《鍵盤音楽史:現代》 31人目の作曲家は、ニコライ・カプースチン(Nikolai Kapustin, ウクライナ, 1937-2020)。クラシック音楽の形式にジャズをとり込んだ作曲家。
2014年にアマチュアのコンサートで初めて聴いて、好きになった作曲家である。
「ソナチネ Op.100」を何度も練習曲の候補に挙げながら、難しくて(ジャズは聴くのはいいが、弾くのは…(^^;)…)いまだに弾けてない作曲家でもある。
© Peter Andersen |
なお、以前は「ロシアの作曲家」という表記が多かったように思うが、プーチンのウクライナ侵略の影響なのか、最近は「ウクライナ出身」となっている場合もある。
カプースチンはウクライナ東部、ドネツク州のホルリウカ(ゴルロフカ)市の出身。
7歳でピアノの手ほどきを受け始める。14歳からは、モスクワ音楽高等学校でA.ルッバーフに師事。その後モスクワ音楽院ピアノ科に入学してA.ゴリデンヴェイゼルのクラスで5年間学ぶ。
高校時代にアメリカのラジオ放送「ヴォイス・オブ・アメリカ」でジャズを聴いて強く心を引かれる。この頃から作曲を始め、1957年には自作の『コンチェルティーノ 作品1』を公で初演奏、ジャズ・クインテットでの活動も始める。
1961年に音楽院を卒業すると同時にオレグ・ルンドストレーム率いるジャズ・オーケストラのメンバーとして、作曲家・ピアニストとして活躍。1972年~77年はカラムイシェフのシンフォニック・バンドで、1977年~84年は国立映画音楽オーケストラで活動した後、1984年に公の演奏活動を退いて作曲家として独立。
生涯にピアノ曲(ピアノソナタ 20曲、ピアノ協奏曲 6曲など)やオーケストラ、ビッグバンドの曲、室内楽作品など全161の作品を生み出し、多数の自作自演の録音を残した。
その作品の多くは、エチュード、前奏曲、フーガ、ピアノソナタ、ピアノ協奏曲などのクラシック音楽の形式の中に、ふんだんにジャズ音楽を盛り込んだもので、ピアノ音楽の新しい時代を切り拓いたと言っていいだろう。
参考『カプースチン ピアノ音楽の新たな扉を開く』(川上昌裕著)
カプースチンのピアノ作品は膨大なので、✏️ニコライ・カプースチン(Wikipedia)の「主な作品」のピアノソロ曲、ピアノ協奏曲、室内楽を引用させて戴く。詳しい作品一覧は✏️カプースチンの楽曲一覧(Wikipedia)にある。
ピアノソロ曲
- 1977:古典様式による組曲 Op.28
- 1984:ピアノソナタ第1番 Op.39
- 1984:8つの演奏会用練習曲 Op.40
- 1988:24の前奏曲 Op.53
- 1989:ピアノソナタ第2番 Op.54
- 1990:ピアノソナタ第3番 Op.55
- 1991:10のバガテル Op.59
- 1991:ピアノソナタ第4番 Op.60
- 1991:ピアノソナタ第5番 Op.61
- 1991:ピアノソナタ第6番 Op.62
- 1991:ピアノソナタ第7番 Op.64
- 1991:3つの即興曲 Op.66
- 1995:ピアノソナタ第8番 Op.77
- 1995:ピアノソナタ第9番 Op.78
- 1996:ピアノソナタ第10番 Op.81
- 1997 :24の前奏曲とフーガ Op.82
- 2000:ソナチネ Op.100
- 2000:ピアノソナタ第11番 Op.101
- 2001:ピアノソナタ第12番 Op.102
- 2003:ピアノソナタ第13番 Op.110
- 2004:ピアノソナタ第14番 Op.120
- 2005:ピアノソナタ第15番 Op.127
- 2006:ピアノソナタ第16番 Op.131
- 2008:ピアノソナタ第17番 Op.134
- 2008:ピアノソナタ第18番 Op.135
- 2011:ピアノソナタ第19番 Op.143
