…ということで、急遽(泥縄で…)調べてみることにした。こんなとき、インターネットというのは本当に便利だ…(^^)。
上の図は K.475 の自筆譜。K.457 とともに長く行方不明になっていたが、1990年7月にフィラデルフィアでほぼ 1世紀ぶりに再発見されたもの。
そして、下図は 1785年にウィーンのアルタリア社(Chez Artaria Comp., n.d.)から出版された初版の表紙。自筆譜とこの初版楽譜は IMSLP からお借りした。
献呈されたテレーゼ・フォン・トラットナー夫人(モーツァルトの最初の弟子といわれる)の名前が大きく書いてある。"Oeuvre XI"(ウーヴル:œuvre = opus)「作品 11」の文字も見える。
幻想曲とソナタ第14番 K.457 は、作品番号で言うと op.11-1、op.11-2 というセットになっていて、一緒に(続けて)演奏されることも多いようだ。
ただし、作曲年代はソナタの方が 1784年10月、幻想曲は 1785年5月となっている。
当時、ピアノソナタを演奏する場合、その前に導入の即興演奏をすることが多かったようで、モーツァルト自身もそういう即興演奏を行ったという記録が残っているそうだ。
で、ソナタ第14番 K.457 をフォン・トラットナー夫人に献呈する(出版する)に当たって、夫人のためにその「即興」部分、つまり「幻想曲」を作ってあげたのではないか?…というのが大方の推測になっている。
ただ、モーツァルト自身も「幻想曲」を単独で演奏することもあったようなので、K.475 と K.457 を続けて演奏するというのは、必ずしも必要ではないと思われる。
曲は、元々が即興的な要素を含んでいるので、転調の仕方や構成などもかなり自由に大胆に作られている。
…が、全体を見ると「緩-急-緩-急-緩」となっており、情緒的な部分とヴィルトゥオーゾ的な部分が交互に配置され、最後に冒頭部分が戻るなど、形式的にもしっかりしている。
- Adagio ハ短調 〜 ニ長調
- Allegro 転調部
- Andantino 変ロ長調
- Piu Allegro 転調部
- Tempo primo ハ短調
アルフレート・アインシュタインは、モーツァルトの即興演奏能力を高く評価して次のように述べている。
「一見転調このうえない自由と大胆さを持ち、楽想のこのうえないコントラストを見せ、抒情的なものと技巧的なものとを自由きわまりなく交替させながらも、形式をちゃんと守る能力」の一番真実な姿をわれわれに見せてくれる。
練習する身としては、その「技巧的なもの」= Allegro と Piu Allegro 部分が問題になるのだが…。まぁ、頑張るしかない…(^^;)。
なお、お手本にする演奏は、内田光子さん、バレンボイム、ソコロフなどいくつか聴いてみたが、どれにするか?…どれが一番お気に入りなのかはまだ決められていない。藤田真央くんの演奏が聴きたかったのだが、見つからなかった。
少し練習が進んで、もっとよく曲のことを知ってからお手本を選びたいと思っている。
以上、主な参考記事は下記。
✏️ピアノ幻想曲 ハ短調 K.475(Mozart con grazia)
✏️クラヴィーア・ソナタ 4(ピアニスト 久元祐子Webサイト)
✏️幻想曲K.475(Wikipedia)
【関連記事】
0 件のコメント:
コメントを投稿