すっかり忘れていたが、この曲は 2022年に練習したことがある。どうりでどことなく聴き覚えがあると思った…(^^;)。
参考にしている本『バッハの鍵盤音楽』によると、完全な形で伝える資料もなく18世紀でも知名度は低かったようだ。ただ、「大がかりでもヴィルトゥオーソ的ではないにしても、7曲のトッカータの中で BWV912 の次に出来のよい作品」とのこと。
作品の初めにトッカータ的なパッセージがなく、控えめな短い導入部、フーガ的なアレグロ、ラプソディックなアダージョ、一番大きな終結フーガ(↓)…という構成。
フーガについては、ナポリ音楽院に伝わる古い手稿資料にそっくりのフーガがあり、バッハはこれを借用したと見られている。
たくさんのピアニストが録音していて、いい演奏がいくつもあるのだが、今回初めて聴いた中ではアンドレア・バッケッティ(Andrea Bacchetti、伊、1977 - )が良かった。
弾力のあるピアノの響き、程よい音の厚み、弾けるリズム感・ドライヴ感が心地良い ♪
2年前にこの曲を練習したときは、主にコンスタンチン・リフシッツ(Konstantin Lifschitz、ウクライナ、1976 - )の新しく出た CD を聴いていた。
今回もう一度聴いたが、リフシッツのバッハはやはり好みだ ♪
グールドもソコロフもいい感じ ♪ ソコロフの音源は音質があまり良くないのが残念。
グレン・グールド(Glenn Gould、カナダ、1932 - 1982)
グリゴリー・ソコロフ(Grigory Sokolov、露、1950 - )
その他聴いた主なピアニストは下記。クレア・フアンチのソフトでポコポコ?したタッチのフーガも面白い ♪
クレア・フアンチ(Claire Huangci、米、1990 - )
(BWV914:トラックNo.7〜9)
ローラン・カバッソ(Laurent Cabasso、仏、1961- )
チェンバロの演奏はオランダ・バッハ協会の音源を聴いた。弾いているのは Bart Jacobs という人、使用楽器は "Andreas Kilström (2009) after I. Couchet, Antwerp (about 1650)"。
なお、『バッハの鍵盤音楽』の第7章「トッカータ」に含まれる作品は下記。":" の後に「28段階難易度 [ヘンレ社難易度] 作曲年(推測)」を追加した。
- BWV910 トッカータ 嬰ヘ短調 :23 [7] 1708-
- BWV911 トッカータ ハ短調 :22 [7] 1708-
- BWV912 トッカータ ニ長調 :22 [7] 1703-07
- BWV913 トッカータ ニ短調 :21 [6] 1703-07
- BWV914 トッカータ ホ短調 :22 [6] 1707-08
- BWV915 トッカータ ト短調 :24 [7] 1707-08
- BWV916 トッカータ ト長調 :23 [6] 1708-
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️バッハ :トッカータ ホ短調 BWV 914(PTNAピアノ曲事典)
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