2017年11月8日水曜日

アファナシエフが絶賛するピアニスト、カスプロフを聴いてみた ♪

「音楽の友」11月号の「エッジの効いたピアニストたち」という記事に、初めて聞く名前のピアニストが3人(ブルーノ・カニーノ、セルゲイ・カスプロフ、マルティン・シュタットフェルト)いたので、どんなピアニストか軽くチェックしてみた。

《「音友」の特集「世界の名ピアニストたちの十八番」を読んで…》

結果としては、セルゲイ・カスプロフだけが「お気に入りピアニスト」の候補になるかな?という感じであった。




セルゲイ・カスプロフ(Sergei Kasprov、ロシア、1979年〜)のプロフィールは IMC MUSIC の「セルゲイ・カスプロフ」のページに詳しいが、何と言ってもあのアファナシエフが絶賛したことで有名になったようだ。以下、アファナシエフの言葉。


「カスプロフはおそらく《ここ十年来、最も知られざる芸術家》に選ばれるでしょう。この素晴らしく個性的なピアニストの演奏を虚心に堪能することにしようではありませんか」

「ふと、彼はいったいどこからやってきたのだろう?と思うわけです。彼は他のピアニストとはまったく違う弾きかたをします。集中力の高さ、強度、時間の扱いかたからして違うのです」
(ヴァレリー・アファナシエフ『ピアニストは語る』〔講談社現代新書〕より)


また、2014年にリリースしたCD 『Exploring Time With My Piano』 (ALPHA)では「現代ピアノでバロック音楽を再現するという観点からはなれ、現代ピアノの技法を尊重しつつ、見事にバロック音楽の可能性を明示した」ということで、ディアパソン賞を受賞している。

Various: Exploring Time With M




日本には2015年に初来日していて、そのときの記事(↓)にはちょっと面白いインタビューも載っている。また、そのときの公演がライヴCDになっている。

✏️鬼才 アファナシエフが絶賛 11月日本デビューするロシア出身ピアニスト セルゲイ・カスプロフさん


Live in Tokyo 2015




YouTube ではスカルラッティ(↓)が良かった。音色がクリアで静謐というか、心に沁みるような美しい響きである。かっちりしていて、ややもすると冷たい感じになりそうなものだが、そんなことは全くなく情報量は豊かだ ♪

スカルラッティ:ソナタ ニ短調K.213 (ピアノ:セルゲイ・カスプロフ)


リスト、ストラヴィンスキー(↓)はあまり好みではなかった。曲のせいかも…。

Liszt Mephisto-Waltz (version Busoni-Horowitz) Sergey Kasprov, piano (1)

「ペトルーシュカ」からの3楽章 - セルゲイ・カスプロフ(ピアノ)


上で紹介したCD 『Exploring Time With My Piano』 がNAXOSにあったので聴いてみた。

「現代ピアノの技法を尊重しつつ、見事にバロック音楽の可能性を明示した」という評価が納得できる内容で、選曲も面白い。

ラモー、リュリ、スカルラッティ、バッハらのオリジナル作品とともに、ゴドフスキー、タウジヒ、ラフマニノフによるトランスクリプションで構成されていて、なかなかいい雰囲気である。

これを聴く限り、いわゆる「ロシア・ピアニズム」とは一線を画した、独特の世界を持っているピアニストのように思える。バロックと現代ピアノ音楽が合っていそうな気がする。本人もシェーンベルクに興味があると言っている。

バッハの「ゴルトベルク」とか「パルティータ」を聴いてみたいものだ ♪(上のCDのバッハは "Suite in A Minor, BWV 818a" が入っている)


おまけ:あとの2人は、YouTube を聴いた範囲ではよく分からなかった。

マルティン・ シュタットフェルト(Martin Stadtfeld、ドイツ、1980年11月19日〜[36歳])は、「プロ アルテ ムジケ」のプロフィール・ページによると、

「2002年ライプツィヒでのバッハ国際コンクールで、東西統一後初のドイツ人ピアニストとして優勝を飾り、正統的なバッハ音楽の後継者として不動の地位を築いてきた。コンクールの2年後、ソニー・クラシカルよりJ.S.バッハ「ゴルトベルク変奏曲」のCDをリリース。このCDでは伝説となっているグールドの録音 (1955年)と比較され各方面で大きな話題を得ると、たちまちドイツ・クラシック・チャートの第1位を飾り、エコー・クラシック賞を受賞した」

…と紹介されているが、YouTube にはいくつかの短い音源しかなく、バッハの真価はよく分からない。「ゴルトベルク」のアリア(↓)を聴いた限りでは、なんか色々やってる(普通と違う弾き方をしている)ことは分かるが、それに必然性とか説得力を感じることはできなかった…。

Martin Stadtfeld - Goldberg Variations: Aria

むしろ、メンデルスゾーンのピアノ協奏曲(↓)の方が好みにあったのだが、それは曲のせいかも知れない…?

Mendelssohn Piano Concerto No.1 in G minor op.25


ブルーノ・カニーノ(Bruno Canino、イタリア、1935年12月30日〜)は、この年末で82歳になるピアニスト・作曲家。YouTube をいくつか聴いた範囲では好みではなかった。



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