今、『ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ』(↓)という、最近出たイリーナ・メジューエワさんの本を読んでいる。
いろんなピアノ曲の、ポイントになる部分を楽譜で示しながら、その解釈や弾き方などをピアニストの立場から書いてあるので、私のような素人ピアノ音楽ファンにはやや難しい(読みやすく書いてはあるが…)のだが、読みながらちょっと感じたことがある。
それは、私の「音楽(演奏)の良さ」を表現する語彙があまりに貧弱だな〜ということ。ほとんどが「いい」「面白い」「素晴らしい」あたりで済ませているような気がする…(^^;)。
「いい演奏」を探索していたり、「いい演奏とそうでない演奏の違いは?」などということを考えたりしている割には、「いい」の中身をこれまであまり説明できていない…。
この本では、それぞれの曲について「おすすめの演奏」をいくつかあげてあるのだが、その紹介文に使われている表現をパラパラと拾い上げてみると…。
「知的で説得力のある、示唆に富んだ」
「真摯さ、温かさが音の中に」
「響きを探している感じがとてもリアル」
「音の中に静けさがあって、内面的な雰囲気」
「ハーモニーがきれいな形の中に生きています」
「深さ、まろやかさ、輝かしさなど、音がすごい」
「インティメートで軽やかな」
…他にもたくさんあるのだが、こういう言い方、私にはできそうもない。感性が「雑」なんだろうか…(^^;)?
試しに、ちょっとした「思考実験」をやってみた。「いい」「面白い」を英語で言うとどうなるのか?思いつく単語を並べてみた。で、それに私なりの日本語訳をつけてみた。
いい
↓
good:良い
nice:素敵な
comfortable:心地よい
pleasing:愉快な
beautiful:美しい
great:素晴らしい
moved:感動した
面白い
↓
interesting:興味深い
enjoyable:楽しい
new:これまでにない
attractive:惹かれる
exciting:刺激的な
…ん〜、表現が深まった感じはあまりしないな〜。やはり、メジューエワさんみたいにもう少し具体的に、文章にする必要があるのだろうか? 一つの形容詞だけでなく…。
でも頑張れば、「いい」と言う代わりに、例えば「聴いていて心地よい、とくにハーモニーの絶妙な移り変わりがいい」などと少し具体的に言うことはできるかも知れない。
ただ、聴いているときの正直な感覚は「コレいい!」なんだよなぁ…(^^;)。
音楽を聴いたときに感じたことやその良さを、人に「言葉」で伝えるのは本当に難しいと思う。そもそも、音楽というのは言葉で表せない何かを「音楽言語」と「音(音響)」で表現するものなのだから。
音楽の良さを表す言葉を集めたようなサイトがないか、探してみたが見つからなかった。その代わり?、ヴィクトル・ユーゴーの言葉(↓)を知ることができた。言葉の専門家である詩人が言うのだから、やはり言葉で説明するのは難しいんだ…。
"Music expresses that which cannot be put into words and that which cannot remain silent."
(音楽は、人が言葉で言い表せないこと、しかも黙ってはいられない事柄を表現するものである。)
まぁ、でももう少し「いい」の中身を表現する努力はしてみようかと思った。自分の貧弱な言語能力の範囲で…。
なお、『ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ』についての感想文(読書メモ)は、読み終わってから書くつもり。難しいながら、いろいろと参考になるところもあったので…。
【関連記事】
《こんなピアノ演奏が聴きたい!(「いい演奏」再考)》
《イリーナ・メジューエワ:A-(Pianist Check)》
0 件のコメント:
コメントを投稿