読書メモ(その5)
『A(アー)をください―ピアニストと室内楽の幸福な関係』
春秋社 (2003/10/1) 練木繁夫 著
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読書メモ5
第5章 ピアノに向かう身体のこと
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音楽を作るために必要な身体の使い方は、立派なテクニックとして扱われるべきであるが、必要外の無用な動かし方は、聴衆に誤解を招く恐れがある。…最近ではどうも視覚的効果に走り過ぎた「観衆」向けの音楽が氾濫し、「聴衆」向けの音楽が少なくなってきたように思えてならない。
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大きく見える身体の動きは、筋肉をいかにたくさん使うかにあり、この筋肉を大きく使えるか使えないかということに、緊張が影響している…。
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指先から放出されるエネルギーは、鍵盤からハンマーに伝わり、弦を響かせる。この際、ピアニストの手の動作には、大きく分けて二つある。一つは、手首にバランス点を取り、肘から手首までの筋肉に溜めたエネルギーを利用して5本の指を打ち放つという、鉄砲の引き金的奏法。もう一つは、手首を通過させた腕の重さを指先にまで届かせ、その重さを利用して鍵盤を弾くというものである。
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音を出す前に指を上げすぎる人がいるが、音の歯切れの良さは指を降ろす速さでなく、鍵盤を上げる速さ(あるいはダンパーを下げる速さ)によって生まれてくる…。
第6章 弾きながら音を創る
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ピアニストの中には自分の出す音に対しての責任感が希薄なように思えることも少なくない。つまり「音を創る」意識が薄いということである。
108「エネルギーの伝達」
先生は「こうすると簡単に弱い音が出せるよ」とおっしゃって、ご自分の身体を後ろにそらせつつ、ピアノを弾かれた。
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無駄な力を入れないで楽器を弾くということ…
我々がわきまえておかなくてはならないことは、「エネルギーの伝達」という点である。つまり、必要な箇所に必要なだけのエネルギーを配分していくということ。
そのためにも自分の身体が感じているものに敏感であり、正直になる必要がある。
113「美しいフォルテ」
ハンマーが弦にあたるタイミングさえピッタリと合っていれば、ピアノは自然と発音の良い音を出してくれるし、また我々の腕の重さを上手く利用してもフォルテは十分に出すことができる。
…
先に聴く耳を鋭敏にしてから、音を創る意識…
…
どのような性格を持ったフォルテなのか考える必要がある。また、音を出した後には、自分が想像したフォルテとその実態とを振り返ってみるのもよい。
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