《鍵盤音楽史:現代》 5人目は、オリヴィエ・メシアン(Olivier Messiaen, 仏, 1908-1992)。
昔から名前は知っていて、「トゥランガリラ交響曲」や「幼子イエスに注ぐ20の眼差し」「鳥のカタログ」の一部は聴いたことがある。その僅かな知識と経験で、何となくのイメージは持っているが「知っている」とは言い難い…というレベルの作曲家…かな…?
今回かなりの曲を聴いたが、偉大すぎて、膨大すぎてまだ十分に消化できてない…(^^;)。
有名人なので、プロフィールや解説は「引用」で済ませたい…(^^;)。以下「コトバンク/ メシアン」から二つほど引用。要訳の仕方が色々で面白い ♪
短いバージョン(デジタル大辞泉)。
フランスの作曲家。独自の音組織、リズムの革新、セリー技法など新しい手法を探究。作品はカトリシズムに根源を置き、神秘的な様相をもつ。作品に「アーメンの幻影」「トゥランガリラ交響曲」など。
長いバージョンで気に入ったのは下記(百科事典マイペディア)。
フランスの作曲家,オルガン奏者。英文学者の父と詩人の母の間に生まれ,少年時代をグルノーブルで送る。早くから音楽と文学に関心を寄せ,10歳の折,ドビュッシーの《ペレアスとメリザンド》の楽譜に決定的な影響を受ける。
1919年パリ音楽院(コンセルバトアール)に入学し,デュカース,M.デュプレらに学ぶ。1930年,管弦楽曲《忘れられた捧げもの》で作曲家としてデビュー。1931年からパリの聖トリニテ教会オルガン奏者。1936年ジョリベらと〈ジュヌ・フランス〉を結成。
1939年兵役に就き,ドイツ軍の捕虜として収容所生活を送る中,室内楽曲《世の終わりのための四重奏曲》(1941年)を作曲。パリ送還後,母校教授に就任。ピアノ曲《みどり児イエスにそそぐ20のまなざし》(1944年),《トゥランガリラ交響曲》(1948年)などの傑作を相次いで発表する一方,ブーレーズ,シュトックハウゼン,クセナキス,クルターグらを教え,またピアノ曲《リズムのための4つのエチュード》(1949年−1950年)で第2次大戦後のヨーロッパ作曲界に大きな影響を与えた(ミュジック・セリエル)。
カトリック信仰に深く根ざした神秘的作風で知られ,独自の旋法と和声法の体系,インド音楽などに学んだ複雑新鮮なリズム,世界各地で採譜し続けた鳥の声にもとづく特異な語法など,多面的な要素を統合したスケールの大きな創作活動を晩年まで続けた。
主要作品はほかに,歌曲集《ハラウィ――愛と死の歌》(1945年),管弦楽曲《異国の鳥たち》(1956年),オラトリオ《主イエス・キリストの変容》(1969年),管弦楽曲《峡谷から星たちへ》(1974年),オペラ《アッシジの聖フランチェスコ》(1975年−1983年)など。
ピアノ作品 15、ピアノと管弦楽のための作品 7 に、有名な「トゥーランガリラ交響曲」「世の終わりのための四重奏曲」を年代順に並べてみた。ピアノ作品以外はグレーの文字にしてある。(出典:Wikipedia など)
- シャロットの婦人:1917
- 大天空の悲しみ:1925
- 8つの前奏曲:1928-29
- 滑稽な幻想曲:1932
- ポール・デュカスの墓のための小品(トンボー):1935
- ロンドー:1943
- 幼子イエスに注ぐ20の眼差し:1944
- カンテヨジャーヤ:1948
- 4つのリズムの練習曲:1949-50
- 鳥たちの目覚め:1953
- 異国の鳥たち:1955-56
- 鳥のカタログ:1956-58(7巻13曲)
- 7つの俳諧:1962
- 天の都市の色彩:1963
- ニワムシクイ:1970
- 峡谷から星たちへ…:1970-74
- 庭のほおじろ:1972
- 鳥の小スケッチ:1985(6曲)
- ステンドグラスと鳥たち:1986
- 天より来たりし都市:1987-88
- 世の終わりのための四重奏曲:1940(vn,cl,vc,pf)
- アーメンの幻影:1943(2pf、7曲)
