✏️2018 Guide to Top Competitions(PDF)
その中に「国際音楽コンクール世界連盟」(WFIMC)の "secretary general" である Benjamin Woodroffe という人へのインタビュー記事(↓)が載っていた。
✏️Competition Insights from the Horse’s Mouth
(ナカの人からみたコンクールの内側)
このベンジャミンさんは、年間40カ国125の音楽コンクールの運営をコーディネートしている人らしい。2017年だけで、WFIMC に加盟している団体は 60のコンクールを主催しており、そこに参加する1コンクール当たりのコンペチタは平均 225人だそうだ。
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最近の音楽コンクールの傾向として、
- この5年くらいで指揮者のコンクールが増えている。それもオーケストラが主催するもの。一番新しいのはノルウェーの Trondheim 。
- 単なるヴィルトゥオーゾではなくアーティスト、つまり、本物の、成熟した "whole musicians" を求めるものが増えている。
- 複数のラウンド、例えば最初の2つのラウンドを聴いてから審査するような方式が出てきた。(多くの準備をして遠方からはるばるやって来たコンペチタへの配慮、および、より正確な審査のため)
…などの話が出ているのだが、いちばん興味深かったのは「最近成長している地域はどこ?」という質問に対する答え(↓)。
「中国ですね。例えば Harbin(ハルビン)市は音楽のセンターとなることを目指していて、信じられないようなコンサートホールを建てたり、"Schoenfeld International String Competition" のようなコンクールを始めてます」
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ハルビンと聞いてもピンとこなかったのだが、「信じられないようなコンサートホール」Harbin Grand Theater の写真(↓)を見てびっくり仰天してしまった。
Harbin Grand Theater 外観 |
Harbin Grand Theater 客席 |
1,600人収容の大ホールと400人の小ホールがあるようだ。オペラも開催できる。
✏️ Harbin Grand Theater Facebookページ
✏️ハルピン・オペラハウス(世界の建築は今)
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ここで開催されているのが、前述の "Schoenfeld International String Competition" ということだが、調べてみるとハルビン国際音楽コンクール(ピアノ、ヴァイオリン、声楽)というのも今年の1月に開催されている。
✏️ Winners Announced at 2018 International Music Competition Harbin
✏️ Schoenfeld International String Competition
それでもピンとこないので色々見ていたら、こんなブログ記事があった。これを読んでやっと納得した。こういうのを「得心が行った」というのだろう…。
✏️蘇る「音楽の都」ハルビン
少しだけ引用させていただくと、
「1920年代、… 黒龍江省のハルビンにも、ロシア人やユダヤ人が押し寄せ、可憐な文化の華を咲かせていた。ハルビンは『極東のパリ』と呼ばれた … ロシア革命を逃れてきたユダヤ人音楽家が多く留まっていた … この数奇なめぐり合わせは、今日のハルビンが自らのアイデンティティを『音楽の都』とする理由になっている」
「昭和19年5月、彼(朝比奈隆)は満洲に渡り、当時の首都新京(現在の吉林省長春)とハルビンで交響楽団を編成し、指揮を務めていた」
「当時のハルビンには多くの観客を収容できる劇場や音楽ホール、映画館などの文化施設が建てられ、室内楽や交響楽、オペラが盛んに上演されていたという」
「ハルビンの音楽家たちは当時の日本にも影響を与えている。20年代半ばには、ハルビンのオペラ歌劇団や交響楽団が日本各地を巡演しており、当時の日本人にとって初めての本格的な西欧音楽体験となった」
いやぁ、ハルビン凄い! 「音楽の都」が中国にあったとは知らなかった…(^^;)。
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おまけ。音楽コンクールの情報源。
「国際音楽コンクール世界連盟」というサイトは2年ほど前に見つけたのだが、たまに利用させていただいている。英語名は "the World Federation of International Music Competitions"。略称は WFIMC で、"International Music Council (UNESCO)" のメンバー。
他にも、マルタ・アルゲリッチがパトロンになっている "Alink - Argerich Foundation" というのがあって "An Independent Worldwide Information and Service Centre for Musicians and Competitions" というサイトを運営している。
ここには "PIANO COMPETITION CALENDAR 2018" というのがあり、小さなコンクールも含めてかなり多くの情報が記載されている。
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