✏️2019年秋、天津にジュリアード音楽院が出来る。
今回のニュースは、そのデザインが発表され、工事が始まったことがメインのようだ。
✏️The Tianjin Juilliard School
初めに、これを読んだときの感想を少し書いてみると…。
まず思い出したのが、2016年にゲルギエフがウラジオストックで始めた「マリインスキー国際極東音楽祭」。そのうたい文句が「アジア太平洋諸国を音楽で一つにする」というものであった。
→《ゲルギエフ、16歳のピアニスト George Harliono を抜擢 !?》
そして、中国のジュリアードである。クラシック音楽にも「アジア太平洋諸国」という第3の「センター」が出来つつあるのかな?とふと思ったのだ。
…と同時に思い出したのが "Japan passing" という言葉。もうずいぶん前になると思うが、主にビジネス界で欧米などから言われた「日本無用論」みたいなことを表す言葉である。日本はアジアの中心になるんだ!と意気込んできた日本のビジネスパーソンたちを非常に落胆させた言葉でもある。
そして、文化面でも(今回は主にクラシック音楽だが…)日本は結果的に "passing" されている?と見えなくもない、残念ながら…。
天津ジュリアード音楽院のことに戻ると、実は5年前には決まっていたようだ。
例えば、2012年8月3日には、吉原真里さん(『ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール』の著者)がこんな(↓)ブログ記事を書いている。
✏️ジュリアード、中国に進出
この中に、「ジュリアードに在籍する音楽専攻の学生647人のうち、留学生は195人。その出身国の内訳は、韓国59人、カナダ39人、中国38人(ちなみに日本は6人)」とある。
日中韓で100人を超えている。アジア進出も当然のようにも見える。
また、2015年の公式発表時には、なんと中国のファーストレディ(習近平の奥さん)Peng Liyuan がニューヨークのジュリアード音楽院を訪れている(↓)。中国の力の入れ方が想像できる。
✏️Juilliard announces plans for The Tianjin Juilliard School in China
どこかの国のファーストレディ(とその夫?)も、怪しげな学園と関わって税金のムダ使いを怪しまれるようなことではなく、もっと国民が誇れるようなことをやってほしいと思うのだが…。
どんな内容になるかの詳細は発表されていないようだ。日本語でのニュース記事で分かりやすかったのはこれ(↓)。
✏️米・ジュリアード音楽院初の海外分校が天津に 2019年開校予定
これによると、「オーケストラや室内楽の演奏、ピアノ芸術指導修士課程、プレカレッジ課程、楽器訓練課程、成人教育など、さまざまなコース」が予定されており、「5年目をめどに在学の修士課程240人、プレカレッジ生200人」くらいの規模を考えているようだ。
なお、「ピアノ芸術指導修士課程」は英文記事では "collaborative piano" となっている。声楽や器楽の伴奏、室内楽でのピアノ演奏、音楽教育理論などを含む課程と思われる。「ピアノ科」みたいなものは「楽器訓練課程」に含まれるのだろうか?
まぁ、日本人にとっても、近くに「ジュリアード」が出来るわけなので、ここは「日本ファースト」とかにこだわらず、素直に喜ぶべきなのだろう…とは思う…(^^;)。
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