- トゥーランガリラ交響曲:1946-48(Orch,pf,ondma)
- 前奏曲:1964(遺作 2曲)
ちなみに、私のブログには、2016年にラフォルジュルネでエマールさんの「鳥のカタログ」を聴いたときの「予習」と「感想」の記事、4年ほど前にルカくん(リュカ・ドゥバルグ)を含むメンバーの「世の終わりのための四重奏曲」の感想記事があった。
2016年4月20日
2016年5月5日
2018年7月14日
以下、YouTube で聴いた音源の主なものを並べてみる。ピアニストの名前が書いてないものはメシアンの二番目の奥様、Yvonne Loriad(イヴォンヌ・ロリオ)さんの演奏。
それぞれの感想は省略するが、全体的には「現代音楽」的なのに美しい不協和音がとても魅力的だと思う。その「響き」(ピアノの音色の不思議な組み合わせ)と「リズム」の組合せが素晴らしい ♪
ただ、その「音響」が前面に来てしまうので、作品(音楽)の持つ「内容」を味わえるレベルには至らない。私の耳はメシアンに慣れていないようだ。
とくに、楽譜を見ながら聴いていると、その和音やリズムの複雑さに目が行ってしまう。これの「譜読み」は相当大変だろう…などと余計なことを考えてしまう…(^^;)。
「8つの前奏曲」
「幼子イエスに注ぐ20の眼差し」
直感的な好みで言えば、第11曲「聖母の最初の聖体拝領」(Première communion de la Vierge)、第15曲「幼子イエスの接吻」(Le baiser de l'Enfant-Jésus)あたりが気に入った。
第15曲はトリフォノオフも弾いていた。
「4つのリズムの練習曲」
「鳥たちの目覚め」(ピアノと管弦楽)
ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団、ピアノソロはピエール=ローラン・エマールという素晴らしい組合せ ♪
「鳥のカタログ」
「ニワムシクイ」
「世の終わりのための四重奏曲」
演奏は下記。
Alan Gilbert, violin
Carter Brey, cello
Anthony McGill, clarinet
Inon Barnatan, piano
「アーメンの幻影」(2台ピアノ)
第1ピアノがイヴォンヌ・ロリオ、第2ピアノはオリヴィエ・メシアン ♪
前半は重い感じであまり好きではない。ただ、第4曲「願望のアーメン」(Amen du désir)、第5曲「天使たち、聖者たちと鳥の歌声のアーメン」(Amen des anges, des saints, du chant des oiseaux)あたりはいい感じ ♪ 最後の第7曲「成就のアーメン」(Amen de la Consommation)も悪くない…。
ちなみに「世の終わりのための四重奏曲」については、やはりリュカ・ドゥバルグを含むこの CD の演奏が一番好きだ。上に挙げた音源は YouTube の中で一番気に入った演奏。
マルティン・フレスト(クラリネット 1-4,6,7)
リュカ・ドゥバルグ(ピアノ 1,2,5-8)
ジャニーヌ・ジャンセン(ヴァイオリン 1,2,4,6-8)
トーレイヴ・テデーン(チェロ 1,2,4-7)
おまけ。
ピエール=ローラン・エマールさんは、実はイヴォンヌ・ロリオさんに師事している。そして、1973年のオリヴィエ・メシアン国際コンクールで優勝している。
そして、もう一人。イヴォンヌ・ロリオさんの弟子で、メシアン本人からもその演奏を激唱されたのがロジェ・ムラロ ♪
メシアン演奏の第一人者として認められるようになったムラロが、1998年から2001年にかけてメシアンのピアノ独奏曲全曲をレコーディングしたのが下記の CD。
参考✏️メシアン:ピアノ独奏曲全集の傑作が復活(HMV)
主な参考記事は下記。
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