《鍵盤音楽史:現代》 29人目の作曲家は、フィリップ・グラス(Philip Glass, 米, 1937-)。
名前は以前から知ってはいるが、まともにピアノ曲を聴いたのは 4年ほど前にヴィキングル・オラフソンの弾くエチュードを聴いたときだと思う。
✏️フィリップ・グラス(Tower Records)のプロフィールがコンパクトにまとまっているので、ほぼそのまま引用させて戴く。
フィリップ・グラス(Philip Glass, 米, 1937-)は、1937年1月31日、米国ボルチモア生まれ。ミニマル・ミュージックの旗手(本人はあまり歓迎してないようだが…)として知られる現代音楽の巨匠。ロックなどクラシック以外の分野にも影響力を持つ。
6歳でヴァイオリン、8歳でフルートを習い、15歳でシカゴ大学へ。大学卒業後はジュリアード音楽院で学ぶ。1965年にパリへ留学してナディア・ブーランジェに師事するほか、インドでシタール奏者のラヴィ・シャンカールと出会って多大な影響を受ける。
その後、インド、北アフリカ、アジアを旅して回り、67年にニューヨークへ戻って楽団を結成。以降、オペラ『浜辺のアインシュタイン』、『トゥルーマン・ショー』や『カッツィ3部作』などの映画音楽で高い評価を得る。
実に多作で、これまでにいくつものオペラや舞台作品、交響曲 14曲、ピアノ協奏曲 3曲、ヴァイオリンやチェロの協奏曲、10曲の弦楽四重奏曲、映画音楽などあらゆるジャンルの作品を作っている。
本人は「ミニマリズム」という言い方を嫌っているようだが、ラ・モンテ・ヤング、テリー・ライリー、スティーヴ・ライヒと共に「アメリカン・ミニマリズム四天王」などと呼ばれることもあるようだ。
ピアノ(または electric organ: eo と略)関連の作品は下記の通り。出典は✏️List of compositions by Philip Glass(Wikipedia /英語)。
- 1967: In Again Out Again (2pf)
- 1968: How Now (pf/eo)
- 1968: Two Pages (pf/eo)
- 1969: Music in Contrary Motion (eo)
- 1975: Another Look at Harmony, Part 3 (eo)
- 1975: Knee Play 4 (from Einstein on the Beach)
- 1978: Modern Love Waltz
- 1979: Mad Rush (pf/eo)
- 1981: Opening (from Glassworks)
- 1984: The Olympian
- 1987: Cadenza for Mozart's Piano Concerto No. 21 (K. 467)
- 1988: Wichita Vortex Sutra (later included in Hydrogen Jukebox)
- 1988: Metamorphosis
- 1989: The French Lieutenant Sleeps from The Screens
- 1989: Night on the Balcony from The Screens (pf/harpsichord)
- 1993: Tesra
- 1993: 12 Pieces for Ballet
- 1994–1995: Etudes Volume 1
- 1996: Six Scenes from Les Enfants Terribles (2pf)
- 1998: The Joyful Moment
- 1998: Truman Sleeps (from the film The Truman Show)
- 2003: Dreaming Awake
- 2005: A Musical Portrait of Chuck Close (Etudes 11 & 12 of Volume 2)
- 2008: Four Movements (2pf)
- 2012: Etudes Volume 2
- 2013: Two Movements (4pf)
- 2017: Distant Figure – Passacaglia
- 2019: First Piano Sonata
ピアノ協奏曲も 3曲ある。No.1 と No.3 は弦楽オーケストラ、No.2 は "Native American flute" とのダブル・コンチェルト。
- 2000: Piano Concerto No. 1 Tirol
- 2004: Piano Concerto No. 2 After Lewis and Clark
- 2017: Piano Concerto No. 3
その他、ピアノを含む室内楽も多い。
- 1967: Head On for violin, cello and piano
- 1981: Opening from Glassworks for piano, cello and percussion
- 1989: The Orchard (from The Screens) for cello and piano (+ optional percussion)
- 1992: Love Divided By for flute and piano
- 2002: Tissues (from Naqoyqatsi) for cello, percussion and piano
- 2003: Taoist Sacred Dance for piano and flute
- 2008: Sonata for Violin and Piano
- 2010: Pendulum, movement for violin and piano
- 2018: Annunciation, piano quintet for two violins, viola, cello, and piano
YouTube で、ピアノソロ曲が 3時間分詰まった音源があったので聴いてみた。ミニマル系の曲ばかりなので、聴いているうちに違いがよく分からなくなってくる…(^^;)。
演奏は Jeroen van Veen(イェロン・ファン・フェーン)というオランダのピアニスト。元の CD は下記。2013年のリリース。
収録曲は下記。「トリロジー・ソナタ」というのは 3つのオペラから Paul Barnes という人が 2001年にソロピアノ曲に編曲したもののようだ。
- グラスワークス(イェロン・ファン・フェーン編)
- メタモルフォーシス
- マッド・ラッシュ
- ウィチタ・ヴォルテックス・スートラ
- めぐりあう時間たちより
- トゥルーマン・ショーより
- オリンピアン
- モダン・ラヴ・ワルツ
- ハウ・ナウ
- トリロジー・ソナタ
聴き応えという点では、やはりエチュードの方があると思う。ヴィキングル・オラフソンのこのアルバム(↓)はエチュードを沢山とり上げていて、とても気に入っている ♪
YouTube には下記のプレイリストがある。
グラスは 2019年に初めてのピアノソナタを作り、滑川真希さんが初演・初録音をしている。今回もう一度聴いてみたが、最初に聴いたときの感想「嫌いではないが、『グッとくる』ようなところはあまりないという感じ」は変わらなかった…。
ピアノ協奏曲が 3曲あるので聴いてみたが、残念ながら、それほど気に入った曲はなかった。演奏・録音のせいかも知れない…?
第1番は "Tirol Concerto" とも呼ばれるようだ。
わりと気に入ったのは第2番の第2楽章。
第2楽章で "Native American flute"(ネイティブ・アメリカンによって伝えられた縦笛)というソロ楽器が登場し、楽章の最初と終わりがピアノとの二重奏になっていて、なかなか雰囲気のあるいい音楽になっている ♪ ピアニストは Paul Barnes という人。
第3番は Nikolas Caoile という人の弾き振りだが、たぶん演奏があまりよくない…(^^;)?
✏️フィリップ・グラス(Wikipedia)
✏️List of compositions by Philip Glass(Wikipedia /英語)
✏️フィリップ・グラス(高松宮殿下記念世界文化賞 2012年受賞)
0 件のコメント:
コメントを投稿