《ラウタヴァーラのピアノ曲、かっこいい!♪》の記事に書いた、ピアノ協奏曲第1番・第1楽章の冒頭部分に出てくる「秋田の『竿頭』みたいな音符」(↓)が気になっていた。
もしや「クラスター(トーン・クラスター)」というものなのかな?
…と思いながら、この YouTube の楽譜をよく見ていたら、冒頭にちゃんと、こんな(↓)記号とドイツ語の説明が書いてあった。
意味を調べてみると、"Weiße-Tasten-Cluster" は「白鍵クラスター」、"Haltung der Rechten Hand" は「右手の位置(置き方)」みたいなことらしい。
どうも、このフォークみたいな絵が右手を表していて、一番低い音を中指の先で、高い音を手のひらの付け根で弾くことを表しているようにも見える。そこまで厳密な指示ではないかもしれないが…。
ついでに調べてみると、"Schwarze-Tasten-Cluster"(黒鍵クラスター)というのと、"Schwarze-und-weiße-Tasten-Cluster"(黒鍵と白鍵のクラスター?)というものもあるらしい。
そういえば、「クラスター=音の塊」くらいにしか考えてなかったので、改めて(今頃になって…(^^;)?)ピアノのクラスター奏法?の説明がないか調べてみた。
一番分かりやすかったのが、「ヘンリー・カウエルのトーン・クラスターを用いた初期ピアノ作品」というPDFの資料の一部(↓)。
基本的には、指定された範囲のすべての音(半音ずつ)を弾くものと、その範囲の黒鍵を全部弾くもの(♯または♭付き)、とその範囲の白鍵を全部弾くもの(ナチュラル記号付き)の3種類があるようだ。
上の例は、ヘンリー・カウエルの表記法。ラウタヴァーラのピアノソナタには次のような [ ] で囲む表記も出てくる。
最後から2小節目には、右手には "Weiße"(白鍵)左手には "Schwarze"(黒鍵)と明示してある。
そもそもの定義とか、きちんとした説明はなかなか見当たらない。
どうも、ヘンリー・カウエルあたりが元祖で、最初はピアノだったので上述の3種類だけだったのが、他の楽器やオーケストラでもやるようになって、音程が四分音(半音の半分)やそれ以下になってきたようだ。
そうなると、私が「クラスター=音の塊」と(素人考えで)思っていたことも、間違いではないことになる。「密集した音が同時に響く音塊」と定義している記事もあった。
英語版 Wikipedia "Tone Cluster" には、「少なくとも3つの(音階の中で)隣接する音を含む和音」という定義が書いてある。
そうすると、逆にすべての音がつながっている必要もなく、次のような白鍵・黒鍵混在の和音もクラスターといえるらしい。
ピアノでの弾き方は、手のひらで押さえたり、前腕を使ったりというものだと思うが、「今田篤さんと岡田奏さんがファイナリストに!(エリザベート王妃国際音楽コンクール2016)」という記事に面白いことが書いてあった。
去年のエリザベート・コンクールで、セミファイナルの課題曲に "Tears of Lights" という現代曲があったのだが、その曲の中のクラスターを、
「この部分を今田さんは“グー”で弾き、岡田さんは“パー”で弾かれていた」
…そうである。この演奏は記憶にないので、見てないのかも知れない。
…と、何となく「クラスター」が分かった気はするが、自分でこの弾き方をすることはまずないだろう…(^^;)。
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