《鍵盤音楽史:現代》 3人目は、ドミトリー・カバレフスキー(Dmitri Kabalevsky, 露, 1904-1987)。子どものための作品がピアノ発表会などでよく取り上げられる。…ということくらいしか知らないが…(^^;)。
ドミトリー・カバレフスキーは、1925年にモスクワ音楽院に進み、ニコライ・ミャスコフスキーに作曲を、アレクサンドル・ゴリジェンヴェイゼルにピアノを師事した。1939年、同音楽院の作曲科教授となる。
社会主義リアリズムに沿った作品を次々に作曲して、当時のソ連で大きな成功を収め、音楽行政上の要職を歴任。
和声法に関しては同時代人ほど冒険的でなく、より伝統的な全音階を好み、長短音階の交替や半音階技法を織り交ぜるにとどまった。子供向けに優れた作品を残した現代の作曲家の一人とみなされている。
歌曲、カンタータ、歌劇、管弦楽曲、ピアノ曲など幅広いジャンルの作品を残している。
ピアノ曲(と組曲『道化師』)年代順に並べてみた(出典:PTNAピアノ曲事典)。
- 4つの前奏曲 Op.5:1927
- ピアノソナタ 第1番 Op.6 ヘ長調:1927
- ピアノ協奏曲 第1番 Op.9 イ短調:1929
- ソナチネ 第1番 Op.13-1 ハ長調:1930
- 5つの小品 Op.14:1931
- ソナチネ 第2番 Op.13-2 ト短調:1933
- ピアノ協奏曲 第2番 Op.23 ト短調:1935
- 30の子供の小品 Op.27:1938
- 組曲『道化師』 Op.26: 1939
※第2曲「道化師のギャロップ」は日本の運動会でよく使われる - 24の前奏曲 Op.38:1943
- 24の子供のためのやさしい小品 Op.39:1944
- やさしい変奏曲 Op.40:1944
- ピアノソナタ 第2番 Op.45 変ホ長調:1945
- ピアノソナタ 第3番 Op.46 ヘ長調:1946
- ピアノ協奏曲 第3番 Op.50 ニ長調:1952
- やさしい変奏曲 Op.51:1952
- ロンド Op.59 イ短調:1958
- 4つのロンド Op.60:1958
- 6つの前奏曲とフーガ Op.61:1958
- 歌曲「学生時代」の主題による狂詩曲 Op.75:1963
- 春の遊戯と踊り Op.81:1965
- レチタティーヴォとロンド Op.84:1967
- 民謡の主題による変奏曲 Op.87:1967
- 子供の夢 Op.88:1971
- 叙情的な歌 Op.91:1971
- 35の子供のためのやさしい小品 Op.89:1972
- ピアノ協奏曲 第4番「プラハ」Op.99:1979
主要なピアノ作品がどれか、よく分からないが、日本で出版されている楽譜の例(↓全音)を見ると、子ども向けのものがほとんどのようだ。
- やさしい変奏曲集
- 6つのピアノ小曲集「こどもの夢」
- 6つのプレリュードとフーガ
- こどものためのピアノ小曲集
- 35のやさしい小曲集「こどもの冒険」
- 24のプレリュード
- 2つのソナチネ
- ピアノのための組曲《道化師》
- 春の遊びと踊り/叙情的旋律
- 24の小品集
YouTube でかなりの数の音源を聴いてみたが、正直なところ、これといった(私の個人的な好みではあるが…)鑑賞に値するような作品には出会えなかった。
やはり、ピアノ発表会(またはピアノ学習)用の作品が多いということか…?
Wikipedia に書いてあった「作品はみな、ソ連のリアリズム路線に忠実で、通俗的である」という評価に思わず納得してしまった…(^^;)。
ただ、子ども向けの音楽教育における貢献は評価されるべきなのだと思われる。「子供の演奏技術と大人の審美眼との埋め合わせを特に狙った作品を書いた」点も…。
唯一、ちょっと面白いと思ったのは、ピアノソナタ第3番(↓)。演奏は、アルトゥール・ピサロ(Artur Pizarro, 1968- )というポルトガルのピアニスト。
実は、最初に聴いたのはこのホロヴィッツの演奏(↓)であった。…のだが、途中からやや乱暴さの方が目立って、あまり好みの演奏ではなかったので、他を探したところ、上のピサロの演奏(こちらは程よく美しい ♪)を見つけた…という次第。
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