『ピアノ奏法―音楽を表現する喜び』
この本、実はピアノを始めた4年くらい前にざっと読んでいるはずなのだが、内容はほとんど覚えていなかった。当時の私には難しすぎて(言葉や楽譜もよく分からなくて…)目を通しただけになっていたようだ…(^^;)。
なので、今回ちゃんと読んでみた。
この本は、読み始めたときの「第一印象」がとても良かった。
まず第1章から「良い演奏とは?」というタイトル。私が一番興味を持っていることだ。で、第3章に「表現のためのテクニック」とあるのもいい。テクニックは表現のためにあるべきだし、表現したいものに応じたテクニックがあるはずだと思っている。
そして、第1章の初めにいきなり出てくる「『ピアノを弾くことが楽しい』と感じられるようになること」というメッセージを読んでとても嬉しくなってしまった。以下、いいな♪と思ったことなどをメモっておきたい。
練習については「弾かないで楽譜を読む時間を作る」のが大事だと書いてある。ソルフェージュ能力の低い(楽譜を見て歌えない)私にとって、これはかなりの難関だ。
ただ、具体的例で説明してあるので「楽譜を読む」イメージは少しは分かったかも…。
で、実際にピアノを弾くときは、「音楽のイメージが先行していること」ネイガウスさんも言っていた…)、頭だけでなく「感情が一緒に動いていること」(シーモアさんも言っていた…)などと書いてあるが、なかなか一筋縄では行かない。(でも、心がけたい…)
一つのヒントは「フレーズの形」を意識して、それが自分のイメージするきれいな姿になっているかどうかを耳でチェックすること。これは、ちょっと試してみようかと思った。
それから「難所」の練習にも触れてあるが、「特別な練習方法はありません」とそっけない…。大切なことは「音を出す前の準備」で、腕や身体が柔らかさを保っていることがポイントだとある。それがなかなか難しいのだが…(^^;)。
まぁ、難所に「じっくり繰り返し取り組む」ことが基本で、ある程度弾けるようになったら少し前から弾く→さらに前から弾く→さらに前から…というふうにやって行く方法(手順)が紹介されている。
ピアノ奏法や技術について面白かったのは、一つの同じ旋律をバロック、古典、ロマンそれぞれの弾き方で「実演」しているところ。楽譜で見ると、装飾音符や強弱の付け方が違う。奏法としては、バロックと古典は指による奏法、ロマンは重量奏法と使い分けている。
技術的なことでナルホドと思ったのは「タッチの方向」。指が鍵盤に当たるとき(とその前後)の動きにいろんな種類があるということが説明されている。
具体的には、上下運動(上から下、下から突き上げる)、腕の振り(外側から内へ、内側から外へ)、出し入れの運動(押し出す、手前に引く、つかむ/ひっかく)など。こういうことはあまり考えたことがなかったので、少し気にしてみようと思う。
また、ピアノを弾いているときには常に「キーに密着している指先を意識すること」が重要だとのこと。これも努力してみようと思う。もちろん「指が独立に動くこと」も大事…というのは分かっちゃいるがなかなか…(^^;)。
それから、新しい言葉(ドイツ語)を二つ覚えた。「シュッテルング:Schüttelung」(腕の振り)と「ロールング:Rollung」(腕を回す)。
「シュッテルング」は『シャンドール ピアノ教本』に出てきた「回転」(↓)と同じ?
《シャンドール ピアノ教本5:基本動作③回転》
《難所攻略法:オクターブのトレモロ=回転+脱力+高速移動!》
「ロールング」の方は、図で見るといわゆる「手首の回転」のように思える。これはあまり得意ではない。
あと、ペダルについては、以前《ピアノ奏法:「ペダルの現代技法」は体系的で分かりやすい ♪》でいい本を見つけたと思ったが、この本にも体系的な説明があって分かりやすい。「ピッツィカート」や「ディミヌエンド」の効果を出すペダル奏法は初めて知った。
最後の章にある「演奏の基本感覚」というのは、当たり前のことのようで、あまり意識していなかったなぁと深く反省した部分である。
簡単に言うと「ハーモニー感、テンポ感、リズム感、曲の形を感覚でとらえること」なのだが、頭では分かっていても「感覚で捉える」となるとかなり怪しくなる…。
ここでいう「曲の形」というのは、曲の形式や構造、曲全体の流れや起伏、そしてそれを構成するモティーフなど素材の形などのこと。
チロルさんのコメントには「piaさんが好きそうな内容だと思います」とあったのだが、「はい、まったくその通りでした(^^)」。この本の存在を思い出させて戴いて、ありがとうございました ♪
この本に書いてある「ピアノと向かい合っているのが、自分にとって何か特別な時間」になるよう、この本を「座右の書」にして頑張りたいと思います…(^o^)。
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