2017年5月22日月曜日

日本クラシック界の「ドメスティックな専門家」vs「音楽ファン」?

たまたま見つけた次の記事がちょっと面白かった。


2011年の古い記事だし、フジ子・ヘミングにはまったく興味がないし、全くの偶然で見つけたのだが…。面白いと思ったのは日本クラシック界における「ドメスティックな専門家」vs「音楽ファン」という対立構造の話。




この記事で言う「ドメスティックな専門家」というのは「国内演奏家+音楽教育者+音大生」で、「音楽ファン」というのは、国内の演奏家には見向きもせず「ベルリン・フィルやメットオペラの来日公演に一枚3万円とか6万円といったカネをはたく音楽ファン」のこと。

この両者は「犬猿の仲」らしいのだが、この記事によると「フジ子・ヘミング現象」についてだけは、この両者の意見が「全否定」ということで一致している、とのこと。

で、その理由について、ピアノ演奏のスタイルの話など色々書いてあるのだが、それもまぁ、どうでもいい話である…。

面白いと思ったのは、私が日本のクラシック音楽界に対して何となく感じている不満を、「ドメスティックな専門家」と「音楽ファン」という2つの言葉でくっきりと切り出してくれたところである。


定年退職後、ピアノを独学で始めて、いろんな曲をいろんなピアニストで聴いた。「お気に入り」ピアニストを探すこともやってみた。そして、ピアノ音楽のことを理解するため、練習方法のヒントを得るため、いろんな本やネットの情報を読み漁った。

そうした中で、「日本のクラシック音楽界」にはあまり期待できないと思うようになってきた。残念なことではあるが…。

ピアノコンクールで日本人を応援しようと思っていても、なかなか「お気に入り」のピアニストには遭遇しない。プロの日本人ピアニストを探してみても、ガッカリさせられることが多い。ピアノ奏法に関する本も、本格的なものはほとんど海外の本だ。

そういう状況に対して、「ドメスティックな専門家」という言葉が妙に「腑に落ちた」のである。日本国内だけの狭い世界で「活躍」している「専門家」たち…。世界に通用するレベルには、なかなか…。


一方、コンサート情報を探したり、クラシック音楽を聴くヨーロッパ旅行(パッケージ・ツアー)を探したりしても、そのほとんどがオーケストラやオペラで、しかも「定番」プログラムが圧倒的に多い。

「3万円とか6万円」のチケットを買って「古典芸能」のような型にはまった巨匠や有名オーケストラの演奏を楽しむ「音楽ファン」(上記記事の定義)の存在というのが、これもまた「そうなんだよな〜」と納得してしまったわけだ。

ピアノ音楽ファンとしてグチを言わせてもらうと、ソコロフのピアノ・リサイタルを楽しむパッケージ・ツアーなどはないし、来日する海外ピアニストは限られている。日本にはまともなピアノ・フェスティバルさえない。


ところで、上の記事を読んでいて、もう一つ「フジ子・ヘミングのファン」的なグループもあるんだろうと思ったのだが、これはどういう人たちなのかよく分からない。日本人の好きな「物語性」とか「浪花節」とかいうキーワードが含まれている気はするのだが…。

それと、もう一つ気になったこと。「ドメスティックな専門家」や「音楽ファン」でもなく、ましてや「フジ子・ヘミングのファン」などではない私は、どんなカテゴリに属するのだろうか?

一応「クラシックピアノ音楽ファン」のつもりなのだが、もしかすると「日本のクラシック音楽界」(ファンや生徒も含む広義の…)にさえ属さない「門外漢」なのか…(^^;)。



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