2022年9月7日水曜日

ラルス・フォークトさん、早すぎる死を悼む…

私の好きなピアニストの一人であるラルス・フォークトさんががんのため亡くなった。闘病中というのは知っていたが、あまりに早い突然の報せだった…。

✏️【追悼】ピアニスト、指揮者 ラルス・フォークトさん 51歳




多くの人が弔辞やメッセージを送っているが、オラフソンが紹介しているラルス・フォークトさんの言葉は、心にズシンと響いた。

"Enjoy the music. Everything is so fragile. It's not a given that we can make that music.❤️"




死の恐怖と闘いながら演奏活動を続けていた(10月に来日予定だった…)彼の言葉だけに、"Everything is so fragile." というのも実感がこもっている。

音楽が出来るということも "a given"(あって当然のこと)ではない。病のために以前のようには弾けなくなって、まだ弾いていない沢山の美しいピアノ曲があって…。

私事ではあるが、昨年と今年に私の友人が立て続けにがんの手術をして…。二人とも、元気に退院してはいるのだが、同年代の私としてはとても人ごとではない。

私自身の下手なピアノの練習も、出来る間はそのことに感謝しながら精一杯やりたいと改めて思った…。


ラルス・フォークトさんのことは、私がピアノを始めてわりとすぐに知った。色んなピアニストを聴いてお気に入りを探す中で…。

ピアノ音楽の鑑賞能力も低い私が、上から目線でランク(お気に入り度)付けのようなことをしている…(^^;)。このときは「B+」としてあるが、モーツァルトのコンチェルト16番 K451 はとても気に入っていた。

モーツァルトの協奏曲…16番の方は素晴らしい。規模の大きな室内楽を聴いているかのように、ピアノとオーケストラの息がぴったり合っている。それでいてピアノ(の音色)の存在感はしっかりして美しい



その後ときおり演奏に触れる中で、演奏もさることながら、滲み出る誠実さや人間性に好感度はとても高いピアニストだった。

今、上の記事を書いたときに聴いたモーツァルト(↓)を聴きながらこの記事を書いているが、本当に素晴らしい演奏だと改めて思う ♪

♪ Mozart Concerto for piano and orchestra No. 16 in D major, K 451 - LARS VOGT


7月に "Living The Classical Life" がインタビューをしていて、それが YouTube にアップされている。死の 1ヶ月ほど前の最後のインタビューとなった。


英語なので半分も聞き取れないが、ピアノのことや家族のことなど、ときおり滲む「悔しさ」のようなものがなんとも言えない…。

師であるカール=ハインツ・ケマーリングの言葉が演奏中に聞こえることがある…というくだりは、自分の死を思いながらしゃべっているのかも知れない…と思った。


私のような一般のファンにとっても、直接の関わりはなくても、多くの演奏(録音)やこういうインタビュー映像で、いつまでも私たちの心に残っていくのだろうと思う。

心からご冥福をお祈りする。



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