昨日の記事《名ピアニストたちのインタビュー「音友」11月号から》で、「音楽の友」11月号の特集「世界の名ピアニストたちの十八番」というタイトルは「釈然としない」と書いたが、インタビュー記事以外の企画記事?についてもちょっと「ひと言」言いたくなったので…。
2日連続「音友」話題ですみません…(^^;) 。
記事は4つ(↓)ある。タイトルは長いので端折ってある。
①「○○○のスペシャリスト」…
②ピアニストたちの進取の気性が光る演奏会
③エッジの効いたピアニストたち
④ピアニストたちの十八番を聴く!
①は青澤唯夫氏の文章で、「ベートーヴェン弾き」「ショパン弾き」…などの「スペシャリスト」の系譜をたどる、とタイトルにある。ちょっと期待した。ところが、である…。
何と言っても、とり上げられているピアニストたちの年齢が高すぎる!それと、作曲家もバッハ、スカルラッティ、ベートーヴェン、ショパンだけ…!? モーツァルト、シューベルト、シューマン、ブラームス、ドビュッシー、ラヴェル、ラフマニノフ、…もっと知りたかったのに…(^^;)。
各作曲家(4人だけ!…しつこい?)について「往年の大家」(下記表記「往」)と「現代のピアニスト」(同じく「現」)がそれぞれあげてあるのだが、こんな感じだ(↓)。
バッハ弾き
往:タチアナ・ニコライエワ(1924-93)
現:アンジェラ・ヒューイット(1958- /59歳)
スカルラッティ弾き
往:ウラジーミル・ホロヴィッツ(1903-89)
現:アンドラーシュ・シフ(1953- /64歳)
ベートーヴェン弾き
往:ヴィルヘルム・バックハウス(1884-1969)
現:マウリツィオ・ポリーニ(1942- /75歳)
ショパン弾き
往:アルフレッド・コルトー(1877-1962)
現:クリスティアン・ツィメルマン(1956- /61歳)
これらのピアニストの名前が妥当かどうかは置いておくとしても、個人的な希望としては、「現」となっているピアニストが現役の「定評のある人」で、「現代のピアニスト」としてはもっと若手、あるいは中堅のピアニストをあげて欲しかった。
上の「往」をみると、どう見ても「博物館」の趣だ。歴史として押さえておくのはいいのだろうが、興味を持ったとしてももう聴けないし(生では)…。
75歳のポリーニを「現代…」というのはさすがに無理があるのでは?(若いときの演奏は好きだけど…)20代・30代、せめて40代のピアニストを紹介して欲しかった。
たくさんいると思うのだけど。
ダニール・トリフォノフ(1991- /26歳)、イゴール・レヴィット(1987- /30歳)、リュカ・ドゥバルグ(1990- /27歳)、ラファウ・ブレハッチ(1985- /32歳)、ピョートル・アンデルシェフスキ(1969- /48歳)、コンスタンチン・リフシッツ(1976- /41歳)…等々。
こういう中で、現代の音楽界ではこの人の(例えば)バッハは素晴らしいとか、これまでにない現代的解釈だとか…、そういう話を期待したのだが…。
②は「厳選!」した「現代の名ピアニスト」たちの企画性に注目した演奏会の紹介で、真嶋雄大氏のチョイスと書いてある。
なのだが、なぜだかほとんどが日本人。小山実稚恵、仲道郁代、小菅優、小川典子…??? フランチェスコ・トリスターノとエマール、それにトッパンホールの「鬼才たちのピアニズム」シリーズがおまけのように入っているが…。
それとプログラムの中身にしても、なんだか今ひとつパッとしない。トリスターノの自作自演「ピアノ協奏曲《アイランド・ネーション》」(日本初演)とか、エマールさんのメシアンはいいとして、定番曲の組み合わせ…?
③の「エッジの効いたピアニストたち」(文:道下京子)は4つの記事の中ではわりと面白いが、「来日ピアニスト」に限った内容になっているようだ。
そう思って特集全体を見てみると、どうも「日本で聴けるピアニスト」という「制限付き」になっているとしか思えない。そうならそうと初めに断ってほしいものだ…。タイトルには「世界の…」と書いてある。
ちなみに、登場しているピアニストは下記。●印は、私がこれまでに生演奏を聴いたことのある人、◉印は来年聴く予定の人、★は初めて聞く名前なので調べようと思っている人。
ピエール=ロラン・エマール●
ブルーノ・カニーノ★(2018年5月来日予定)
イーヴォ・ポゴレリッチ
コンスタンチン・リフシッツ◉
ファジル・サイ
セルゲイ・カスプロフ★(2019年2月来日予定)
リュカ・ドゥバルグ●
キット・アームストロング●
カティァ・ブニアティシヴィリ
エリソ・ヴィルサラーゼ
ピョートル・アンデルシェフスキ◉
マルティン・シュタットフェルト★
ネルソン・フレイレ
アンティ・シーララ
④は単なる「演奏会情報一覧」。「十八番」とは何の関係もない。たまたまそのリサイタルで十八番を弾くということはあるかも知れないが…。
…という感じで、なんだか、この特集は国内コンサートの宣伝記事?のような気もしてきた。「グローバル」とか「世界の」とか言いながら、結局この雑誌は国内コンサート(と国内販売CDなど?)の宣伝雑誌でしかないのかも知れない。
もちろん、それはそれでありがたい情報であるし、これまでも「音楽の友」には、雑誌だけでなくいろんな本でお世話になっているので、文句を言うつもりはないのだが…。今日のところは散々言ってしまったかも知れない…スミマセン…(^^;) 。
それと「音楽評論家」の方たちにももう少し頑張っていただいて、クラシック音楽業界を先に進めるような論評や記事をお願いしたいものだ。
…などと書いていて昔書いた記事(↓)を思い出して読んでみた。今回の雑誌記事を書いた評論家の名前も出ていて、ちょっと面白いと思った…(^^)♪
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