本人の公式サイトに詳しいプロフィールがあるが、英語(かドイツ語)なので、プロ アルテ ムジケの紹介記事から少し引用すると…。
イゴール(or イーゴリ)・レヴィットは、1987年ロシア生まれ。6歳!でオーケストラと共演デビュー、8歳でドイツに移り、ハノーヴァー音楽大学を歴代最高成績で卒業。これまでにカール=ハインツ・ケマリンク、マッティ・ラエカッリオ、ベルント・ゲツケ、ハンス・ライグラフに師事。
また、2005年、ルービンシュタイン国際ピアノコンクールにて最年少出場(18歳)ながら2位、および室内楽のベスト・パフォーマンス賞などを受賞(この時の1位はアレクサンダー・ガヴリリュク)。2004年マリア・カラス国際コンクール(アテネ)にて第2位、浜松国際ピアノアカデミーコンクールにて第1位獲得。
で、この紹介記事を見ていて気がついた。今年招聘(来日)予定となっているではないか! 検索してみると自分の書いた記事《来年2016年の来日ピアニスト ♪》が出てきた。確かに「時期未定」のところに名前がある…(^^;)。
YouTube にはあまりまとまった演奏はあがっていない。なので、AmazonのCD売り場の視聴コーナーなども聴きながら探索してみた。YouTube 音源からいくつか紹介しながら感想など書いてみる。(※2019.9.24 改版時点では演奏動画が増えている)
ベートーヴェンのソナタ。30番の第1・2楽章、31番の第3楽章。
♪ Igor Levit - Beethoven Piano Sonata no.30 in E major, Op.109
♪ Igor Levit - Piano Sonata no. 31 opus 110 (Live @ Bimhuis - Amsterdam)
細くて強靭そうな指をしている。手の形は好きだ。繊細な部分と大胆な部分があり、歯切れがよくていい感じだ。ただ、ベートーヴェンの(後期)ソナタの音楽としてはやや物足りなさも感じる。もう少し深みのようなもの?が欲しい。でも、これから熟成していきそうな予感。
ルービンシュタイン・コンクールで2位になった時のベートーヴェンのソナタ第2番の演奏を見つけた。これが聴いた中では一番好きかもしれない。
♪Beethoven - Sonata No. 2 in A major, Op. 2, No.2 - Igor Levit
バッハは短いものしか聴けなかった。パルティータ1番の1曲とゴルトベルクのアリア。あとはAmazonの視聴。一番期待しただけに音源が少ないのはちょっと残念。
♪Igor Levit - Bach: Partita No. 1 in B-Flat Major, BWV 825 - I. Praeludium
♪Igor Levit - Bach - Goldberg Variations: Aria
きれいに弾いている。音楽の流れがいい感じだ。ややペダルが多く、ロマン派的な印象。ゴルトベルクのアリアは、左手がやや弱くて伴奏みたい。でも、これはこれで悪くない。
ゴルトベルクとCDでカップリングされたディアベッリと、フレデリック・ジェフスキーの「不屈の民変奏曲」からも、テーマだけが聴ける。
♪Igor Levit - Beethoven - Diabelli Variations: Tema. Vivace
♪Igor Levit - Rzewski - The People United Will Never Be Defeated! Thema. With determination
両方とも、テーマだけではなんとも言いがたいが、いい感じではある。ベートーヴェンはソナタよりもこっちの方がこのピアニストにあっている気がする。
ちなみに、「不屈の民変奏曲」は作曲者本人の演奏で全曲聴くことができる(↓)。36の変奏曲は1時間以上かかる大曲&難曲だ。ピアニストとしてのジェフスキーもなかなか味があっていい感じだ。
♪ Rzewski - The People United Will Never Be Defeated! [Audio + Score]
以下、HMVから引用。
ポーランド系アメリカ人作曲家フレデリック・ジェフスキーの「不屈の民変奏曲」は、南米チリの革命歌を主題にした36の変奏曲。ジェフスキはシュトックハウゼンやブーレーズなどの作品を初演したこともあるピアノの名手でもあり、1975年に完成したこの作品でも、民俗音楽的要素や、ジャズ、ミニマル・ミュージックの手法も導入、超絶技巧に加え、即興的な要素も感じさせるパワフルな音楽が実に魅力的。革命歌「不屈の民」の物悲しく力強い音楽から最後の強烈な和音まで聴き応えのある傑作です。
そして、最後に見つけたのがリストの「ヘクサメロン」という曲。
♪Liszt Hexameron Levit
初めて聴く曲だが、「ベッリーニ『清教徒』の行進曲による演奏会用大変奏曲」らしい。活き活きとした音楽があふれてくる好演である。イゴール・レヴィットは、こういうメリハリのある曲の方が得意なのかもしれない。
一通り聴いてみた感想。
基本的に好きなタイプのピアニスト。粒立ちがよくメリハリのある音と弾き方は好印象。打楽器的要素が加わったメリハリのある曲で、とくに活き活きとした演奏を聴かせてくれる。一方で歌う曲やフレーズでは少し甘くなる印象を持った。
でも基本的に本格派。素材としては素晴らしいので、今後の「熟成」が期待される。バッハのパルティータもゴルトベルクも全曲聴いてみたいと思わせるものを持っている。ベートーヴェンのソナタ、とくに後期作品は40歳くらいになったときの演奏を聴いてみたい。
とりあえず「お気に入りピアニスト」の候補としておこう ♪
→[ピアニスト探索 2016]
おまけ。CDはベートーヴェンの後期ソナタ集、バッハのパルティータ全曲、3大変奏曲と、本人も「巨匠」路線?を意識してる感じの品揃えだ。
変奏曲の世界(バッハ、ベートーヴェン、ジェフスキ)
J.S.バッハ:パルティータ(全曲)
ベートーヴェン:後期ピアノ・ソナタ集
【関連記事】
《OPUS KLASSIK賞にイゴール・レヴィットの "Life" ♪》
0 件のコメント:
コメントを投稿