読書メモ(その2)
『A(アー)をください―ピアニストと室内楽の幸福な関係』
春秋社 (2003/10/1) 練木繁夫 著
その1←・→その3
読書メモ2
第2章 アンサンブルのテクニック
19「立体的に音楽を考える」
20
室内楽におけるバランスのポイントは、フーガを演奏するときの要領と似ている。…声部をいろいろな角度から考えた上で、どの声部が音楽的に重要な役割を担っているか…。
23〜
自分の感覚の中で低音を楽に弾ける音域を、中心のCから2オクターヴ低い音域において考える…。…高音が楽に弾ける音域は、中心から2オクターヴ上に定める。
※そこを一番安堵感を覚える「やすらぎの城」と感じる。
…(高音部が)中心から上に上がる場合はクレッシェンド、下ろすときにはデクレッシェンド、…反対に、低音が下から中心に向かって上がるときにはデクレッシェンド、また、下に下がるときにはクレッシェンドである。
25
右手だけに頼る音楽作りは、左脳しか使わない。…左手を器用に動かすには右脳を働かせる必要がある。
…左右両方の脳をバランスよく使って音楽を作る。つまり、フーガを極めるということも脳の全てをバランスよく使うことであろう。
25「タッチと遠近感」
…タッチを変えない限り、音色は変わらない。
タッチの違いを大きく分けると、二つある。音の発音をはっきりと立たせるタッチと、鈍いものにするタッチ。前者は、鍵盤を速く押し、後者は、遅く押す。また、…指先を尖らせて使うか、指の腹を使うかによっても音色の変化を出すことができる。
さらに、…はっきりと発音させたい音では、音を弾いた後に指を高く上げ、発音の立たせない音では鍵盤から指を離さず、指先が鍵盤にピッタリとくっつくようにして弾く。
26
ドライ・レガートからモルト・レガートになるほど鍵盤を押す速さは感覚的に遅くなる。
27
ピアノが出す音を強弱の差だけに頼っていると、演奏は二面的に構成されただけのものになる。…立体的なバランスを求めるならば、「奥行き」という新しいディメンションを加えるとよい。奥行きとは、音の遠近感である。…遠くから聞こえてくる音は、近くで聞こえる音と較べて、音が小さいだけではなく、発音の輪郭もなければ、方向性もないはずである。
33
ペダリングは料理をするときの隠し味のようなもので、多すぎてもいけないし、少なすぎてもいけない。使っているのが聴衆にわかってしまっては、上手なペダリングとは言えない。
35
音を出す前からペダルを踏んで弾かれた和音は、和音を構成する音の全ての倍音が直ちに響き始める。…「華やか」「明るい」「あわただしい」といった印象…。
和音を弾いた後にペダルを入れたときには、振幅が落ち着いてから響きが始まる。どの程度待つか…。…「穏やか」「落ち着き」「清潔」…。
ペダルをできる限り辛抱し、音の響きが衰えるのを待ってから使うこともできる。…長い音で醸し出すデクレッシェンドである。
38
ペダルのテクニックを極める…以上に、…ペダルを使わずに音が繋げる鍵盤上での指の技術を極めることが必要である…。
パッセージの途中などで…指使いの具合でどうしても音が切れてしまう箇所が出てくる。このような箇所で流れている音に濁りが入らないようにペダルを入れるためには、瞬間的にペダルを使わなくてはならない。…
読書メモ その1←・→その3
【関連記事】
《7分で読めるピアノの本(7):チェロと室内楽からピアノへのアドバイス》
0 件のコメント:
コメントを投稿