今年の目標には、「ピアノの上達」という項目を入れた代わりに、「知る・考える」という項目を入れなかった。もともと考えることは好きな方なので、目標として入れなくても大丈夫だろうと思ったからである。
とはいえ、少しは何らかの刺激を頭に入力する必要はあると思っている。なので、今年も、本を読んだり、ピアノや音楽の情報に触れることは意識して続けていきたい。
今年の1冊目に選んだのは、吉田秀和さんの『之を楽しむ者に如かず』という本である。
実は「選んだ」というほど意志を持って選んだわけではない。年末に図書館をぶらついているときに、ふと目に入ったのが「吉田秀和」という名前であった。私の若い頃、たぶん大学生の頃に読んだことのある有名な音楽評論家である。
私の中では「古い評論家」というイメージしかなく、そしてWikipediaでも「日本の音楽評論において先導的役割を果たす」と書いてあるように「先達」である。ちなみに、2012年に98歳で亡くなられている。
懐かしいという思いで、ふと手にとってパラパラめくってみたのだが、そこにアンデルシェフスキとかエマールとか、去年私が初めて知ったピアニストの名前が見えた。
改めて見てみると、「初出」は「レコード芸術」に2000年から2009年に掲載された記事である。それほど古い内容でもなく、ピアノ音楽の記事もいくつか入っている。
そして、「之を楽しむ者に如かず」というタイトルが気に入った。「論語」の一節である。吉田秀和さんは「之(これ)」を「音楽」に置き換えてもよいと言っている。
「之を知る者は之を好む者に如かず。
之を好む者は之を楽しむ者に如かず。」
つまり、「音楽を知っている人は音楽を好きな人にはかなわない。だけど、音楽を好きな人は音楽を楽しむ人にはかなわない」ということだ。いい言葉である。
…というわけで、今年は『之を楽しむ者に如かず』で読書始め、ということになった。
今年の目標に「有名なピアノ曲を(一通り)聴く」というのを入れているので、聴くべき曲を探す参考にもなればいいと思っている。
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《読書メモ「之を楽しむ者に如かず」》
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