2018年3月19日月曜日

ヘンレ社の楽譜は手彫りの金属原版で印刷している!?

たまたま「ヘンレ版ピアノ楽譜の全タイトル」が集合するみたいな宣伝記事(ヘンレ社 ピアノコレクション)を見ていたら、「ヘンレ原典版の制作過程」という写真(↓)が載っていた。

何と、金属板に何か型(たぶん音符?)を打ちつけたり、彫刻刀のようなもので彫ったりしている。凹版版画のエングレービングみたいなことをやっているように見える。

そうか、ヘンレ社は今でも職人が手作業で版を彫っているのか…(^^;)? IT全盛時代にそんなわけないだろうと思いながら、面白いので少し調べてみた。



ヘンレ社サイトの "The Publishing House" というページを見ると、

"Our musical scores are engraved by first-class craftsmen. … A large number of the Urtext editions in our backlist were, however, engraved by hand, using traditional metal plate engraving techniques."

…と書いてある。「我々のスコアは一級の職人によって "engrave" されている … 大多数の原典版は伝統的な金属板のエングレービング技術によって…」…え!本当なのか?

さらに、"Music Engraving" というページに説明があって、制作過程の動画もある。見てみると実に面白い。でも、大変な作業だ…。音符の「ぼう」や長いスラーなどはフリーハンドで彫っている。本当なのか…。


それでも、まだ信じられずに調べていたら、こんな記事(↓)を発見した。

✏️What Is a Music Engraver? (And What Does It Take to Become One?)

ここに、次のように書いてある。

"With the exception of a small few publishers, most current publishers use computer software to make their sheet music. G. Henle Verlag only just recently switched to software!"

「ほんの少数の例外を除いて、ほとんどの出版社はコンピュータソフトを使っている。ヘンレ社はつい最近になってやっとソフトに切り替えた!」そうだ。この記事が書かれたのは2016年1月12日である。

なので、今流通しているかなりの楽譜はおそらく「手彫り」なのだろうと思われる。

ちなみに、"Sibelius" と "Finale" というのがよく使われる二大ソフト(アプリ)のようだ。この記事には「音符タイプライター」?の写真なども載っていて面白い。


ところで、この原版「売り」に出ていたりする。"Bach Partita 2 BWV826" のものが 1枚 £40 だそうですが、いかがですか…?(下の写真は一部を拡大したもの)

✏️Henle Original Music Engraving Plate



おまけ。『ヘンレ社 ピアノコレクション』の記事には、人気ランキング(定番レパートリ)とスタッフのおすすめ10選というのがあって…。

定番のトップは『ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ全集 第1巻』で、まぁそうだろうと思ったのですが…




スタッフのおすすめトップは『At the Piano - ブラームスの有名な15のピアノ小品』というもので、「へ〜っ、そうなんだ」「そんなのがあるんだ」と思いました…(^^)。




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