《鍵盤音楽史:現代》 34人目の作曲家は、ペール・ノルドグレン(Pehr Nordgren, フィンランド, 1944-2008)
。
舘野泉さんとの関係(小泉八雲『怪談』に関連するピアノ曲)からの連想で、ピアノ作品が多いのかな?…と勝手に思っていたが意外に少ないようだ。
ペール・ヘンリク・ノルドグレン(Pehr Henrik Nordgren, 1944年1月19日 - 2008年8月25日)はフィンランドの作曲家。オーランド諸島のSaltvikの生まれ。
1958年からヘルシンキで作曲のレッスンを受ける。1962年から1967年までヘルシンキ大学で楽理を、また1965年から1969年にかけてヨーナス・コッコネン(Joonas Kokkonen)に個人的に師事する。1970年から1973年には東京藝術大学で、長谷川良夫の下で作曲を学ぶとともに、日本の伝統音楽を知り、すぐに音楽的影響を受けることになる。
1973年、東京でShinobu Suzukiと結婚後、フィンランドに戻り、フリーランスの作曲家として身を立てる。また、オストロボスニア室内管弦楽団(Ostrobothnian Chamber Orchestra)ならびにそのリーダー、ユハ・カンガス(Juha Kangas)との協力関係から、たくさんの管弦楽作品を作曲している。
作風は、主に十二音技法とジェルジ・リゲティのトーン・クラスター技法から来ている。弦楽作品を中心に独自の世界を構築している。また、日本の伝統音楽やフィンランドの楽器や民謡が重要な役割を果たしている作品も多い。
9曲の交響曲、ピアノやヴァイオリン以外にカンテレ(フィンランドの民族楽器)や和楽器を含む 26曲の協奏曲、8曲の弦楽四重奏曲、多くの管弦楽作品・室内楽作品・器楽作品、そして声楽作品、オペラなどたくさんの作品を残している。
『怪談』シリーズ以外にピアノ作品はなく、舘野泉さんが委嘱していたピアノソナタが未完に終わったのが残念である。
- 小泉八雲の怪談によるバラード(1972-77年)
- 耳なし芳一 *1
- おしどり *1
- 無間鐘
- お貞
- むじな
- 雪女
- ろくろ首
- 安芸之助の夢
- 食人鬼
- 十六ざくら
- 小泉八雲の怪談によるバラードII Op.127 (2004年):左手用 *2
- 振袖火事
- 衝立の女
- 忠五郎の話
*1「耳なし芳一」と「おしどり」は舘野泉の委嘱。
*2 舘野泉に献呈。
ピアノ協奏曲、室内楽としては以下のものがある。
- ピアノ協奏曲Op.23(1975年)
- ピアノ五重奏曲 Op.44(1978年)
- ピアノ三重奏曲 Op.49(1980年)
- ピアノ協奏曲 No. 2, Op. 112 (2001)
- 左手ピアノと室内オーケストラのための協奏曲 Op.129 (2004年) *3
*3 小泉八雲の『怪談』の一節「死体にまたがった男」による。舘野泉の委嘱。ピアノ協奏曲第3番と呼ばれることもあるようだ。
全音から『小泉八雲の怪談によるバラード』が出版されていて、この楽譜に対して『あるピアニストの一生』に田所先生の難易度評価と簡単なコメントが載っている。
✏️ノルドグレン 小泉八雲の怪談によるバラード(あるピアニストの一生)
田所先生おすすめの曲は「雪女」と「耳なし芳一」。「雪女」に対するコメントはこんな感じ(↓)。原作(小泉八雲の『怪談』)を読んでおくこと…と書いてあるものが多い。
「曲集中最も有名。内部奏法が氷の音を示していて実に効果的。私はギターのピックのハードで弾くが琴の爪を使う人もいるらしい。 譜面面よりはかなり弾きにくい。少なくともこの曲に関しては原作を読んでおく必要あり。ほぼ原作を追うように音楽がつくられている」
なお、《難易度別ピアノ曲(最上級)》にこの 10曲を追加した。28段階難易度で「24〜28」という難しい曲ばかりなので、私が練習することはなさそうだが…(^^;)。
ノルドグレンのピアノ曲を聴くなら舘野泉さんということで、この音源(↓)を聴いた。なぜか、「安芸之助の夢」が入ってなくて 9曲のバラードとなっているが…。
ピアノ協奏曲も 1曲聴いてみた。…が、あまり好みではない。『怪談』の一節「死体にまたがった男」による作品なので、ちょっと不気味…(^^;)。
主な参考記事は下記。
✏️ペール・ヘンリク・ノルドグレン(Wikipedia)
✏️ノルドグレン 小泉八雲の怪談によるバラード(あるピアニストの一生)
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