つい最近、マルカンドレ・アムランの新 CD で米国の現代作曲家ウィリアム・ボルコム (William Bolcom、1938‐ )を知った(↓)。そのボルコムの新作「ピアノ協奏曲第2番」の世界初演映像が YouTube にアップされたというので、さっそく聴いてみた。
ボルコム夫妻はオンラインで参加 |
その TouTube 映像がこれ(↓)。ボルコム夫妻はオンラインで参加し、自作の初演をご自宅で楽しまれたようだ。リハーサルにもオンラインで参加したとのこと。
この作品は Heidelberger Frühling Music Festival 2022 のために委嘱され 2019年に完成したもの。初演は、この音楽祭の一環として New University Heidelberg のホールで 4月20日に行われた。
ピアニストはイゴール・レヴィット。オーケストラは Elim Chan が指揮する Mahler Chamber Orchestra。
楽章の構成は以下のようになっている。24分ほどの長さ。
I. A Legend
II. Complainte
III. Nightmare-Scherzo
IV. Finale: Introduction and Variations
第一印象としては、ピアノの音が美しく、現代音楽的な要素も比較的少なく、いい感じの作品だと思った。2回聴いたくらいではその真価は分からないかも知れないが…。
何より嬉しかったのは、同時代に生きている作曲家の新作の初演を、ネット経由とは言えこうして楽しむことができるということ。
こういうシーンがもっともっと増えるといいと思う。現代の人気作曲家の新作を、一流のピアニストたちが競って初演する…みたいな…(^^)♪
ただ、《鍵盤音楽史:現代》のプロジェクトを進める中で感じたのは、意外と多くのピアニスト(知らない人も多い…)が作品を委嘱し初演・初録音をしているということ。単に、私が知らないだけかも知れない…(^^;)。
この初演(の YouTube へのアップ)を知ったのはこの記事(↓)。
✏️Decades Later, a Composer Revisits the Piano Concerto(The New York Times)
その中に、イゴール・レヴィットがこの作品を "a gentle piece for non-gentle times" と評価しているのが印象的だった。「優しくない時代のための優しい作品」…。
あと、ボルコム氏は、ピアニストとオーケストラの理想的な関係として、モーツァルトのコンチェルトにあるような「対話」(dialogue)を挙げている。そこでは「誰も他人を打ち負かそうなどと思っていない」…。いい言葉だと思う ♪
"like in a Mozart concerto, in which nobody is expecting the other person to try to win over the other"
なお、この初演に関する短いドキュメンタリーも作られている。ドイツ語&英語なので半分も理解できないが、"a gentle piece for non-gentle times" の言葉も出てくる。
ウィリアム・ボルコム (William Bolcom、1938年‐ )は米国の作曲家・ピアニストで、ラグタイムを中心とするジャズのイディオムに基づいた曲を多数作曲している。2020年に亡くなったカプースチンより 1歳若い。
ダリウス・ミヨーに師事していたこともあるようで、ピアニストとしてはミヨーやガーシュウィンをよく弾いているとのこと。
「ピアノのための12の新しいエチュード」によるピューリッツァー賞のほか、グラミー賞、アメリカ国民芸術勲章、デトロイト音楽賞、ミュージカル・アメリカの2007コンポーザー・オヴ・ザ・イヤーなどの受賞歴がある。
また、音楽学者として、シューベルトの「レリーク」、アルベニスの「ナバーラ」などの未完成のピアノ作品の補筆も行っているそうだ。
✏️ウィリアム・ボルコム(Wikipedia)
1988年にピューリッツァー賞を受賞した「ピアノのための12の新しいエチュード」の CD(演奏:マルカンドレ・アムラン)はこれ(↓)。
YouTube にプレイリストがある。
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