《鍵盤音楽史:現代》 36(+2)人目の作曲家(&指揮者)は、ジョン・クーリッジ・アダムズ(John Coolidge Adams, 米, 1947-)。
このブログでアダムズを取り上げたのは 3つ目のピアノ協奏曲 "Must the Devil Have All the Good Tunes?" のときだが、ピアノ曲 "China Gates" などは何となく知っていた。
「ジョン・アダムズ」という作曲家は 3人ほどいるらしく、区別する場合はミドルネーム「クーリッジ」を入れるそうだ。でも、飛び抜けて有名なのがこの人なので、通常は「ジョン・アダムズ」で大丈夫なようだ。
ジョン・アダムズは、1947年、米国マサチューセッツ州ウォーセスター生まれ。1965年ハーバード大学音楽学部に入学。卒業後、サンフランシスコ音楽院で教鞭を執り、現代アメリカで最も尊敬を集める作曲家のひとり。
ミニマル音楽からネオ・ロマン派、ストラヴィンスキーなどを媒介にしたジャズの影響など、多彩な作風で多くの作品を発表。代表作に管弦楽曲『ハルモニーレーレ』『シェイカー・ループス』、歌劇『中国のニクソン』『ドクター・アトミック』『クリングホーファーの死』など。同時多発テロ犠牲者追悼曲『魂の転生』でピューリッツァー賞受賞。
指揮者としても世界各地の名門オケに客演しており、自作以外にもレナード・ローゼンマン、武満 徹などの作品や、映画音楽などを指揮して注目を集めている。
9つのオペラや劇場作品、多くの管弦楽作品・合唱曲・室内楽・器楽曲、そして映画音楽などを手がけている。
出典:✏️アメリカを代表する現代音楽作曲家ジョン・アダムズの75歳記念ボックス(HMV)
ピアノ作品の数は多くはないが、ほとんどの曲が人気作品で多くの演奏家に取り上げられている。出典:✏️John Adams (composer)(Wikipedia /英語)
ピアノ曲。
- Phrygian Gates (1977)
- China Gates (1977)
- Hallelujah Junction (for two pianos) (1996)
- American Berserk (2001)
- Roll Over Beethoven (for two pianos) (2014) *
- I Still Play (2017)
* Second Quartet(2014)の 2台ピアノ編曲版(Preben Antonsen 編)。
ピアノ協奏曲。
- Eros Piano (for piano and orchestra) (1989)
- Century Rolls (concerto for piano and orchestra) (1997)
- Must the Devil Have All the Good Tunes? (concerto for piano and orchestra) (2018)
ピアノ:Gloria Cheng
ピアノ:ユジャ・ワン
上の2作品はジョン・アダムズの原点とも言えるミニマリズムによるピアノ曲。作曲家本人は「アメリカのミニマリストだけでなく、英国の Howard Skempton、Christopher Hobbes、John White などの作曲家を意識していた」と言っている。
ただ、当初から "a Minimalist bored with Minimalism"(ミニマリズムに飽きたミニマリスト)とい評価されていたように、ミニマル音楽を超える要素を含んだ作品となっている。
ピアノ:Nicolas Hodges、Rolf Hind
これもミニマル的な作品だが、同質の楽器 2台の音が微妙にズレることで生み出される音響による効果を狙っている。ピアノの音の美しさが生かされている作品だと思う ♪
ピアノ:Michael Rector
Garrick Ohlsson のために書かれた、高度な技術を要するジャジーな曲。アダムズは、アイヴズやナンカロウなど初期の米国のピアノ曲の響きを意識したと言っている。
Second Quartet の Preben Antonsen による 2台ピアノ編曲版。ベートーヴェンのピアノソナタ Op.110 とディアベリ変奏曲の中の短いフレーズを使っている。面白い ♪
ピアノ:Jeremy Denk
ジョン・アダムズの音楽をCDとして世界中に発信してきたノンサッチ・レーベル(Nonesuch Records)の社長 Bob Hurwitz 氏の退職を記念して作られた曲。
タイトルは、退職後も毎日ピアノを弾いている Hurwitz 氏を表していて、曲調は Hurwitz 氏が長年愛してきたゴルトベルク変奏曲を意識したものとなっているそうだ。
ちなみに、この曲を初演した Jeremy Denk のゴルトベルク変奏曲はノンサッチ・レーベルから出ている。
ピアノ:Paul Crossley
オーケストラ:John Adams 指揮 Orchestra Of St. Luke's
第1番に相当する "Eros Piano" は武満徹の "Riverrun" に触発されて作られたもの。
武満徹はアダムズの自宅を訪れたことがあって、意気投合したようだ。中でも Bill Evans のジャズピアノのスタイルを二人とも好きだということを発見して喜んでいる。
この曲は、武満徹、Bill Evans、そして("Riverrun" を演奏していたピアニスト)Paul Crossley への tribute(賛辞、感謝の印)として作られた。
ピアノ:Emanuel Ax
オーケストラ:Christoph von Dohnányi 指揮 The Cleveland Orchestra
第2番に当たる "Century Rolls" は、ピアニスト Emanuel Ax の依頼により作られた。曲想は、アダムズが古いピアノロールを聴いたときに感じた驚きが出発点にあるようだ。
この曲は、オラフソンやゲニューシャスも弾いていて、YouTube に音源があるが、録音状態はあまり良くない。演奏もエマニュエル・アックスが一番いい感じ ♪
ピアノ:ユジャ・ワン
オーケストラ:グスターボ・ドゥダメル指揮 LAフィル
LAフィル創立100周年記念ツアーのために委嘱されたもの。
主な参考記事は下記。
✏️ジョン・クーリッジ・アダムズ(Wikipedia)
✏️John Adams (composer)(Wikipedia /英語)
✏️JOHN ADAMS(本人公式サイト)
0 件のコメント:
コメントを投稿