2016年3月18日金曜日

ピアニスト探索:エリソ・ヴィルサラーゼ:ロシアピアニズム!♪

エリソ・ヴィルサラーゼ、名前は聞いたことがあるが、演奏を(YouTubeで…)聴くのは初めてである。これまで知らずに失礼しました!という感じの、ロシア・ピアニズムの(おそらく)王道をいく、まさに「女流巨匠」である。




ジャパン・アーツのプロフィール(インタビュー記事:残念ながら既に削除されたようだ…)を見てビックリ!

祖母アナスタシア・ヴィルサラーゼ、その友人だったゲンリヒ・ネイガウスに教えを受けた彼女は、モスクワ音楽院ではヤーコブ・ザークに師事し、レフ・オボーリンのアシスタントも務めたほか、スヴャトスラフ・リヒテルとも交流が深かった。

ベレゾフスキーやヴォロディンは彼女のよく知られた弟子だが、彼女の望んだとおり、それぞれに異なる個性を育んでいる。


さっそく、以前読んだ本『ピアニストの系譜』に載っていたマップを引っぱり出してチェックしてみる。

すると、確かに載っている。ネイガウスの弟子のリヒテルと、本人の弟子のベレゾフスキーに挟まれたところに「エリソ・ヴィルサラーゼ」という名前が…。




それはさておき、演奏である。YouTube でいくつか聴いたが、若い頃の演奏はテンポが早めのものが多く、やや乱暴に聴こえるくらいダイナミックな印象だ。あまり好みではない。

ところが、2013年のリサイタル(↓)を聴いて、おっ♪と思った。



モーツァルトとショパンを交互に演奏するという面白い&珍しい?プログラムのリサイタルである。1時間45分もあるが、2〜3回にわけてぜんぶ聴いた。聴いていて飽きない。

なんといっても、モーツァルトがいい。力強く、かつのびのびと音が響く。「聴くと頭が良くなる」といった上品な?タイプのモーツァルトではなく、はつらつとした生きた音楽が聴こえてくる。


おそらく、ロシア・ピアニズムのいいところが、ヴィルサラーゼの音楽性とあいまって、ピアノの音・魅力をあますところなく引き出している、そんな印象である。

まったく脱力しているように見えるのだが、重量奏法の技なのか、一つ一つの音が実にしっかり聴こえてくる。それなのに重くない。高音の艶やかな伸びは素晴らしい。チャイコフスキーコンクールの若手が聴かせてくれた、やや打楽器的な音とはまったく違う…。


ショパンは、ちょっと従来の「ショパンらしい」演奏ではないかも知れない。やや骨太の充実した音響で聴かせるショパンである。

若い時の演奏を聴いて、2013年のモーツァルトを聴いて、角がとれて円熟味を増したヴィルサラーゼなのかと思ったのだが…。不思議なことに、ショパンからは違った印象を受けた。

どこか若々しさを感じたのだ。ショパンの演奏としての新しさ、「これでどうだ!」とでも言わんばかりの彼女の意思・気概のようなものを感じた。


ただ、好ましい演奏ではあるが、そして方向性としては頷けるものがあるが、このままで「お気に入り」演奏かというと、もう少し進化が必要な気がした。失礼な言い方だが、もう少し磨きをかける必要があるように思う。逆に言うと、それだけの可能性が感じられる演奏だと思う。新しいショパンの完成形を聴いてみたいと思う。

ジャパン・アーツのインタビュー記事でも、彼女は

作曲家や画家が作品を仕上げるのとは違って、私たち演奏家にはでき上がりというものがありません。仕上げられた作品に、さらに自分たちの想像力をのせて、それを聴衆に伝えるわけです。もっともっと良くしようと、いつも私は思っています。終わりのない、とてもしあわせな仕事です。

と語っているので、期待してもいいかもしれない。


ところで、上のインタビュー記事は2013年の仙台国際音楽コンクールの審査員で来日したときのものらしいが、今年の仙台国際でも副委員長として来日予定のようだ。

とりあえず「お気に入り候補」としておくことにする。もう少し、他の演奏も聴いてみたい。



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