原曲はヨハン・エルンストのヴァイオリン協奏曲第8番 Op.1-2。バッハがオルガン用に編曲した BWV592 から、さらに手鍵盤(チェンバロ)用に編曲したもの。単純化しただけではなく、徹底的に改定されており、当時人気があったようだ。
《バッハ:ピアノソロ曲なのに「協奏曲」?》
ヨハン・エルンスト公子は、音楽好きで知られたザクセン=ヴァイマール公国の君主、ヨハン=エルンスト公の息子。少年時代から非凡な楽才を発揮し天才貴公子として知られていたが、18歳で夭折する。
バッハは、彼のヴァイオリン協奏曲の中から2曲をオルガン用(BWV592、595)に、3曲をチェンバロ用(BWV982、984、987)に編曲した。オルガン用に編曲されたBWV592をチェンバロ版にしたものが BWV592a である。
エルンスト公子の全ヴァイオリン協奏曲 8曲と、バッハがチェンバロ用に編曲した 3曲(BWV 987/ 982/ 592a)を収録したアルバムを YouTube で聴くことができる。
演奏は、Anne Schumann(Vn)、Fürsten-Musik(Orch)、Sebastian Knebel(Cemb)。
『バッハの鍵盤音楽』の著者、デイヴィッド・シューレンバーグは「終楽章(↓)は…親しみやすく、編曲も巧妙に行われているので、アンコール曲などとして、もっと演奏されてよい」と書いている。
ピアノでの演奏は多くない。
イーヴォ・ヤンセン(Ivo Janssen、オランダ、1963 - )
チェンバロは、エルンストのヴァイオリン協奏曲全集からセバスティアン・クネーベル(Sebastian Knebel)という人の演奏。
(BWV592a:トラックNo.29〜31)
元になったオルガン曲 BWV592 はオランダ・バッハ協会の演奏を聴いてみた。演奏は Leo van Doeselaar、使用楽器は "Christian Müller, 1734"。
『バッハの鍵盤音楽』の第8章「協奏曲編曲」に含まれる作品は下記。( )内は原曲。
- BWV972 協奏曲第1番 ニ長調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV973 協奏曲第2番 ト長調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV975 協奏曲第4番 ト短調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV976 協奏曲第5番 ハ長調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV978 協奏曲第7番 ヘ長調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV980 協奏曲第9番 ト長調(ヴィヴァルディ Vn)
- BWV977 協奏曲第6番 ハ長調(?)
- BWV974 協奏曲第3番 ニ短調(アレッサンドロ・マルチェッロ Ob)
- BWV981 協奏曲第10番 ハ短調(ベネデット・マルチェッロ)
- BWV979 協奏曲第8番 ロ短調(トレッリ Vn)
- BWV985 協奏曲第14番 ト短調(テレマン Vn)
- BWV982 協奏曲第11番 変ロ長調(ヨハン・エルンスト Vn)
- BWV987 協奏曲第16番 ニ短調(ヨハン・エルンスト Vn)
- BWV984 協奏曲第13番 ハ長調(ヨハン・エルンスト Vn)
- BWV592a 協奏曲 ト長調(ヨハン・エルンスト Vn)
- BWV983 協奏曲第12番 ト短調(?)
- BWV986 協奏曲第15番 ト長調(?)
📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)
✏️バッハと協奏曲(音楽サロン)
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