モーツァルトは、自ら企画したウィーンでの「予約演奏会」のために 3年間にわたって 12曲ものピアノ協奏曲を量産した(1784年:14〜19番、1785年:20〜22番、1786年:23〜25番)。その最後の作品となるのがこの第25番である。
記録にはないが、トラットナー邸での降臨祭コンサート(1786年12月 5日)で、交響曲ニ長調「プラハ」とともに演奏するために作曲したと思われる。完成したのはその前日。
調性や壮麗な力強さなどの類似から「ジュピター協奏曲」と呼ばれることもあるが、演奏機会はそれほど多くない。上演回数 6位(9番「ジュナミ」等と同じ)、録音回数 8位。
ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」の動機「ジャジャジャジャーン」は、このモーツァルトの協奏曲第25番の第1楽章から来ている…という説(下記記事&楽譜参照)もあるようだ。確かに似た音型が何度も繰り返されている。
16歳のベートーヴェンが 1787年春にウィーンに来て、モーツァルトがこの曲を弾いたコンサートを聴いた可能性もあるらしい。ただ、モーツァルトとの接点については、レッスンを受けたという説から、まったく接触がなかったという説まで「諸説紛々」状態…(^^;)。
この第25番の演奏・録音はそれほど多くないと言われているが、私のお気に入りピアニストがかなり録音しているので、今回も楽しみながら演奏を比べたり味わったり…(^^)♪
その中からとくに気に入ったものを順不同で 4つほど並べてみる。
今回新しく発見したのは、ダヴィッド・フレイ(David Fray、仏、1981 - )のモーツァルト。彼のバッハは以前からお気に入りだったのだが、モーツァルトをちゃんと聴いたのは多分これが初めて。ピアノの音色といいフレーズの歌い方といい素晴らしいと思った ♪
ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンが指揮するフィルハーモニア管弦楽団の演奏・響きもとても気に入った。2010年8月(ダヴィッド・フレイ 28歳)ロンドンのアビイ・ロード・スタジオでの録音で、ドキュメンタリー DVD も出ているようだ。
内田光子さん(1948 - )は、CD も何度か録音しているが、少し聴いた範囲ではこのライヴ録画の音源が一番気に入った。音質はあまり良くない(映像と音も若干ズレてる…(^^;)…)のだが、オーケストラ(リッカルド・ムーティ指揮ウィーン・フィル)もピアノも全体的にやや骨太な感じが私の好みに合っている ♪
ピョートル・アンデルシェフスキ(Piotr Anderszewski、ポーランド、1969 - )の演奏は、いつ(どの曲を)聴いても素晴らしい ♪
(トラックNo.1〜3)
マルタ・アルゲリッチ(Martha Argerich、アルゼンチン、1941 - )が 2013年 3月にルツェルンで、クラウディオ・アバド指揮モーツァルト管弦楽団と共演した CD。第20番でも取り上げたが、この 25番もいい感じだ ♪
(トラックNo. 1-3)
参考:
✏️モーツァルト :ピアノ協奏曲 第25番 ハ長調 K.503(PTNAピアノ曲事典)
✏️ピアノ協奏曲第25番 (モーツァルト)(Wikipedia)
✏️ピアノ協奏曲 第25番 ハ長調 K.503(Mozart con grazia)
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