- 2011:ピアノソナタ第20番 Op.144
ピアノ協奏曲的な作りの作品。
- 1957:ピアノ小協奏曲 Op.1
- 1961:ピアノ協奏曲第1番 Op.2
- 1962:ピアノとジャズバンドのための変奏曲 Op.3
- 1964:ピアノと管弦楽のためのトッカータ Op.8
- 1968:ピアノと管弦楽のための間奏曲 Op.13
- 1972:ピアノと管弦楽のための夜想曲 Op.16
- 1974:ピアノ協奏曲第2番 Op.14
- 1974:ピアノと管弦楽のための練習曲 Op.19
- 1974:ピアノと管弦楽のための夜想曲 Op.20
- 1976:ピアノと管弦楽のための演奏会用狂詩曲 Op.25
- 1978:ピアノと管弦楽のためのスケルツォ Op.29
- 1982:2台のピアノと管弦楽のための小品 Op.33
- 1985:ピアノ協奏曲第3番 Op.48
- 1989:ピアノ協奏曲第4番 Op.56
- 1993:ピアノ協奏曲第5番 Op.72
- 1993:ピアノ協奏曲第6番 Op.74
- 2002:ピアノとヴァイオリンのための協奏曲 Op.105
ピアノ室内楽。
- 1998:ピアノ五重奏曲 Op.89
- 2009:ピアノ三重奏曲第1番 Op.136
- 2010:ピアノ三重奏曲第2番 Op.142
一昨日「つまみ食い」的に、気の向くままカプースチンを楽しんだ…(^^)♪
なので、ご紹介する YouTube 音源はある程度重複してしまうが、ご容赦のほどを…(^^;)。
まず、代表曲の一つ「8つの演奏会用練習曲 Op.40」は全曲をカプースチンが弾いているものは外せないだろう。
ユジャ・ワンも弾いている「変奏曲 Op.41」は、気に入ったソン・ヨルムの演奏で…♪
それから、20曲のピアノソナタから個人的に気に入ったものをいくつか。全部は聴いてないので、たまたま聴いたものの中から…。
一番有名そう(音源が多い)のは第2番で、マルカンドレ・アムランのキレのいい演奏は素晴らしいと思う ♪
第6番、Hanna Shybayeva というオランダのピアニストの演奏。
第8番、Yannick Jimeno というピアニストの演奏。
それと、Op,110 という番号が気になって?(ベートーヴェンの…)第13番を聴いてみた。比較的軽い感じの作品だが、悪くないと思う ♪ 川上昌裕さんの演奏。
あと、「24の前奏曲とフーガ Op.82」という気になる作品があったので、(たぶん初めて)聴いてみた。フーガの形式の中にジャズのフレーズがうまく組み込まれていて、ちょっと面白い ♪ 新しい感覚?かも知れない…。カプースチン本人の演奏。
ただ、演奏順が番号通りではないのだが、理由は不明。
この CD(↓)では番号通りに収録されているのだが…。
ピアノ:カプースチン
ピアノ協奏曲では第2番の演奏があった。2015年チャイコフスキーコンクールで優勝したマスレーエフ君が弾いている。もう少し元気があってもいいかな?…という印象。
室内楽も、カプースチンの場合「ジャズバンド」的で面白いかな?…と思って「ピアノ五重奏曲 Op.89」を聴いてみた。ピアノを弾いているのはカプースチン。
弦楽器が、クラシック音楽的な感じもあって、何だか不思議な音楽になっている。これも「新感覚」かも知れない…(^^;)。
主な参考記事は下記。
✏️ニコライ・カプースチン(Wikipedia)
✏️カプースチンの楽曲一覧(Wikipedia)
✏️カプースチン ピアノ音楽の新たな扉を開く(YAMAHA)
✏️追悼 ニコライ・カプースチン(ぶらあぼ)
✏️作曲家はなぜ「24の前奏曲」に惹かれてきたのか 特別寄稿:野平一郎(東京・春・音楽祭)
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