バッハは 1713〜1714年頃に、数人の作曲家による 20曲ほどの協奏曲を鍵盤楽器用に編曲している。オルガン曲 5曲と手鍵盤用作品 16〜17曲である。これらは単なる編曲にとどまらない優れた鍵盤楽曲となっている。
元になったのは、当時オランダに留学していたヨハン・エルンスト公子がヴァイマルに持ち帰った多くの楽譜で、ヴィヴァルディ、マルチェッロ兄弟、トレッリ、テレマンなどの作品が含まれていた。
エルンスト公子は、これらの作品と自作の協奏曲の編曲をバッハ等に依頼した。
BWV972 の原曲はヴィヴァルディの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調 RV230」。Allegro、Larghetto(↓)、Allegro の 3楽章構成。
ピアノによる演奏は多くない。
シプリアン・カツァリス(Cyprien Katsaris、仏、1951 - )が「イタリア風バッハ」という CD で、イタリア協奏曲、トッカータ BWV916 とともに「協奏曲」BWV972/ 973/ 975/ 976/ 977/ 978/ 980(主にヴィヴァルディ原曲)を録音している。いい感じの演奏だ ♪
現在は 7枚CDセット "Cyprien Katsaris: the Sony Recordings" の 1枚目に入っている。
(BWV972:トラックNo. 4〜6)
あと、バッハの鍵盤音楽の全曲録音(Bach, J.S.: Complete Keyboard Works)をしているイーヴォ・ヤンセン(Ivo Janssen、オランダ、1963 - )の CD はある。
(BWV972:トラックNo. 1〜3)
チェンバロの演奏ではオランダ・バッハ協会の音源が下記。演奏は Richard Egarr という人、使用楽器は "Johannes Ruckers, 1640"。
『バッハの鍵盤音楽』の第8章「協奏曲編曲」に含まれる作品は下記。( )内は原曲。
- BWV972 協奏曲第1番 ニ長調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV973 協奏曲第2番 ト長調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV975 協奏曲第4番 ト短調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV976 協奏曲第5番 ハ長調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV978 協奏曲第7番 ヘ長調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV980 協奏曲第9番 ト長調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV977 協奏曲第6番 ハ長調(?)
- BWV974 協奏曲第3番 ニ短調(アレッサンドロ・マルチェッロ Ob)
- BWV981 協奏曲第10番 ハ短調(ベネデット・マルチェッロ)
- BWV979 協奏曲第8番 ロ短調(トレッリ Vn)
- BWV985 協奏曲第14番 ト短調(テレマン Vn)
- BWV982 協奏曲第11番 変ロ長調(ヨハン・エルンスト Vn)
- BWV987 協奏曲第16番 ニ短調(ヨハン・エルンスト Vn)
- BWV984 協奏曲第13番 ハ長調(ヨハン・エルンスト Vn)
- BWV592a 協奏曲 ト長調(ヨハン・エルンスト Vn)
- BWV983 協奏曲第12番 ト短調(?)
- BWV986 協奏曲第15番 ト長調(?)
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️バッハと協奏曲(音楽サロン)
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