ピアノコンクールで、室内楽とかヴァイオリンの伴奏みたいなものが少しずつ増えているような気がするが、こういうまとまった形でのプログラムは珍しいかも…。
ホーネンス国際ピアノコンクール(Honens International Piano Competition)の場合、8月30日からの「本選」はセミファイナルから行われる。
2018年の場合、1月に書類審査?で100人以上の応募者から50人の "Quarterfinalist" が選ばれ、3月のクォーターファイナル(ベルリンとニューヨークで、40分のリサイタルとインタビュー)で10人の "Semifinalist" がすでに決まっている。
残念ながら、"Quarterfinalist" の段階から日本人の名前は見当たらない。
セミファイナルは、ソロリサイタルと「コラボラティブ・コンサート」の 2つが行われる。両方とも 65分間のプログラムで、ソロは自由選曲と思われる。「コラボラティブ」の方は4つのプログラム(↓)から一つを選ぶことになっている。知らない曲が多い。
共演者はバリトン(声楽)の Phillip Addis、ヴァイオリンの Jonathan Crow という人。
ねもねも舎の記事『訃報:アーヴィン・ゲージ死す』(←伴奏で有名なピアニスト)を読んで以来「コラボラティブ・ピアニスト」のことが気になっている。
《ピアノ界はソロ偏重?…聴衆(私)も?》
"Collaborative Pianist" は伴奏やアンサンブルだけではなく、スコアリーディングや歌唱指導、指揮など実に幅広い勉強をしなくてはならないようなのだ。「ピアノ演奏者」よりも「音楽家」に近いイメージだ。
ロンドンの王立音楽大学(The Royal College of Music)でも、最近 "accompanist"(伴奏者)という言い方をやめて "Collaborative Piano" という名称に変更している(↓)。
✏️College deletes the word 'accompanist'
ところで、ホーネンス国際ピアノコンクールは、高額賞金($100,000 CAD = 約850万円)と入賞者への手厚いフォローアップで有名なのだが、日本人の参加者が見当たらない(少なくとも今年は…)のは何故なんだろう?
インタビュー(たぶん英語)とか、伴奏とか室内楽(ファイナル)があまり得意じゃないというのもあるのだろうか?
ねもねもさんの記事(↓)にあった「(ホーネンスは)ただ指が回るだけの演奏家はいらない。そういう人たちは他のコンクールへどうぞ、と言っているかのようです」というのが日本人が少ない理由…(^^;)?…だとするとちょっと残念。
✏️世界のピアノ・コンクールが変わらなければならない理由
✏️ホーネンス2018のメンターはギャリック・オールソンに変更
これまでの受賞者を見ると、たまたま今年初来日するパヴェル・コレスニコフ(2012年優勝)とヒンリッヒ・アルパース(2006年入賞)がいる。
他に知っている名前を探してみると、最近のコンクールには一人もいないが、1992年の入賞者にはなぜか有名人が 3人(↓)も名を連ねている。ところが、このとき優勝している "Chinese-Argentinan" の Yi Wu という人はまったく知らない…。
Krzysztof Jablonski
Jean-Efflam Bavouzet
Sergei Babayan
ちなみに前回 2015年の優勝者はイタリアの Luca Buratto(22歳)というピアニスト。
スケジュールはこんな感じ(↓)。ファイナリストは 3人。
8/30〜9/3 セミファイナル(ソロ、伴奏)
9/6 ファイナル I(室内楽)
9/7 ファイナル II(協奏曲)
室内楽も、3つのプログラムから選ぶようになっている。こちらも知らない曲(作曲家)が多い。聴く方としても、ソロ曲以外を少し勉強しなくっちゃ…(^^;)。
プログラム I
Mozart: Quintet for piano and winds in E-flat Major K. 452
Jean Françaix: L’Heure du berger
プログラム II
Beethoven: Quintet for piano and winds in E-flat Major Op. 16
Jean Cartan: Introduction et Allegro
プログラム III
Louis Spohr: Quintet for piano and winds in C minor
Albert Roussel: Divertissement Op. 6
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