グレン・グールドやアンジェラ・ヒューイットらを輩出したことで有名なトロント王立音楽院(RCM:The Royal Conservatory of Music)であるが、今年、7年ぶりにピアノ教育体系の "syllabus"を改訂した。
"syllabus"とは、学習要項のようなものだが、その内容は驚くほど充実している。それが、PDFファイル(111ページ)で公開されている。
入門(preparatory)A〜B、レベル1〜10、3つの Diploma コース(うち1つは教授法)と、全部で15の段階について、必要とされる技量や知識に加えて、多数のレパートリーが指定してある。
学習要項であるとともに、各段階でクリアすべき試験の概要(ピアノ演奏、楽典、聴音など)も書かれており、"Certificate Program"(認定試験基準)にもなっている。北米では300の団体で年間10万回以上の試験が行われているらしい。
驚いたのは「レパートリー」の曲の多さと、私の知らない作曲家の多さである。例えば、モーツァルトのK.545 が含まれる「レベル8」を見てみると…。
「バロック」「古典派」「ロマン派」「20〜21世紀」という4つの曲目リストがあるのだが、例えば「20〜21世紀」のリストには55人の作曲家が並んでいる。(試験では各区分から1曲ずつを弾く)
アルファベット順のA〜Cまでの作曲家で見ると(↓)、私が知っているのは、アルベニス、バルトーク、コープランドの3人だけ…(^^;)。
Albéniz, Isaac
Alexander, Dennis
Archer, Violet
Austin, Glenda
Bartók, Béla
Benjamin, Arthur
Bernstein, Seymour
Bonsor, Brian
Brown, Stephen
Burge, John
Casella, Alfredo
Chatman, Stephen
Copland, Aaron
Costley, Kevin
Coulthard, Jean
今回の改訂で、カナダとアメリカの作曲家を増やしたらしいが、それにしても多い。ちなみに、日本人としては中田喜直と池田奈生子という2人が入っている。
池田奈生子さんは初めて聞く名前だが、『セレスティアル・ドリームズ』というアルバムの「夏の流星」という曲が選ばれている。
楽譜が簡単には見ることができない、手に入らない(トロント王立音楽院のサイトにオンラインショップもあるが…)という問題はあるが、選曲の時の参考にはなるかもしれない。レベルごとに分かれているのが便利そうだ。
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