この作品の作曲時期は「自作目録」によると 1786年 3月 2日、オペラ「フィガロの結婚」の完成直前のことである。春の予約演奏会のために第24番とほぼ同時期に作られた。
人気作品(録音回数 2位、上演回数 3位)ではあるが、それにしても実に多くのピアニストが弾いている。
モーツァルトは前作、第22番で初めてオーボエの代わりにクラリネットを使っているが、それは次の第24番まで続く。24番ではオーボエも併用されている。
この作品で特徴的なのは、第1楽章のカデンツァがスコアの中にしっかりと書かれていること(↓)。即興的な要素が入り込む余地がないほどの完成度に自信があったのだろう。
この第23番も有名なので、実に多くの名ピアニストが名演奏を録音している。YouTube の音源を見る限り、一番人気の第20番よりもずっと多い印象だ。
とても選び切れないので気に入ったもの(9個!)を並べることにした。何となく好みの順番にしてあるが、とくに前半はどれも文句なしの名演で「甲乙つけ難い」と思っている。
レオン・フライシャー(Leon Fleisher、米、1928 - 2020)
「甲乙つけ難い」と言いながら、これだけは(私の中では)間違いなく一番…(^^)♪ ピアノも弾き振りしているシュトゥットガルト室内管弦楽団も、本当に引き込まれる魅力ある音・演奏である。
2004年に右手故障から復活したあとの 2008年ルール・ピアノ音楽祭でのライヴ演奏。
(トラックNo.7〜9)
エリザーベト・レオンスカヤ(Elisabeth Leonskaja、ジョージア、1945 - )
この演奏も僅差の二番…と言ってもいいかも知れない…(^^;)。
オーケストラ(Andrew Manze 指揮 NDR Radiophilharmonie)の響きも私の好みだし、ピアノも文句なしにいい ♪ 第2楽章は一番好きかも…。
マウリツィオ・ポリーニ(Maurizio Pollini、伊、1942 - 2024)
第19番でもご紹介した「ポリーニ、ベーム、ウィーンフィル」という組み合わせでの名演奏。「ポリーニ80歳記念」版という CD が出ている。
グリゴリー・ソコロフ(Grigory Sokolov、露、1950 - )
さすがソコロフという貴重な音源。2005年 1月30日にザルツブルクで録音されたもの。オーケストラはトレヴァー・ピノックが指揮するマーラー・チェンバー・オーケストラ。
オーケストラの部分でときどきソコロフがピアノを弾いている(悪くない ♪)。
(トラックNo.1〜3)
シャルル・リシャール=アムラン(Charles Richard-Hamelin、カナダ、1989 - )
第22番でもご紹介した、ジョナサン・コーエンが指揮するレ・ヴィオロン・デュ・ロワ(Les Violons du Roy)との共演、第2弾。このオーケストラの響き、気に入った ♪
(トラックNo.4〜6)
ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim、アルゼンチン、1942 - )
正統派のお手本のような素晴らしい演奏で、第2楽章の感傷的になり過ぎない弾き方は個人的に好み。…なのだが、ワクワク感のようなものが今ひとつ?で物足りない感じ…。
(トラックNo.10〜12)
内田光子(1948 - )
ピアノの音やや控えめだが芯がしっかりしていて歌い方も素晴らしい ♪ …のだが、オケとのバランスがやや気になる(オケが少し大きいかも…)。第53回グラミー賞「最優秀インストゥルメンタル・ソリスト演奏賞」受賞アルバム。
♪ モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番/第24番 内田光子:アルバム
(トラックNo.4〜6)
ウラディミール・ホロヴィッツ(Vladimir Horowitz、ウクライナ、1903 – 1989)
1987年 83歳のときの演奏。全体的にテンポ速めでアーティキュレーションもやや強め。この辺りは好みによるかも…。ブゾーニ作のカデンツァを使っているのが珍しい。
藤田真央(1998 - )
解釈(好み)の問題、あるいは録音(音量バランス?)のせいかも知れないが、真央くんの演奏はやや抑え過ぎのような気もする。オーケストラの響きの良さの方が目立っている。
せっかくいい音色を持っているので、もう少しピアノの音(音楽)が前面に出るような場面が増えてもいいのではないかと思う。第2楽章などはとても美しいのだが…。
参考:
✏️モーツァルト :ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488(PTNAピアノ曲事典)
✏️ピアノ協奏曲第23番 (モーツァルト)(Wikipedia)
✏️ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488(Mozart con grazia)
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