ビリー・エイディとギイ・サクル |
ビリー・エイディとは友人のようで、"Les Amis de la musique française"(フランス音楽の友?)というサイト(↓)に二人で写っている写真(↑右)があった。
✏️Les Amis de la musique française:SACRE Guy
この記事には、2003年に作曲された "New Children's Songs"("Nouvelles Chansons enfantines")が 2008年に Timpani レーベルでビリー・エイディによって録音されたことと、その解説が載っているのだが、フランス語なのでよく分からない…(^^;)。
子供が弾くための作品ではない(というよくある話?)が書かれているような気がする。
ギイ・サクル(Guy Sacre、1948〜)はフランスの作曲家・ピアニスト・音楽評論家である。"Wikipedia: Guy Sacre" によると、"La Musique de piano"(ピアノ音楽)という本の著者としてもっとも知られているようだ(後述)。
フランス音楽の伝統を重んじていて、ポール・ヴェルレーヌ、ジャン・コクトーなどの詩をもとにした声楽曲も書いている。また、ビリー・エイディとともに "Contrechants" という団体を作り、知られざる作品の発掘にも取り組んでいる。
あと、時期は不明だが、パリ・ショパン・フェスティヴァルのミュージック・アドヴァイザー、デュティーユーとロサンタールが会長を務めるロベール・カサドシュ協会の委員という記述もあった。
ピアノ作品は、ビリー・エイディが録音した 2枚の CD(↓)にほぼ収録されていると思われる。収録曲は各 CD の下に記載。
Sacre, G.: Serenade No. 2 / Chansons Enfantines / Piccolissima Serenade / 24 Preludes / Variations Sur Une Mazurka De Chopin
- Serenade No. 2: I.〜VII.
- Variations sur une mazurka de Chopin
- Chansons enfantines: No. 1〜8
- Piccolissima Serenade: I.〜VII.
- 24 Preludes: No. 1〜24
Sacre: Oeuvres pour piano, Vol. 2
- Nouvelles Chansons enfantines: No. 1〜8
- Theme varie
- Neuf Contes moraux: No. 1〜9
- Soliloques: I.〜VII.
- Petits Exercices de la solitude: No. 1〜5
- Carnaval: No. 1〜12
一通り聴いた印象は、現代作曲家なのに、普通に「フランス物のピアノ曲」を聴いている感じ。つまり、ドビュッシーの時代かそのすぐ後くらいの作曲家かな?という印象。
CD のレビューか何かに書いてあった次の言葉がしっくりくる。
「サクルのピアノ作品からは、印象派的な響きや、ケックランを思わせる旋律など、近代フランス音楽の様々な要素が聴こえてくる」
もともと「フランス物」は嫌いじゃないので、いい感じの曲が多いが、ただ逆にいうと新しさとか新鮮味には乏しいかも知れない。
ショパンのマズルカ(Op.59-1)を元にした変奏曲 "Variations sur une mazurka de Chopin" なども面白い ♪ 普通にショパンだと思っていると、多彩に変化していく。
楽譜は Editions Durand と SYMÉTRIE から出ているようだ。
✏️Editions Durand: Guy Sacre(Sheet music plus)
✏️SYMÉTRIE: Guy Sacre
SYMÉTRIE の方は一部サンプルを PDF で見ることができる。下図は "Carnaval" サンプルの1曲目の冒頭。
ところで、ギイ・サクルは "La Musique de piano"(ピアノ音楽)という本の著者として有名とのこと。これは 272人の作曲家によるおよそ 4,000の作品を網羅した 2巻からなるもの(↓)だ。日本語訳があれば…と思って探したが、残念ながら見つからなかった。
La musique de piano t.1
おまけ。この本を調べているときに面白いものを見つけた。
最近「探索」したピアニスト《フロリアン・ノアック Florian Noack》の新しい CD『ある旅人のアルバム』のブックレットらしい PDF(↓)である。
✏️『ある旅人のアルバム』Booklet?
Album D'un Voyageur
その中に、このアルバムの企画・構成を考えたきっかけを聞かれて、こう答えている。
「ギイ・サクルの著作『ピアノ音楽 La Musique de piano』(Collection “Bouquins”, ed. Robert Laffont, 1998)によって育まれた好奇心も、今回のプログラミ ングを支えています。この本の中でサクルは、揺るぎない確信をもって、知られざる作品 について語っています。私にとってこの本の表紙をめくることは、たいていは名前すら耳 にしたことのない作曲家の作品を求めて冒険に乗り出すことを意味します」
また、ポール・ラドミローという作曲家の「発掘」に驚いたと言われて…
「ラドミローはフォーレの弟子です。ニンと同様に、ラドミローの存在も、サクルの『ピアノ音楽』を通じて知りました。私はラドミローの音楽を聴き、すっかり虜になってしまったのです」
…と、まるで「座右の銘」のように語っている。
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