…のだが、牛田くんの先生(ピオトル・パレチニ:Piotr Paleczny)の Facebook 投稿(後述)に対してエリック・ルーなどのピアニストも含めて 60以上のコメントがついているので、少し感想など書いてみたい。
その流れで、クラシック音楽界の男女格差?に一石を投じたはずの、今回のリーズの審査ルールに関しても…。
その前に、私がピアノコンクールを聴き始めた 2015年からのリーズ国際コンクールの変遷についてざっと振り返っておく。
2015年は低調で、"It is the end of an era at Leeds"(the Guardian)とまで言われた。
その直後、ポール・ルイスがリーズの芸術監督に就任して改革を行なった。
その成果、エリック・ルーが優勝した 2018年と小林海都くんが 2位になった 2021年あたりは、まずまずの状況だった。
…で、今回の「男女格差是正」となったのだが…。
牛田くんの先生(ピオトル・パレチニ)の投稿は下記。ちなみに、反田くんがショパンコンクールの前に師事していたのがこの先生。
「何が起こったかを理解するには、すべての音符を聴く価値があります!
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✏️Exclusive: How The Leeds Piano Competition Is Rigged For Equality
何が起きたのか信じられない。
セカンドステージ、特にセミファイナルでのシューベルト・ソナタの牛田の本当に卓越して深い解釈の音符やフレーズの感性と自然さ! ❤️!
この陪審員にとっては、気づき、理解し、感謝することは難しすぎた?? 信じられない!!
私はDame Fanny Waterman's „golden years”のコンペティションの審査員を何度か務めました!
だから - Dame Fannyの並外れた感性とエネルギーを知っていれば、牛田のような真の才能と深い芸術的性格を拒絶することは許さないし、同意しないだろう。 恥を知れ!」
私自身は、コンクールでピアノの先生が自分の教え子に「過剰に」テコ入れすることには反対なので(詳しくは下記記事)、上の投稿は「話半分」で聞くにしても、牛田くんのセミファイナルのシューベルトのソナタはもっと評価されていいのでは?…と思っている。
この投稿に対するコメントも賛同意見が多い。私が知っている有名人のコメント(↓)。
下田幸二氏(昭和音大講師):you are absolutely right!
Eric Lu(2018年リーズ優勝):Tomoharu’s heartfelt performance of Schubert’s very difficult last sonata surely deserved a place in the final.
Anna Geniushene(2022年クライバーン2位):Every pianist has their own voice, and that’s what matters. Ushida has his own vision and artistic charm.
ゲニューシンは、今回の「女性優遇ルール」に関しても批判的なコメントをしている。
"it makes female pianists feel like we’re definitely seen as weaker than male pianists THEREFORE there are these special rules to support us, as if we need extra help. I don’t like that at all"
私自身は、今回のリーズが「クラシックピアノ界の男女格差」(があるとすれば)を是正するという記事を見たときには肯定的に捉えたし、そういう記事も書いた。
pre-selection ラウンドで採用された「blind 方式」とか「女性作曲家による作品の優秀な演奏に与えられる賞」の新設などはいいと思った。
…のだが、この記事(↓)を見て愕然とした! "rig" は「不正操作する」という意味。
✏️Exclusive: How The Leeds Piano Competition Is Rigged For Equality
この記事を読むまで知らなかったのだが、今回のリーズの審査基準 "Jury Process" の "4. VOTING PROCESS" にはこんなルールが書いてあるのだ。
4.6. If there are two candidates with equal scores competing for one place and one is a woman candidate, we ask the Juror to consider advancing her first.
(同点の者が二人いたら女性を優先すべし)
また、セミファイナル(等)の審査では、最初に 5人を選んだ時点で女性比率が低い場合、4位・5位を選び直すようなことが書いてある。具体的にどこまでやるのか不明だが、今回のセミファイナルの結果は最初に載せた図のように男女比 3:2 となっている。
4.22. …(省略)…
- In the instance of a single gender outcome or an outcome that significantly reduces the ratio of women to men in the Competition, the 3 Competitors with the highest number of votes cast will be accepted and names revealed, and there will be a revote for places 4 & 5 from the remaining 7 Competitors.
…(以下略)
そろそろファイナルの結果も出ているかも知れないが、興味を失ってしまった…(^^;)。
いずれにしても、今回のリーズ国際ピアノコンクールは(私にとって)後味の悪いコンクールになってしまった。この後、リーズが凋落するようなことがないように祈りたい。
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