ステージには、スタインウェイのD-274(ドイツ製)とヤマハのCFⅢSAが並べて置かれていた。スタインウェイが客席側。で、椅子も、背もたれのついた普通のものと、リサイタルなどで見かけるベンチ式のものが置いてあった。私は迷わずベンチ式を選択。
最初にヤマハとスタインウェイとを軽く弾き比べてみて、もちろんスタインウェイを弾くことにした。…のだが、ヤマハもなかなかいい感じではあった。スタインウェイよりややタッチが重い感じだが、弾き心地・レスポンスはいい。音も伸びのあるまろやかな響きで嫌いではなかった。
というか、ピアノでこんなに違うんだということを肌身で感じた。コンクールでピアノ選びをするコンテスタントの気持ちも少し理解できるような気がした。
いよいよ私の番が来て、スタインウェイの前に座った。いい気分だ ♪
生まれて初めて、ホールのステージに置いてあるグランドピアノを弾くというので、少しは緊張するかと思ったのだが、そんなことはまったくなかった。まぁ、客席に誰もいないのだから当たり前かも知れないが…(^^;)。
練習不足ということも忘れて、気持ちよく弾くことができた。家で練習しているとき以上にミスや停止が多かったにも関わらず、なんだか上手くなったような気にさえなった。
その理由としては、やはり弾き心地の良さなんだろうと思う。鍵盤が軽めで反応がとても良く、出てくる音もなかなかいい。何より、自分のイメージした強弱やタッチがかなり近い感じで音になる。心なしか、装飾音符やトリルも上手になったような…。
…で、気がつくとあっという間に1時間が終わっていた。4曲でやはり(いつもの練習と同じ)1時間弱かかってしまった。プロの演奏では30分のはずなのだが。
それから、演奏していて思ったこと。ピアニストがときどき上を見る仕草をするが、その気持ちが少し分かった。ホールだと音が上の方に向かって響く感じがして、その方向を見る、というかその方向に耳を傾けたくなることが確かにあるのだ。ちょっとだけ真似してみたが、すぐに次の音符が心配になってしまう…(^^;)。
ホールによっては、弾いている人に音があまり聴こえなかったりすることがあるようだが、そんなこともなかった。たしかに、家のせまい部屋で弾いているときより音が広がる感じなので、それが気持ちいいこともあり、ちょっと心もとない感じがすることもあった。まぁ、慣れだろうと思う。
あと、実は鍵盤に手を下ろしてすぐ思ったのが、スタインウェイの黒鍵は幅がせまいのではないか?ということ。
カミさんは「そんなことはない」と言うのだが、黒鍵を弾くときの指の感触が違う。黒鍵から「正確に中心を弾いて!」と言われているような?(つまり細い)感じがした。それと、黒鍵に挟まれた部分の白鍵を弾くときに、余裕がある感じがしたのだ。
帰宅後ネットを見てみると、かなりの人がスタインウェイの黒鍵幅はせまい、あるいはせまく感じるというブログ記事などを書いている。
で、ある調律師の人のブログ記事にこういう写真(↓)があった。サイズのことは書いてないが、これを見ると幅が違うようにも見える。(手前がカーボナイト製で奥が黒檀製)
仮にサイズは同じであっても、黒檀という質と表面や角の処理によってタッチの感触は違ってくるのではないかと思う。
何はともあれ、充実した幸せな半日でした…(^^)♪
でも、私以上に楽しんでいたのはもしかするとカミさんだったかも知れない。終わった後のランチどきにも、「気持ちよかった♪(とくにバッハは…)」「弾きたいように弾ける(コントロールできる)」を繰り返していたのだから…。
私としては「スタインウェイの弾き心地を体験する、響きを楽しむ」という点では大満足であったが、もう少し曲をちゃんと仕上げておきたかった…という反省点は残る。
今回、この日に向けての練習でもいろいろ勉強になることもあったので、その反省などについてはまた日を改めて…ということにしたい。
【関連記事】
《『スタインウェイができるまで』読書メモ》
0 件のコメント:
コメントを投稿