《鍵盤音楽史:現代》 2人目は、アラム・ハチャトゥリアン(Aram Khachatrian, 露, 1903-1978)。ロシアを代表する作曲家の一人とされているが、ジョージア出身のアルメニア人で、本人はアルメニア人としての誇りを生涯持ち続けたようだ。
音楽の道を志したのは 18歳の頃。1922年(19歳)にグネーシン音楽専門学校のチェロ科、作曲科に入る。1929~1934年、モスクワ音楽院でミャスコフスキー、ワシレンコなどに学ぶ。
1936年に発表した「ピアノ協奏曲」でクラシック音楽界で注目を集めるようになり、その後も「交響曲第2番」「ヴァイオリン協奏曲」「ガヤネー(ガイーヌ)」など数々の名作を発表し、音楽家としての名声を高めていった。
1956年にグネーシン音楽学校とモスクワ音楽院で教授に就任した。
1963年には来日しており、レフ・オボーリン(ピアノ)、レオニード・コーガン(ヴァイオリン)や京都市交響楽団、読売日本交響楽団との共演で、自作(交響曲第2番、ピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲など)を披露している。
ハチャトゥリアンの音楽は、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージアなどコーカサス地方の民族音楽と西洋的な手法が融合した、個性豊かでエネルギッシュな作風とされている。
モスクワ音楽院在籍中に作曲したピアノ曲「トッカータ」には、すでにアルメニアの民族音楽の影響が見られ、早くから民族音楽と西洋音楽の融合を模索していたと思われる。
また、国民楽派の延長として民族的要素を取り入れた社会主義リアリズムの代表的作曲家と見なされている。
ピアノ曲はあまり広く知られていないが、比較的よく弾かれる曲には、トッカータ変ホ短調、ワルツ(「仮面舞踏会」より)、ソナチネなどがある。
ピアノ曲と主要作品と思われるものを年代順に並べてみた(出典:Wikipedia)。「2つの小品」「詩曲」と「7つのレチタティーヴォとフーガ」(作曲年不明)は追加した。
- 2つの小品(ワルツ・カプリース、舞曲):1926
- 詩曲(Poem):1929
- ピアノのためのトッカータ:1929
- ピアノ協奏曲 変ニ長調:1936
- バレエ曲『ガヤネー(ガイーヌ)』:1939
※剣の舞、子守唄、ばらの乙女達の踊り、ガイーヌのアダージョ、レズギンカ、山岳人の踊り、など - ヴァイオリン協奏曲 ニ短調:1940
- 『仮面舞踏会』(ミハイル・レールモントフの劇のための音楽):1940
※組曲版(1943)= ワルツ、ノクターン、マズルカ、ロマンス、ギャロップの5曲 - 交響曲第2番 ホ短調「鐘」:1944
- 2台のピアノのための組曲:1945
- チェロ協奏曲 ホ短調:1946
- 子供のアルバム 第1集(ピアノ曲):1947
- 『スパルタクス』(バレエ曲):1954
- ピアノのためのソナチネ:1959
- ピアノソナタ:1961
- 7つのレチタティーヴォとフーガ:?
- 子供のアルバム 第2集(ピアノ曲):1965
- ピアノと管弦楽のためのコンチェルト・ラプソディー(改訂版):1968
「子供のアルバム」の作曲/出版年は PTNAピアノ曲事典では次のようになっている。
- 子供のアルバム 第1集「少年時代の画集」→作曲 1926年、出版 1955年
- 子供のアルバム 第2集「少年時代の響き」→作曲 1928年、出版 1967年
以下、YouTube で聴いた音源の主なもの。途中で Hayk Melikyan(ハイク・メリクヤン)に気がついて、その演奏がやや多めになっている…(^^;)♪
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第15回ハチャトゥリアン国際ピアノコンクール(2019)のオープニングの演奏のようだ。オーケストラは "Armenian State Symphony Orchestra"、指揮は Sergey Smbatyan。
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「子供のアルバム」にも「トッカータ」(最後の曲)がある。
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ギレリスの協力を得て書かれたという「ピアノ・ソナタ」。そのギレリスによる演奏。ソナチネに比べて出来がよくない…という説もあるようだが、私は悪くないと思う ♪
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ハイク・メリクヤンが「7つのレチタティーヴォとフーガ」の第7番を弾いている。他の曲も YouTube で聴ける(音源はバラバラだけど…)。
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この曲はちょっと好きかも ♪ Stepan Simonian というピアニストの演奏。
あと、有名な曲のピアノ編曲版も聴いてみた。「剣の舞」と「仮面舞踏会」
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フィギュアスケート浅田真央のプログラムで有名になった「ワルツ」は 1曲目。
おまけ。「7つのレチタティーヴォとフーガ」の楽譜は輸入版には入っているようだ。
収録曲は下記。
- Sonatina
- Sonata
- Toccata
- Sabre Dance from "Gayaneh"
- Two Pieces
- Poem
- Masquerade Waltz
- Recitatives and Fugues
- Vocalise from the film "Otello"
以上の主な出典は下記。
✏️アラム・ハチャトゥリアン(Wikipedia)
✏️大ヒット「剣の舞」作曲のハチャトゥリアン アルメニア人の誇りと故郷への愛(J-CASTトレンド)
✏️アラム・イリイチ・ハチャトゥリアンってどんな人?その生涯や性格は?死因は?(Classical-music.fun)
✏️ハチャトゥリアン来日公演(1963年)(チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ)
✏️ハチャトゥリアン:ピアノ作品集/ イヤード・スギャエル(King International)
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