《鍵盤音楽史:現代》 9人目の作曲家は、ジョン・ケージ(John Cage, 米, 1912-1992)。
現代音楽というより「実験音楽」みたいなイメージが強く、知っている作品と言えば、ピアニストがピアノの前で何もせずにじっと座っているだけという「4分33秒」だけ?
これが「代表作」ということになっているが、そのために、普通に(プリペアドなど普通じゃないものもあるが…)音を出すピアノ曲があまり知られてないのは不幸かも…(^^;)?
ジョン・ケージは、米国の音楽家、作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家。1930年ヨーロッパに留学、帰国後カウエル、シェーンベルクに師事。1930年代には半音的な作品を残し、1940年代にはマース・カニングハム舞踊団の音楽監督を務め、1938年にプリペアド・ピアノを発明。
1950年代には「易の音楽」などに代表される東洋哲学による偶然性の音楽を展開、1960年代には楽器指定なしの曲を上演した。シカゴ・デザイン学校、ニューヨークのニュー・スクールなど米国各所で教壇に立った。
ピアノ関連作品を年代順に並べようと思ったのだが、膨大な作品があるので、その一部を並べてみた。いくつか読んだ記事などで取り上げられているものを中心にしている。とくに「代表作」という訳ではない。
とくに楽器編成を書いてないものはピアノソロ。プリペアド・ピアノは "P-P" と表記した。出典は✏️ジョン・ケージの楽曲一覧(Wikipedia)など。
- 3つのやさしい小品:1933
- ピアノのための2つの小品:1935?
- メタモルフォシス(変容):1938
- バッカナール:1940 P-P
- ある風景の中で "In a Landscape":1948
- ソナタとインターリュード:1946-48 P-P
- 四季:1947 P-P+orch
- トイピアノのための組曲:1948 トイピアノ/Pf
- 俳句:1950-51 P-P+室内orch
- 易の音楽:1951
- 7つの俳句:1951-52
- 4分33秒:1952
- 冬の音楽 "Winter Music":1957
- エチュード・オストラル:1974-75
- ASLSP:1985 Pf/Org "As SLow aS Possible"
- One:1987
以下、YouTube で聴いた音源の主なもの。
何を聴けばよいのかよく分からないので、まずは「ピアノ作品集」的な音源に頼ることにした。まず、見つけたのはこれ(↓)。弾いているのはイタリアのジャンカルロ・シモナッチ(Giancarlo Simonacci)というピアニスト。
一度聴いたくらいでは良さが分からないのかも知れないが、3時間弱、何度かに分けて聴いてみたが、これと言って惹かれた作品はなかった…。
元の CD は下記。
収録曲は下記。
disc1:3つの平易な小品、探求、変容、ジャズ・スタディ、三倍ゆっくりと、アドリブ、独白、オフィーリア、ピアノのための2つの小品、ある風景の中で、夢、トイ・ピアノのための組曲、7つの俳句、M.C.とD.T.のために、待機
disc2:二台ピアノのためのソクラテス(サティ/ケージ)、チープ・イミテーション
disc3:ジョン・ケージ:のエチュード(ピアノ独奏版、チェロ独奏版、チェロとピアノのための)
上の音源にはプリペアド・ピアノが含まれてないので、たぶん有名と思われる「ソナタとインターリュード」を聴いてみた。これも長い(16のソナタと 4つのインターリュードで 1時間)…(^^;)。プリペアドの音響が素晴らしく美しいものもあるが…。
普通のピアノ作品でいいものはないかと探してみた。"In a Landscape"(ある風景の中で)というシンプルな曲が割といい感じだった ♪ ピアノまたはハープで演奏する作品で、Louise Lippoldというダンサーに献呈されて振り付けられた曲のようだ。
上の動画には楽譜が表示される(↓)。弾けそうだったので、何ページ分か弾いてみたが、自分で弾くには途中で飽きそうだった…(^^;)。
「代表曲」なので「4分33秒」も聴いて?みた。ピアニストは William Marx という人。
この曲は、初めて知ったのだが、3楽章構成となっている。そして、第1楽章 30秒、第2楽章 2分23秒、第3楽章 1分40秒という長さの「休み」(tacet)が書かれているそうだ。
この長さは、時間を書いたカードをシャッフルして「偶然性」の結果で決まったものと言われている。また、当時の SPレコードに入る最大の時間にしたという説もある。
…で、ピアニストは何もしない…と勝手に思っていたのだが、上の動画では、各楽章ごとにピアノの蓋を閉め(楽章の始まる合図)ストップウォッチらしいもので時間を測り、時間が来たらピアノの蓋を開ける(楽章の終わりの合図)…という作業をしていた…(^^;)。
いくつかの作品を聴いてみて、いくつかの解説文など(文末参照)を読んでみて、素人考えで思ったのは次のようなこと。
ジョン・ケージは音楽の既成概念を打ち破り、大幅に「音楽の概念」を押し広げた人なのだろう。それを具体的な作品として提示し、かなり大きな影響を与えたのだと思われる。
なのだが、ピアノ音楽のレパートリーとして何を追加したのか?…と考えてみると、実はよく分からなくなる。少なくとも、オール・ジョン・ケージのリサイタルがあったとしても、それほど聴きに行きたいとは思わないだろう…。
プリペアド・ピアノの演奏会があれば、場合によっては興味本位で聴きに行くかも知れないが…(^^;)。
主な参考記事は下記。
✏️ジョン・ケージ 4分33秒が評価される理由(現代音楽入門)
✏️ジョン・ケージの普通のピアノ曲(楽譜の風景)
0 件のコメント:
コメントを投稿