2016年8月24日水曜日

弾くだけで専門家のアドバイスがもらえる英国王立音楽検定

"ABRSM Exams"(英国王立音楽検定)というものがあることを、2017/18年のシラバス(検定要項みたいなもの)が発表されたという記事で初めて知った。といっても、発表されたのは7月の初め。

検定自体には興味がないので、どんなピアノ曲(課題曲)があるのかという興味で見ていたのだが、ちょっと面白いものを発見した。


それが「パフォーマンス・アセスメント」というものだ。

検定員の先生の前で、15分以内の自由曲を弾いて、評価とアドバイスをもらうというもの。グレード検定ではないので、合否はない。

興味を引かれたのは、対象者に「大人の初心者」とか「趣味としてピアノを続けている大人」とかが含まれているところ。

「グレード検定は気が進まない。でも何か目標を決めてやってみようと思われる方」「人前で演奏するほど自信がない。でも評価はしてもらいたいと思われる方」などの説明。何となく心当たりがある…(^^)。


この "ABRSM"、英語の公式サイト もあるのだが、「英国王立音楽検定(日本事務局)」というのがあって、日本語で分かりやすく説明してある。例えば、

英国王立音楽検定協会は1889年…4つの英国王立音楽大学のもとに設立され、…総裁は…エリザベス女王が就任されています。…音楽検定は、英国内はもとより約90ヶ国で毎年約63万人以上が受検しており、内容、質ともに世界的に認められています

…というような説明がある。


「パフォーマンス・アセスメント」のページを見ると、「演奏レベルは問わず曲を弾くだけで専門家によるアドバイスが受けられます。〜」などと書いてある。

ちなみに、受検料は 23,220円。他に、必要な場合、通訳料 1,000円、評価表の翻訳料 1,500円がかかる。検定員は英国から派遣されるようだ。毎年春秋の2回、国内数カ所で行われる。

どうですか?受けてみませんか?


と言ってはみたが…、私自身は「大人の初心者」「趣味のピアノ」には相当するものの、一つの曲を止まらずに弾くことなど、しかも検定員の前で、なんてことはとても無理…(^^;)。

そういえば、暗譜かどうか書いてなかったような…。


ちなみに、本体の「グレード検定」は1(初級)〜8(上級:英国の音楽大学入試に匹敵)と、専門的な?ディプロマというのがある。

「イギリスの多くの音楽大学は『グレード8』を持っていることを入学の条件」としていると書いている記事もあったので、グレード8は音楽高校卒業レベルということになるのだろうか?


さて、元々の興味であった、どんな課題曲があるのか、ということであるが英語の「シラバス」(PDF)に曲のリストがある。

※追記@2023/04/24:2016年時点のシラバスはなくなっていて、最新版は下記になっている。ただし、下記の課題曲は 2016年のもの。



例えばグレード8ではこんな感じ(↓)。ABCの3つのグループから1曲ずつを選択する。なんだか知らない作曲家がたくさん入っている(黄色マーカー)。そのうち気が向いたら調べてみるかも…。


A
J. S. Bach:Gigue (7th movt from French Suite No. 5 in G, BWV 816)
Handel:Fugue in B-, HWV 607
R. Shchedrin:Prelude and Fugue in A minor
J. S. Bach:Prelude and Fugue in D minor, BWV 875
Hindemith:Interludium and Fuga decima in D- (from Ludus Tonalis)
Lekeu:Fughetta (from Sonata for Piano)
Reicha:Fugue No.1 (from 36 Fugues, Op. 36)
D. Scarlatti:Sonata in E, Kp.162, L. 21

B
Beethoven:Rondo (3rd movt from Sonata in E, Op.14 No.1)
Mozart:Allegro (1st movt from Sonata in C, K. 279)
Haydn:Presto (1st movt from Sonata in E minor, Hob. XVI:34)
C.P.E.Bach:Allegro(3rdmovtfromSonatainA,Wq.55/4)
Beethoven:Allegro (1st movt from Sonata in F minor, Op. 2 No.1)
Cramer:Largo assai–Allegro agitato (1st movt from Sonata in C, Op. 22 No. 2)
Mozart:AllegroinB-,K.400
Zinck:Allegro con brio (1st movt from Sonata No. 8 in G minor)

C
Miguel Astor:Adriana (No.1 from Valses venezolanos)
Brahms:Intermezzo in A minor (No. 7 from Clavierstücke, Op. 76) observing repeats
Peixun Chen:Selling Sundry Goods
Copland:Jazzy (No. 3 from Three Moods)
Debussy:Doctor Gradus ad Parnassum (No.1 from Children’s Corner)
Larsson:Allegro (1st movt from Sonatina No. 3, Op. 41)
Berkeley:Prelude No. 5 (from Six Preludes, Op. 23)
Chopin:Mazurka in A♭, Op. 59 No. 2
Gershwin:Liza
Medtner:Idylle (No.1 from Three Arabesques, Op. 7)
Mendelssohn:Song without Words, Op. 67 No. 4
Paderewski:Nocturne, Op.16 No. 4
Poulenc:Improvisation No. 7
Rachmaninov:Daisies
Ravel:Menuet (No. 5 from Le tombeau de Couperin)
Edwin Roxburgh:Moonscape


ちなみに、このページの "Pieces" を開くと覧表があって、冒頭30秒ほどの視聴もできる。mp3ファイルと楽譜も売っている…。


楽譜の一部はアマゾンでも買えるようだ(↓)。




最後におまけのリンク。

クラシック・ピアニストの朝岡さやかさんがロンドン在住時の2010年に受検したときの体験記だ。様子がわかって面白い。

ちなみに、この方、『月刊ピアノ 2016年9月号』に「朝岡さやかのピアノソラ・エチュード」という連載を始めたような人らしい。もしかして有名人?…(^^;)?





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