久しぶりに少し「重い」本を読んだ。『ピアノ演奏芸術―ある教育者の手記』という本である。著者のゲンリッヒ・ネイガウスという人は、リヒテルやギレリスを育てた有名なピアニスト・教育者だそうである。したがって、本の内容はやや高度であるようだ。(十分に理解できていないので「ようだ」としか言えない)
奏法や練習方法を知るためではなく、「いい音楽・演奏とは何か」という私自身の問題意識を考えるためのヒントが見つかるかもしれない、という気持ちで読み始めた本である。
内容は、ピアニスト・モスクワ音楽院教授としての豊富な経験を元にピアノ音楽・演奏・教育などについて、理論や考え方とともに具体的なレッスン内容についても書かれている。ただ、理路整然というより、豊富な話題が次々と展開されたりするので、あまり読みやすい本ではなかった。
まずしっかり押さえるべきことは、レッスン(音楽教育)のヒエラルキー(重要度)に関する下記の記述だと思う。これを基本に、他のリズムや音や技術に関する部分を読むべきだと感じた。
「第1には〈芸術的イメージ〉の修得…、第2には〈芸術的イメージ〉の実体化・具象化…、第3(最後)に芸術的課題を解決するために必要な技術全般」
つまり、まずは〈芸術的イメージ〉を持つことが重要かつ先行すべきであり、そのイメージをピアノの音・演奏としていかに忠実に実体化(演奏・弾くこと)するかが肝要である。
すべての「技術」は、その実体化を可能にするために必要となる。ということであり、その逆ではない、ということだと思う。著者は、子どもの入門者に対してさえもそうあるべきと書いている。
当然といえばそうなのだが、「技術先行・偏重」のピアノ教育が多いような話をよく聞くので、何度でも立ち返るべき原点・基本なのだろうと思う。
第2・第3の〈芸術的イメージ〉の実体化から技術の話に関しては、第2章でリズム、第3章で音、第4章で技術全般の話と補足として運指法・ペダルの話が書かれている。
最後の二つの章は「先生と学生」「コンサート活動について」であるが、あまり興味がないので読み飛ばした。
いずれにしても、ほとんど咀嚼できてないので、もう一度気になる箇所を読み返してみたいと考えている。冬休みの宿題かな…。(定年生活なのでそもそも「冬休み」はないのだが…)
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