法ではないコツのようなものがあるといいのだが…。(12)、(13)あたりはなかなか難しいことを言っている。
初心者として参考になったのは、(3)、(4)、(10)あたり。さっそく練習で気をつけようと思う。
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